通信トラブルが続いているNTTドコモは27日、スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)の普及による通信量の増大に対応するため、11年度から4年間で計1640億円を投じ、通信設備を増強する再発防止策を発表した。山田隆持社長は同日記者会見し、「多大なご迷惑をかけ申し訳ない。再発防止に全力で取り組み、信頼回復に努めたい」と陳謝、自身の役員報酬を3カ月間・20%減額、副社長など他の幹部5人も同3カ月・10%減額する処分を発表した。
山田社長は会見で「(スマホ情報量の)急激な伸びがつかめなかった」と述べ、想定の甘さが通信障害を招く一因になったと認めた。ドコモは従来の設備投資計画では、通信設備の増強に4年間で1150億円を投資する予定だったが、トラブルの多発を受け、500億円を積み増す。増額分はコスト削減などで捻出し、通話料金など価格への転嫁はしない方針だ。
25日に発生した通信障害では、データ通信を処理する「パケット交換機」の処理能力が通信量の急増に追いつかなかった。このため、14年度末までに機器を増設し、データ通信の処理能力を強化する。「spモード」と呼ばれるスマホ向けのメール送受信システムも改善し、現行スマホ利用者の約5倍にあたる5000万人が利用しても対応できる体制を整えるという。
ただ、iモードと違い、スマホ向けのソフト(アプリ)は開発の自由度が高く、利用者がどのようなアプリを利用しているか、すべて把握するのは難しい。大量のデータをやりとりするアプリの利用が広がれば、事業者側もさらに処理能力を高めないと追いつかない。同社は他の通信事業者とも協力し、アプリ開発のガイドラインを検討する方針だが、山田社長は「思わぬところで(トラブルが)起きる可能性はゼロではない」と説明する。
ドコモは25日に東京都心で携帯電話の通話やデータ通信ができなくなるトラブルを起こし252万人に影響が出るなど、昨年6月以降、計5回の通信障害を起こしている。【赤間清広】
毎日新聞 2012年1月27日 21時08分