書評:「壁と卵」の現代中国論 梶谷 懐【著】

 
「中国はひとつにまとまった、堅く大きなシステムではない。私たちは、それをどこまで分かっているだろうか。」

 

 題名にある「壁と卵」とは、政治や軍事などのシステムを「壁」に、脆弱で壊れやすい個人を「卵」に例えた村上春樹の比喩だ。この本は、村上氏の「壁と卵」という対立の構図を使って見る本の表紙と現代中国はどのように映るのかということを、経済学者としての著者が自らの経験や経済理論などから演繹して見せようというものである。

 

 著者が「壁と卵」以上に影響された村上春樹氏の考え方に、こちら側、あちら側というものがある。こちら側とあちら側は、全く別の切り離された存在ではなく、むしろ合わせ鏡のようなものだというのが村上氏の考えである。著者は、完全には自分の側(こちら側)から排除できないものだからこそ、むしろあちら側を正視しえないのだという逆説を、中国を見る日本人の視点に援用している。

 

 これらを背骨として論が展開していくのかと思いきや、それぞれの章は全く別々に書かれたもののようだ。しかし、著者の素直かつ率直な視線により、日本で流布する目の曇りを拭い去り、我々中国人が実際に体験している中国の感触に近づいた見方を提示したのが本書の価値であると思う。

 

 しかしその美質と同時に、著者の学者としての弱点が各所に露呈しているのは残念なことだ。その一つは、文体が章によって一定でないことである。著者の広範な知識のために、本書では一節一節が引用句と典拠で始まっていると言っていいほど極めて多くの引用がなされているが、その際の文章に晦渋なのが多い。

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台湾の新幹線、中国の新幹線

JUGEMテーマ:鉄道
 

〜乗り比べてみた二つの違い〜

                        
今年の切符春節明けに台湾で新幹線に乗りました。以前このブログで中国の新幹線の話を書いたので、今日は両方を比べてみます。

台湾の新幹線は2007年に台北と南部の高雄の間、約340キロを結んで開業しました。もっとも高雄といっても台湾国鉄の高雄駅からちょっと北にある左営駅で終点になっていて、高雄へ行くには国鉄に乗り換える必要があります。私は台北から台南まで乗りました。日本でいうグリーン車は台湾では「商務廂」、つまり飛行機みたいにビジネスクラスと言います。台北から台南までは約300キロ、東京から豊橋までとほぼ同じです。普通車の料金は東京−豊橋が8700円なのに対して台北−台南は1350台湾圓、大体3900円でずいぶん割安ですから、私はビジネスクラスに載りました。ビジネスのお値段でも1780圓(5200円)でした。所要時間は1時間43分。在来線の自強号などは4時間ぐらいかかりますから、とても楽です。


トイレ付近車両は日本の新幹線の700型を元にしているので、乗った感じは日本にいるみたいです。写真は普通車のトイレ付近。日本の新幹線と感じがそっくりです。また停車駅の案内やニュースが電気の字幕で出てくるのも日本と同じです。漢字なので、うっかり板橋(Banqiao)を「いたばし」と読みそうです。

以前ご紹介した中国の新幹線は。長野新幹線を走っているE-2型をもとに作られたものです。私は北京から天津まで乗りましたが、当時はまだ北京南駅が開業していなくて、北京駅から天津の隣のとんでもないローカル駅までの運転でした。では台湾と中国の新幹線を比べてみましょう。


 こちらは外観。下が台湾、右が中国です。元になった新幹線の型が違うので形が少し違います。
中国外観

外観 


 こちらは座席。台湾では商務廂、中国では一等座車と呼ばれる、グリーン車にあたる車両です。座席の広さは同じぐらいですが、色のせいでしょうか、台湾の方が少し華奢に見えます。荷物を載せる棚はよく似た感じです。

中国座席座席











 これは足を乗せるところ。左が台湾、右が中国です。もとが日本のものですからホントによく似ていますね。

 

足置き中国足置き











 乗り心地は台湾の方がよかったです。というのは北京から天津へは在来線の線路を走ったのに対して、台湾では新幹線の専用軌道を走ったので差が出ました。また車両そのものも台湾の方が洗車を頻繁にするのでしょうか、車体がきれいでした。車内販売や駅員の対応なども台湾はとても親切で…というか、日本のサービスと変わりません。一方、中国は相変わらず、客はお情けで運んでやるという鉄道員の態度がそのままなので、客車がきれいな以外はこれまでの鉄路の旅と変わりませんでした。自分の国なので、中国にはもっと親切な(passenger friendly)鉄道にしてほしいし、乗客も台湾みたいに鉄道をきれいに使うようになってほしいと思います。


