野田佳彦首相は26日の衆院本会議で始まった各党代表質問で、消費増税が09年衆院選の民主党マニフェストに違反するとの批判に「衆院議員任期中に消費税率の引き上げは行わない。従って公約違反ではない」と反論した。「やり抜くべきことをやり抜いたうえで国民の判断を仰ぎたい」と早期の衆院解散・総選挙には否定的な考えを改めて表明。自民党の谷垣禎一総裁に「改革の方向性、考え方に大きな違いはなく、ぜひ協議に応じてほしい」と与野党協議への参加を要請した。
谷垣氏は消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革について「マニフェスト違反は明らかだ。民主党政権に(消費増税法案)提出の権限は与えられていない」として、衆院解散・総選挙で国民に信を問うよう迫った。首相は「一体改革も(自公連立の)前政権から引き継ぎ、避けては通れない与野党共通の課題として実現を目指している」と強調。「政策の是非については次の選挙で国民に判断いただく」と消費増税を争点とする解散の可能性にも言及した。
公明党が与野党協議に応じる条件として提示を求めている年金制度の抜本改革案について首相は「民主党での議論を踏まえ、政府としても具体的な給付と負担など必要な検討をしたい」と前向きな考えを示した。抜本改革によってさらに消費増税が必要となるかどうかは「新しい制度への切り替えには相当長期の移行期間が必要で、(10%に引き上げる)2015年度の段階で大きな追加財源が必要になるものではない」と述べるにとどめた。
玄葉光一郎外相が外交演説で竹島問題に言及したことに関連し、韓国政府の撤回要求に対し首相は「撤回を受け入れることができないと(韓国側に)明確にした」と強調。東京電力福島第1原発事故を受け政府が設置した原子力災害対策本部の議事録が作成されていなかった問題については「事実であり、誠に遺憾だ」と述べた。
代表質問は27日に衆参両院、30日に参院の本会議でも行われる。【福岡静哉】
毎日新聞 2012年1月26日 20時49分(最終更新 1月26日 21時15分)