放射性物質

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放射性物質:除染14年3月に完了 環境省が工程表

小雪が舞うなか、雪下ろししながら除染する作業員ら。本格的な除染は春以降に始まる=福島県飯舘村の飯舘村公民館で2012年1月21日、森田剛史撮影
小雪が舞うなか、雪下ろししながら除染する作業員ら。本格的な除染は春以降に始まる=福島県飯舘村の飯舘村公民館で2012年1月21日、森田剛史撮影
新たな避難指示区域ごとの除染工程表
新たな避難指示区域ごとの除染工程表

 環境省は26日、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の除染について、国が直轄で進める除染作業の工程表を発表した。放射線量が年間50ミリシーベルト以下の地域は住民の同意など条件が整った地域から今春以降順次、本格除染に着手し、14年3月末の完了を目指す。一方で年間50ミリシーベルト超の地域については、現在の技術では住民が帰宅できるレベルまで線量を下げられず、帰還の難しさが改めて浮き彫りになった。

 国は放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、現在の警戒区域と計画的避難区域を「除染特別地域」として除染。また、両区域は4月から(1)年間20ミリシーベルト以下の避難指示解除準備区域(除染対象面積約1万200ヘクタール)(2)同20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下の居住制限区域(同7200ヘクタール)(3)同50ミリシーベルト超の帰還困難区域(同約9300ヘクタール)--の3区域に再編する方針を固めている。

 工程表によると、3区域のうち年間50ミリシーベルト以下の(1)、(2)の地域の除染を優先する。特に役場や公民館、常磐道や上下水道などのインフラ施設の除染を先行。同時に民有地の土地所有者を把握し、除染実施への同意を得て本格除染に着手する。

 (1)の地域では、まず同10ミリシーベルト以上の地域や5ミリシーベルト以上の地域の学校など線量が高めの場所から同10ミリシーベルト未満を目指して除染し、今年中の完了を目指す。さらに5~10ミリシーベルトの地域では来年3月末まで、1~5ミリシーベルトの地域では14年3月末までに除染する。この過程で、来年8月末までに住民の年間追加被ばく線量を昨年8月末に比べて、約半分に減らし、子どもは約6割減を目標とする。

 (2)の地域では、年間追加被ばく線量を20ミリシーベルト以下にすることを目指し、今秋から14年3月末まで除染する。

 年間50ミリシーベルト超の(3)の地域では当面、除染の効果を確かめるモデル事業を実施することのみが盛り込まれた。

 環境省は今後、対象の市町村と協議し今年3月末までに自治体ごとの詳細な除染計画を策定する予定。

 細野豪志環境相は「除染の目的は、避難住民に一日も早く帰っていただくことだ。一方で、帰還困難区域の皆さんには(本格除染の計画を示せず)厳しい状況であることを客観的にお知らせすることになった」と話した。

 除染特別地域の面積は約2万6700ヘクタール(森林は除く)で、住宅や商業地、農地など民有地の所有者は推定約6万世帯ある。【江口一】

毎日新聞 2012年1月26日 20時31分(最終更新 1月27日 2時00分)

 

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