松沢神奈川県知事はいつから「お殿様」になったのか

JUGEMテーマ:煙草による被害を無くすために

禁煙条例をめぐるバカ殿のご乱心〜
 

 今月1日から神奈川県の「受動喫煙防止条例」が始まった。民間も対象にした屋内施設での喫煙を規制する全国初の条例だという。松沢成文神奈川県知事は「歴史的な一日」と胸を張ったというが、「条例の内容を把握している県民は1割に満たず、制度の周知が課題となっている」(毎日新聞)という状態のようだ。

 

 神奈川県の条例で完全禁煙が義務付けられ罰則もあるのは、学校、老人ホーム、映画館、集会場、公共交通機関、神社、寺院、教会、運動施設、公衆浴場、百貨店、金融機関、図書館、博物館、美術館、動物園、遊園地、保育所、病院、薬局、官公庁施設だ。

 

 このうち保育所や病院などは施設の性質上、禁煙もやむをえないと思うが、老人ホームに住む喫煙者は一体どうするのだろう。また学校といっても小中学校だけではなく、喫煙年齢の学生もいる大学も含むのだから奇妙な話だ。また後述するように警察の取調室も禁煙になるという。ヘビースモーカーの容疑者は、一服のタバコをエサに誘導尋問されるだろう。どこから見てもこの条例は松沢知事の「思いつき」から出たことにしか見えない。

 

 一方で日本たばこ(JT)は煙の出ない煙草を5月から発売するという。これは、「たばこの葉が詰まった専用カートリッジに、プラスチック製のパイプを装着して利用。葉を細かく刻むことで空気に触れる面積が増え、火をつけずに吸い込むだけで味と香りを味わえる」もので、「古くからある嗅ぎたばこを応用して数年かけて開発した」ものだそうだ。(東洋経済201047日‎)


 去年の秋に市民ニュースのJANJANに「嫌煙運動のファシズム化に抗議する」という記事を書いたが、JANJANが経営不振でサイトを閉じてしまったため、ブログに転載する。その趣旨は「喫煙室や喫煙所をしっかり作る事が分煙化に一番効果があり、ヒステリックに禁煙を強制するのは人口の30%もいる喫煙者のライフスタイルの圧殺に他ならない」ということだ。松沢知事のような思いつきによる条例制定は、江戸時代のお役人サマが町人に無理な規則をおしつけるのと何の選ぶところもない。選挙で選ばれたか否かと関係なく、民主主義を標榜する国の政治家として資質に欠けるとしか言いようがない。

 

喫煙者の権利を守れ!〜嫌煙運動のファシズム化に抗議する〜

 

 最近、浜松へ出張する機会があった。2時間も新幹線内でタバコを我慢し、ニコチン切れにな浜松喫煙所1った私は駅前でまず喫煙所を探した。しかし、浜松駅の周辺はどこを見てもタバコを吸っている人はいないし、喫煙所のサインもない。30分ほどウロウロした挙句にようやく見つけた喫煙所は、地下におりてかなり歩いた、ちょっとした広場の隅のわかりにくい場所にあった。もちろん駅からそこまでに喫煙所の場所を示す表示など一つもなかった。

 

 浜松には「市民マナー条例」という、喫煙所以外の公共の場所でタバコを吸ってはいけないという決まりがある。灰皿の後ろにはその旨が日本語のほか英語とポルトガル語でご丁寧に書いてある。しかし、市の決まりを、他から来た人や外国人にも守らせたいのであれば、なぜ喫煙所の位置をはっきり表示しないのだろうか。


 これは浜松市だけのことではないし、表示の不備だけのことでもない。この問題の根は、喫煙者に対する非喫煙者の全体主義的な態度と、禁煙を宣言すれば文化的だという自治体の安易な態度にあるのだ。

 

◇ 「嫌煙が文化的」という誤解

 この原稿を書いているときに産経新聞に「禁煙後進国ニッポン」という論説が出た。禁煙法が出た台湾に行ってきた記者が書いたこの記事は「嫌煙文化人」が陥りやすい欠点をみごとに取り揃えた文章なので引用する。

 

