特許庁が24日、東芝ソリューション(東京・港)に委託して進めてきた次期基幹システムの開発中断を決めたことは、知財保護の国際対応などの政策に影響を与える可能性がある。再発防止のための入札制度の見直しなども検討課題に上りそうだ。
同庁が開発中断を決めたのは、特許などの出願を受け付け、審査などを実施するための基幹システム。2006年に開発に着手し、当初は11年1月の稼働を目指してきたが、作業が遅れ、稼働予定を14年1月に延期していた。
同庁は昨年9月に有識者による検証委員会を設置して実態を調べていたが、委員会が「中断が妥当」と結論づけたことを踏まえて中断を決めた。同委員会の報告書は「東芝ソリューションの管理能力・開発能力が十分ではなかった」と指摘。同庁は業者を再選定して開発をやり直す方針だ。
開発中断で影響が懸念されるのは中国からの特許出願増加への対応だ。特許庁は中国の特許文献を日本語で検索できる機能を次期基幹システムに盛り込み、特許審査に役立てる方針だった。次期システムの稼働が遅れれば、中国の特許への対応も遅れることになる。
企業のロゴマークなどを保護する商標権、製品デザインを保護する意匠権にも影響が出そうだ。同庁は意匠の国際登録制度を定めた「ヘーグ協定」にも加盟を検討中。13年にも国会に法案を提出する予定だが、システム面の対応が遅れれば、施行時期などに影響が出る可能性がある。
システムの開発委託先の決定は一般競争入札を実施し、東芝ソリューションのほかNTTデータと日立製作所が応札。入札予定価格の6割以下という最も安い価格を示した東芝ソリューションが落札したが、同社に対する技術力の評価は低かったという。同庁は「技術的評価の配分が高ければ今回の事態は防げた」とみており、再発防止策の導入も課題になりそうだ。
東芝ソリューション、システム開発、NTTデータ、日立製作所
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