桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

判っていない

2012-01-19 | Weblog
広島刑務所での脱走騒ぎでは、まだ「広島刑務所の管理体制に問題アリ」とかの報道が続いているが、本質が判っていないと思うことがある。
管理とは、厳しく受刑者を管理すことだと、一般には思うのだろうが、広島刑務所の受刑者に対する管理は、多分、日本で何本指化に入る厳しさだろう。俺に言わせると、だからこそ、今度脱走騒ぎが生まれたのだと思っている。
もし、俺が千葉刑務所にいるとき、今度のようなことが起こったとしたらば、必ず受刑者の仲間が「やめておけ」と言うし、止めるだろう。もし、李のように密かに実行したとしたらば、50人も一緒に運動していれば、誰も見ていないことはないのだから、見つけた仲間は担当職員に知らせるだろう。もちろん、それは「チンコロ」と呼ばれて蔑まれるが、職員と受刑者との間に信頼の生まれるような「管理」が行われていれば、絶対に「見逃し」はしない。「オヤジを悪い立場に出来ない」として、誰かは「逃げた」と教えるだろう。
李国林が逃げおおせたのは、それを「ざまあ見ろ」と、刑務所に反発するような人格無視の管理を日常的に行っているからこその脱走だと、ほとんど語る人がいない。判ってないのだ。かくして、さらに人格や人間的な配慮を無視して懲罰的な管理が広島刑務所では行われるだろう。
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千葉刑務所
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Unknown (たまご)
2012-01-19 19:42:55
桜井さんのこのコメントはすごく貴重なコメントです。
このブログにとどめずにツイッターなどで広く拡散させて欲しいと思っています。
懲罰的な日勤教育がJR西日本の脱線事故と大惨事を引き起こしたのと、今回の逃走事件が同根だという御指摘に全く目から鱗が落ちる思いでした。

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