 (日本では)関西の大手私鉄5社はまだ分煙レベル。朝夕のラッシュ時のみ全面禁煙という駅が多い。(中略)全国に約3万6000ある公立小中学校で、敷地内を全面禁煙にしているのは66%。100%実施という都道府県は秋田、茨城、静岡、福井、滋賀、和歌山の6県にすぎない。(中略)受動喫煙の防止措置を求める健康増進法が施行されて6年5カ月もたつのにこの状況では、子供たちがかわいそうというものだ。 米がん学会の試算によると、来年1年間に世界で、喫煙が原因で死亡する人は約600万人。年間死者数の1割に当たり、受動喫煙の犠牲者も20万人を下らないという。まともな為政者なら躍起になって、喫煙を国内から追放しようとするだろう。台湾のように。(中略)禁断症状を伴う喫煙は中毒、病気なのである。(1022日産経新聞)

 

l         「まだ分煙レベル」という言い方は、分煙より禁煙が文化的だという価値判断を含んでいる。

l         「敷地内を全面禁煙」と「受動喫煙の防止」というイコールで結べないことをすり替えている。

l         教師にも喫煙者が多いのに、なぜ「敷地内全面禁煙」にしなければならないのかということに全く疑問を呈していない。

l         台湾のように法で喫煙を追い出そうという態度を「文化的」だと断じている。

l         喫煙が病気なら、喫煙者は病人である。病人はいたわるものであって追放する対象ではない(!?)。

 

 実事求是を旨とすべき記者が、現実に疑問を持たず、自分のケチな価値尺度で物事を断じ、気に食わない者を追放しようという記事を書くのは編集権の濫用だ。

 

◇ 禁煙条例より喫煙場所の確保が先決

 禁煙主義者にタバコの害を挙げさせたら、五十でも百でも箇条書きにする事ができるだろう。癌や心筋梗塞の発生率、不妊、低体重児出産、受動喫煙の害、におい・・・・。でも喫煙者のほとんど全員がそんなことはよく知っているのだ。私だって小児のいる所や混んだレストランでタバコは吸わないし、妊娠したらタバコは一時はやめるだろう。

 

 いま一番大きな問題はタバコの害そのものではなく、タバコの害を錦の御旗として日本に三千万人もいる喫煙者を無視し、喫煙者用の施設を整備することもなく、その権利を条例や規則で圧殺しようという点にあるのだ。

 

 新しいオフィスビルへ行くと必ず障害者用のトイレがフロアに一つは設置されている。またバリアフリーに気を配った設計のところも多い。その一方、オフィスのどこかにきっちりと喫煙所を作っている会社や役所は極端に少ない。どの職場でも4−5人に一人は喫煙者がいるはずだ。その数は、障害者用トイレやバリアフリーの恩恵を受ける人より絶対に多いはずだ。それなのに多くはビルの裏口の横に申し訳程度に灰皿を置いたり、或いは3畳ほどの薄暗い物置のようなところを「喫煙室」と名づけている状態で、まともな喫煙施設と言うには程遠い。。

 

 バリアフリー化が進む一方で、なぜ喫煙者用施設の整備は進まないのか。一つの答えは、多数派の非喫煙者にとってバリアフリーは善であり、喫煙は悪だからだ。多数派の身勝手な善悪感によって30%の同僚、同胞を見捨てるのは全体主義以外の何物でもない。

 

 喫煙者の人数を考慮して喫煙所が整備され、初めて訪れた人にも喫煙所の場所がすぐにわかれば、オフィスでも街中でも野放図にタバコを吸う人は激減するだろう。この問題の解決はひとえに、喫煙者の人口比率に応じて喫煙室・喫煙所の整備を行い、非喫煙者がタバコの煙や臭いを感じないで済むようにすることに尽きる。逆に言えば、禁煙条例を安易に作るだけで喫煙施設を省みない無責任な自治体やヒステリックな喫煙の害の主張は、何の役にも立たないということだ。

 

◇ 低い喫煙率は「文化的」か

 中国では女性の喫煙率は3パーセント前後ときわめて低い。北京に住んでいた時、バーでタバコを吸っているとそのスジのお姐さんと間違われて男が寄ってきたことも一度や二度ではない。OECDのデータでは韓国女性の喫煙率は4.6パーセント、日本は12.4パーセントと、東アジアの女性の喫煙率はきわめて低い。

 

