最終更新: 2012/01/28 07:59

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「アラブの春」から1年 緊迫感を秘めたパレスチナ自治区ガザの街を取材しました。

「アラブの春」から1年。春風はアラブの孤島、パレスチナ暫定自治区のガザ地区に、経済復興ブームをもたらしていました。
しかし、取材班が2年ぶりに接触したイスラム原理主義組織「ハマス」の秘密部隊は、以前より重武装になっていました。
緊迫感を秘めた街を取材しました。

変わりゆくアラブ諸国の中で、異なる春を迎えている場所がある。
もう1つのアラブ、パレスチナ暫定自治政府ガザ地区。
戦乱にさいなまれてきたこの地で今、新たな動きがある。
街の人は「ガザは、いい方向に変わりつつある」と話した。
その一方で、今も続く怨念と流血の危機。
中東の発火点ともいわれるガザに起きている変化を追った。
イスラエルに囲まれたパレスチナ暫定自治政府のガザ地区。
日本の種子島ほどの地域に、150万人余りのパレスチナ住民がひしめく。
粗末だが、にぎわいを見せる市場は、封鎖されイスラエルに攻撃されてきた地域には見えない光景が広がっていた。
記憶に新しい2008年のイスラエル軍侵攻。
攻撃は、ガザを実効支配する対イスラエル強硬派組織「ハマス」へ向けられたものだが、犠牲者の多さと、街の破壊は目を覆うものだった。
それからおよそ3年、市街地には新たなビルが建てられ、中には高級ホテルだという大型ビルもある。
さらに、ガザの街中には、パレスチナ人がオーナーで、イスラエルとも取引のあるショッピングセンターができていた。
品物には、今までなかったイスラエルからの商品もある。
客は「昔はこんなに潤っていなかった。品数だけでなく、娯楽施設や観光地も増えたわ」と話した。
2階まで続く売り場へ足を延ばすと、ガザでは見たこともない、香水や化粧品売り場が現れた。
店員は「ここは、ガザを明るくしています。種類も豊富で、欲しい物が全てそろう。これで経済もよくなるわ」と話した。
値段は高めだが、客足は途絶えない。
利用者の多くは、ガザを出た親族から仕送りを受ける、またはエジプトなど近隣諸国との商売で収入を得た新たな富裕層だという。
こうした富裕層の出現の背景には、ガザを1つの市場と見なし始めたイスラエルの封鎖緩和が働いているともいわれる。
だが、やはりイスラエルとの関係は緊張したままとなっている。
2011年12月にも、イスラエル軍の攻撃が民家に及び、死傷者が出ている。
取材班は、夜のガザ市内で、ハマスの軍事部門・カッサーム旅団との待ち合わせ場所に向かった。
そして、待ち合わせ場所に現れたのは、対イスラエル武装部隊・カッサーム旅団の兵士たちだった。
イスラエル軍からは、抹殺の対象となっているため、暗闇の中でわずかな光だけという特殊な条件での撮影となった。
実は取材班は、2年前の2009年にもカッサーム旅団に接触している。
当時、カッサーム旅団の兵士は「われわれの銃はこんなものだが、神のご加護とともに、イスラエルの戦闘機や戦車にだって立ち向かえる」と話していた。
前回は、自動小銃だけでカメラの前に現れた彼らだったが、今回、彼らの武装や戦術は変化したようだった。
まず、自動小銃よりも火力の大きい機関銃を装備していた。
兵士の1人が構えるロケット弾は、爆発部分が2段になり、戦車など、装甲車両を狙う仕様のもの。
さらに、兵士が運び、仕掛けようとするのは、大型の地雷だった。
以前に比べ、戦闘能力が大きくなっているようだ。
今回は、イスラエル軍の捜索が厳しくなっているため、兵士へのインタビューは許されず、短時間の取材となったが、後日、ハマスの責任者が取材班に答えた。
ハマス軍事部門担当者は「パレスチナ全土の解放へ向け、活動している。戦略は『イスラエルへの抵抗』ただ1つのみだ」と話した。
経済的発展の兆しが見える一方で続く、戦争の危機。
ガザの行き着くアラブの春は不透明となっている。

(01/28 02:23)


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