米自動車大手3社、12年は国内市場でシェア低下か-トヨタ回復へ
1月26日(ブルームバーグ):米自動車メーカーは今年、ゼネラル・モーターズ(GM)を中心に米国市場でシェアを縮小する見通しだ。ただ災害に苦しむ日本勢から昨年奪ったシェアの一部を維持することで、その影響が和らぐ可能性がある。
ブルームバーグがアナリスト5人を対象に実施した調査結果によれば、1988年以来初めて3社そろって昨年市場シェアを拡大したGMとフォード・モーター、クライスラー・グループは、今年は3社合計で1.3ポイント縮小する見通し。トヨタ自動車とホンダが東日本大震災やタイの洪水被害から回復する中で、一段と厳しい競争に直面するとみられる。
アナリスト5人は全員、米3社の販売台数の伸びが市場全体を下回ると予想。失業者の減少や消費者信頼感の改善、買い替えサイクルが需要を後押しするものの、日本メーカーの生産回復に加えて韓国勢や独フォルクスワーゲン(VW)の競争力向上に伴い、単に車を売るだけでなく利益を確保する力が試されることになりそうだ。
自動車価格情報サイト、米トゥルーカー・ドット・コムのアナリスト、ジェシー・トプラック氏は電話インタビューで、「市場シェアの低下は決してプラスではないが、米メーカーはなお成長しようとしている」指摘。その上で、「コスト構造を改善させ、消費者の欲しがる車を造り、インセンティブ(奨励金)に頼らず販売する新たな重点方針を見失うことはできない」と話す。
3社そろって低下へ
アナリスト5人の予想平均によると、今年の米自動車販売台数は1360万台と昨年の1280万台から増加し、27年ぶりの低水準となった09年の1040万台から回復基調が続く見通し。
アナリストの予想では、GMの今年の米市場シェアは19%と、昨年の19.6%から低下が見込まれている。フォードも16.3%(前年16.8%)、クライスラーは10.5%(同10.7%)に縮小する見通し。自動車業界分析会社オートデータによれば、昨年は3社合計でシェアを2ポイント伸ばした。
最後に3社がそろって米市場でシェアを落としたのは、GMとクライスラーが米政府支援の下での経営再建に追い込まれる前年の08年。10年前は、クライスラーがダイムラークライスラーだった当時の「メルセデスベンツ」の販売を除いた3社合計で63%のシェアを占めていた。昨年は47%だった。
トヨタとホンダは回復
トヨタの米市場シェアは12.9%から13.8%、ホンダは9%から9.5%にいずれも拡大するとみられる。一方、日産自動車は8.2%から8%に低下する見通し。昨年は0.4ポイント伸びた。
韓国のヒュンダイモーターカンパニー(現代自動車)と起亜自動車の今年の米市場シェアは9%の見通し。昨年は8.9%だった。
VWは「フォルクスワーゲン」と「アウディ」の両ブランドを合わせた米市場シェアが前年比0.3ポイント上昇し、3.8%となる見込み。ブルームバーグが調査したアナリスト5人のうち3人は、今年の販売目標である50万台を達成できないと予想している。
記事に関する記者への問い合わせ先:Craig Trudell in Southfield, Michigan, at ctrudell1@bloomberg.net;
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更新日時: 2012/01/26 16:39 JST