 喫煙率が低いのが「文化的」ならばアジアの女性が世界でもっとも文化的であり、(英国は22%、ノルウェー24%、オーストリア32%。)ヨーロッパがもっとも「非文化的」な地域だといえる。しかしこれはウソだ。喫煙率はフルタイムで働く女性の比率と正比例しているのであって、中国が文化的だということではない。つまり女性の社会進出が遅れ女性の地位が低い「後進国」では女性の喫煙率が低いだけの話だ。

 

◇ 法的な疑問

 神奈川県では「公共的施設における受動喫煙防止条例」が施行されるため、警察でも取調室をすべて禁煙にするという。ヘビースモーカーの容疑者を取り調べるときに、長時間タバコを吸わせないことは拷問に等しい。タバコを吸わせてやるからと言われて誘導尋問に応じてしまう容疑者がいないと言い切れるだろうか。容疑者に食事をさせないで長時間取り調べることが人権問題であるのなら、ヘビースモーカーにタバコを吸わせないことも全く同様だということを何故無視するのだろうか。

 

 足利事件で自白の誘導や取調べ方法の妥当性が問われている中で取調室を禁煙にするのは、足利事件の教訓を無視し、禁煙は文化的だという誤った西洋崇拝の尻馬に乗っただけではないか。日本の憲法には、強制、拷問若しくは脅迫による自白は証拠とすることができないと書いてある。神奈川県の条例は憲法の規定に反する行為を誘発しかねない危険な悪法である。

 

 江戸の「粋」の化身とも言うべき助六は廓でも大人気、髭の意休をやり込めて「キセルの雨が降るようだ〜」と見得を切る。これを見て「喫煙は不道徳だ」、「こんな歌舞伎は教育的でない」と嫌煙家たちが言うのであれば、それこそ無粋の極みだろう。寛容の欠如は「粋」を殺すだけではなく、ファシズムそのものであることを、ヒステリックな嫌煙主義者たちは知るべきである。

(以上は2009年JanJanに掲載されたものの再録です。)


成人年齢引き下げに男性は「賛成」、女性は「反対」

JUGEMテーマ:社会の出来事
 

 成人年齢の18歳への引き下げに男性は「賛成」、女性は「反対」が多数。博報堂生活総合研究所(東京)がこのほどインターネットを通じて「成人年齢引き下げ」や「夫婦別姓」などの社会問題について調べたところ、男女の意識差が明らかになった、という記事が新聞に載っていた。

 

 博報堂の調査は昨年10月おこなったもので、15歳から69歳の男女あわせて3340人から回答があったという。成人年齢の18歳への引き下げについて、男性は「賛成」(36.6%)が「反対」(28.8%)を上回った一方、女性は「反対」(41.6%)が「賛成」(24.9%)を上回り、男女の意見が不一致という結果になった。

 

 この結果について博報堂は「年齢引き下げは大人を自覚する良いチャンス」と思う男性と、「未熟なおとなが増えている今、年齢引き下げが社会問題の解決につながるとは思えない」と感じている女性の意識の差が浮彫りになったと分析している。

 

 去年8月に私はインターネットニュースのJANJANに「25歳でも成人は無理、生涯コドモの日本人」という記事を書いた。今回の調査を見て、私と同じく感じる女性が多いことに力を得た。

 

 このJANJANニュースは今月一杯で経営不振のため休刊になってしまうという。たぶんそのまま廃刊になって、オーマイニュースのときと同じく私の記事も消え去ってしまうのだろう。そこで自分の記事をコピペして自分のブログに載せておくことにした。

 

25歳でも成人は無理、生涯コドモの日本人

〜法制審の成人年齢「引き下げ」は逆、むしろ「引き上げ」を

 

 投票箱法務大臣の諮問機関である法制審議会の「民法成年年齢部会」は7月29日、国政選挙で投票できる選挙年齢を18歳に下げることを条件に、民法が20歳と定めている成人年齢を18歳に引き下げることが適当だとする最終報告書をまとめた。成人年齢を引き下げる意義については、「18〜19歳の社会への参加時期を早めることを意味し、若者が将来の国づくりの中心だという、国の強い決意を示すことにつながる」としている。

 

 しかし「成人年齢」を2歳引き下げたから日本人が早く「オトナ」になるかというと、私は全く懐疑的である。いまの若者の状態を見ると、むしろ成人年齢の「引き上げ」が必要だと思う

◇「オトナこども」の蔓延する日本

 私は中国人だが、日本人は同年齢の中国人と比べて見掛けが若いし、精神的にも成熟が遅い。少し前に「シュガー社員」という言葉を聞いた事がある。日本では、大学卒業生の就職面接にまで親が付き添ってきたり、会社の残業にまで口を出す親がいるという。

