大韓サッカー協会、横領の職員に退職金1億ウォン超

 大韓サッカー協会が、窃盗と横領の疑いがある会計担当職員に対し、退職を勧告して依願退職させるとともに、巨額の慰労金を支給していたことが分かった。今回の問題は、協会の労働組合が26日に発表したことで明るみに出た。組合側は「会計不正は重大な犯罪行為なのにもかかわらず、協会で不正を働いた人物を厚遇すれば、不正を助長することになる」として協会に反発した。

 問題の会計担当職員は昨年11月8日未明、別の部署の事務室からサッカー用品を盗もうとして発覚した。サッカー協会の趙重衍(チョ・ジュンヨン)会長は11月29日、この職員を呼んで事件の経緯書を作成させると同時に、懲戒の手続きを進めるよう関連部署に指示したという。

 調査の過程で、この職員は協会の法人カードに貯まっていたポイントをギフトカードに交換するという手口で、2009年から3度にわたり総額2490万ウォン(約170万円)を横領していたことも分かった。この職員は06年に中途採用され、5年にわたり協会の法人カードの管理などの会計業務を担当していた。

 この職員は、12月16日に開催された協会人事委員会で退職勧告の処分を受けたが、1週間後に「退職願を提出し、今後は協会に害を与える行為をしない。協会は2年分の給与に相当する退職慰労金を支給する」という内容の覚書を提出し、離職した。協会は今月13日に再び人事委員会を開催し、問題の職員に対し、約1億5000万ウォン(約1000万円)の慰労金を支給することを議決した。

 不正を働いた職員に慰労金を支給することを決定した上、職員から覚書を受け取ったという事実が明るみに出たことで、協会の一部では「問題の会計担当者が『幹部役員の不正疑惑を暴露する』と上層部を脅迫したのではないか」との疑惑がささやかれている。記者は事実確認のためにこの職員に電話をかけたところ、一度は出たものの一方的に電話を切り、その後は一切電話に出ていない。

 労組側はこの事件に関連し、協会執行部に対し、キム・ジングク専務の問責を要求した。だが協会は25日、専務の問責ではなく、労組の幹部7人の部署移動を実施する動きを見せたため、労組側は26日、調査資料の公開に踏み切った。

 労組は「キム専務は調査委員に対し、調査の取りやめを指示するなど、事件に過度に介入した。その間に問題の職員は横領金額を埋め合わせた。覚書を書かせるなど前例のない行動に、組合員は怒っている」と主張した。

 だが、キム専務は同日の記者会見で「調査を途中でやめさせた事実はない。また、どんな組織でも、退職願を受理する際には組織の機密を漏らさないと約束させる」と述べ、疑惑を全面的に否定した。慰労金については「希望退職として処理し、退職金と2年分の給与を支給した」と説明した。大韓サッカー協会は02年のワールドカップ(W杯)韓日大会以降、各方面とのスポンサー契約によって豊富な資金を集めており、年間予算は1000億ウォン(約69億円)以上に達する。

李永民(イ・ヨンミン)記者
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