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経済産業省原子力安全・保安院が、テロによる原発の全電源喪失に備えて米国で義務化された対策を2008年までに研究していたにもかかわらず、電力会社などに伝えず、活用していなかったことが分かった。現実的な危機と考えず、「想定外」としていたためだ。この対策がとられていれば、東京電力福島第一原発事故の被害の拡大を防げた可能性があると、東電や政府関係者は指摘する。
政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)はこの経緯について、保安院担当者らから聞き取り調査を行った。事故調は7月の最終報告に向けて、災害対策の不備の背景要因についても調べを進めている。
このテロ対策は、米原子力規制委員会(NRC)が同時多発テロが起きた後の02年2月、原発に航空機が激突しても事故を拡大させないことを目指して義務化。この非公開の対策を義務づけた行政命令の条項から「B5b」と呼ばれる。