 

 本人も、仕事を始めてから突然何の連絡もなしに会社を辞める、仕事場で叱ると親が会社に来て抗議する、時間にルーズで定刻通りに出勤しない、仕事よりも私事を優先し業務に支障をきたす、自立心が乏しいのに自信過剰、などの共通点を持つ若者が増えているという。(出典:Wikipedia)この言葉が広く使われたのは、文字通り「オトナにならない」実態があったからだろう。

 

 「成人」の遅れは結婚の高齢化にも現れている。日本の結婚年齢はここ30年ほど上昇を続け、25−29歳の女性の未婚率は1970年代に20%前後だったものが、今では50%を超えている。男性も30−34歳で10%前後から46%にまで上昇している。女性の場合は就業率が上がり主婦予備軍が減ったことが理由の一つに挙げられるが、それでは男性の増加の理由にはならない。

 

 未婚率の急激な上昇が80年代のバブルの頃に起きていることを考えると、仕事や遊びで楽しい時代を少しでも長く味わうために結婚を先延ばしにするのがその理由と思われる。子供や配偶者など家族を持つことに伴う責任を取りたくないのだろう。モラトリアムを続け人生の決断を下さないことは、人間の成熟を遅らせる。(これはアラサー女の私自身も含むのだが。)

 

◇人を「おとな」にさせない政府

 日本人がおとなにならない原因の1つは政府にある。

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【書評】 「中国に人民元はない」(文春新書)

JUGEMテーマ:中国ニュース
 

book 「中国に人民元はない」という、オヤッと思わせるタイトルで読ませるという、ちょっとキワモノじみた題名ですが、内容は中国人の私が読んでも面白いし、示唆に富んだ本です。全部で30章に細かく分かれていて、それぞれの章のタイトルが「中国には○○はない」という構成になっています。

 

 例えば、中国に裁判所はない、中国に地方公務員の汚職はない、中国に権力と権利との違いはない、中国に農民の失業はない、などの項目が並んでいます。一つだけ謎解きをすると、中国になぜ地方公務員の汚職がないかというと、中国の公務員は全部が国家公務員であって、地方公務員という存在がないからというわけです。多くの章がこのような筋立てになっています。

 著者の田代秀敏さんは一橋大学経済学部卒業後、証券会社エコノミストなどを経て、今は産業コンサルタントをしている方です。何度も中国へ行かれ、中国企業の合弁やM&Aなどに関与しておられるようですが、この本の内容から見ると中国に住んだことはないようです。

 

 とても鋭く且つ正確だと思った指摘をいくつか抜書きしてみます。


◇ 中国と日本の法律の違いを述べたところで、

「『中国が日本と違うこと』は中国リスクではない。『違いを知らずに、日本の常識や通念を押し付けること』こそが中国リスクなのだ。」

 

◇ 都市戸籍と農村戸籍について述べたところで、

「中国で農民は職業ではなく、階級であり身分である。」

 

◇ 中国を市場としてみた場合のことを述べたところで、

「『13億の巨大人口』は『13億の巨大市場』を意味しない。中国には全国を覆う市場、全国市場圏がないからである」

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神奈川県知事の非常識、東京都知事の常識

 
 
神奈川県は来月から罰則付きの受動喫煙防止条例を施行するのだそうだ。県内に約11万カ所ある飲食店やホテルなどは「全面禁煙」にするか、「店内での分煙化」にするかを選ばなければならず苦慮しているという。

 

 何で、各店舗ごとに全面禁煙か、分煙かという選択をしなければならないのだろう。なぜ「禁煙店」、「喫煙店」の二種類にしてはいけないのだろう。

 

禁煙ポスター 一つの店を内部で区切って分煙化するには大掛かりな工事が必要でお金がかかる。店にとっても客にとっても、「禁煙喫茶店」と「喫煙喫茶店」の両方が点在していた方がよほど便利だと思う。またニューグランドみたいに大きな国際ホテルにはバーが二つぐらいはあるものだ。片っぽを禁煙バーにし、メインバーではシガーも吸えるようにしておけばいいじゃない。だいたい、世界的に見てメイン・バーで煙草も吸えないようなホテルは一流とは言いかねる。

(このポスターは私から見れば「吸いたい人にも吸わせない」に見えるのだが・・・)

 神奈川県の松沢知事は、分煙化が現実的でないことを知っているのだろう。それでも、県民の30%を占める喫煙者を欺き、県内11万箇所の店やホテルに出費を強い、客の都合は無視して自分の偏狭な考えを押し付けようとしているというわけだ。つまりは、自分の方針に全県民がひれ伏して従うことを求めているということだ。
 

 厚生労働省は先週、飲食店やホテルなど公共的施設の原則全面禁煙を求める通知を地方自治体に出した。これに対して松沢知事は「(喫煙者に対する)罰則がないのは、国の自治体に対する責任転嫁も甚だしい」と憤り、「国にやり方が分からないのであれば、神奈川県の条例を参考にしろ」と述べた。自分が100%正しいと思っているからこのような発言が出るのだろう。

 

 人不同於己、雖善不善、謂之矜。 (自分と意見が異なると、相手の意見が悪いという。これを独善という。『荘子』)

 

 一方、東京都の石原知事は、厚生労働省の通達についてこんなことを言っている。

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バンクーバーの桜?

 

sakura1 バンクーバーは快晴で暖かい日が続いています。今日の予報も、最高気温は11度まで上がる予想で、コートのボタンをとめなくても街を歩けます。ダウンタウンを散歩していたら、ピンク色の花が満開なのに気づきました。あっ桜だ・・・などと思ってから、私も随分日本人化したかも、と思いました。中国ならまずは梅、桃、李、杏の花を思い浮かべるはずで、桜は順位が低いからです。

 でも木の幹が桜とは何となく違うように見えるし、花の色もピンク色が濃いように思います。ホントに桜かしら・・・?でもそのすぐ横に「日本料理SAKURA」という店があったので、やっぱり桜かな、などと思いました。


 

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バンクーバーへ来ました!

 

街中 中国では今がちょうど春節(旧正月)で、今週一週間は会社も官庁も休みだ。日本には春節はないが、「中国で春節ですから休ませてください」と無理を言って、バンクーバーへオリンピックを見にやってきた。

 

 一昨年、北京でオリンピックを体験して以来、私はオリンピック・フリークになってしまったようだ。街中に人が繰り出し、勝ったとか負けたとか、あのプレーは最高だったなどと「同じ言語」で熱く語る、あの興奮が忘れられないのだ。

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【書評】 新華僑 老華僑―変容する日本の中国人社会

JUGEMテーマ:中国ニュース
 

文春新書 文化大革命の終わった1980年代から中国から日本へ来る留学生などが急激に増えた。第二次大戦前から日本にいる「老華僑」やその二世、三世たちと、新たに日本へきた中国人たちとの間には余りお付き合いがないのが現実だ。著者の譚さんは日本生まれの老華僑、もう一人の著者の早稲田の劉先生は80年代に日本へ留学した新華僑という組み合わせで、なんとかこの二つのグループを融合させたいというのが、お二人がこの本で言いたい事のようだ。 

 譚さんは、長崎、神戸、横浜の三つの都市の華僑の歴史を聞き書きと探訪記事で綴っている。長崎の華僑は、明治初年の日本の開港以来、地盤沈下が進み、ついに1980年代には中華学校も閉鎖になったという。神戸は台湾人の多い中華社会、横浜は大陸系と台湾系が相半ばして、70年代までは激しく覇権を争った地区だそうだ。

 

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私のお気に入り新聞 〜読みやすい産経Express〜

JUGEMテーマ:社会の出来事

 電車内の吊り広告を見て、産経新聞が出している「産経Express」を家でとり始めた。産経新聞自体は中国に批判的な記事が多くて私はあまり親しみを感じなかったのだけれど、この新聞はとても読みやすいし内容がしっかりしている。

 

浅田真央 タブロイド版で横書きなのと写真が多いので、週刊誌感覚で読める新聞だ。新聞記事には数字が多いから本来は横書きの方が合理的なのだが、日本の新聞はなぜか頑固に縦書きを守ってきた。中国の新聞は全て横書きだし、韓国も横書きが結構ある。(もっとも中国の場合は法律で縦書き出版物を禁じているので、本も新聞も横書きにならざるを得ないのだ。)

 

 この写真はフィギュアの浅田真央ちゃんだが、普通の新聞はこういう写真は絶対使わない。スポーツ面ならジャンプのアップを使うと思うが、これはAP通信社の配信とはいえ芸術写真に近い。フィギュア・スケートって形が全てなのだから、こういう写真を使うと現実よりさらに思わぬ形がみえるものだ。これって雑誌感覚だと思う。  

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