柔道部の練習中に意識不明になり、約1カ月後に死亡した滋賀県愛荘町立秦荘中学1年の村川康嗣君(当時12)の母弘美さん(44)が、指導した元顧問(29)と町に損害賠償を求めた訴訟の第4回口頭弁論が24日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であり、これまで争う姿勢を示していた町が一転して元顧問の過失などを認めた。
訴状などによると、村川君は2009年7月、上級生と技をかけ合う「乱取り」を繰り返した後、代わった当時の顧問に大外刈りを返された直後に意識を失い、8月24日に急性硬膜下血腫で死亡した。
原告側は、村川君が初心者だったにもかかわらず、元顧問が過酷な練習を続けさせたことは安全配慮義務違反に当たると主張。これに対して被告側は、これまで村川君の受け身の技術は他の部員と変わりなく、乱取り中も異常はなかったなどと主張し、請求の棄却を求めていた。
この日の口頭弁論で、町側の弁護人は「元顧問の過失については争わない」と述べ、責任の一部を認めた。次回の口頭弁論で、その責任の範囲と賠償額について主張するという。一方、元顧問の弁護人は「当面の間は争う」と述べた。
閉廷後に取材に応じた村川君の伯父の義弘さん(50)は「11月にあった前回の口頭弁論では、被告側はカルテの開示を求めようとするなど対決姿勢だったが、一転して主張が変わり、困惑している。いたずらに裁判に時間をかけただけだとしたら、あまりにも遺族を愚弄(ぐろう)した態度ではないか」と憤りを見せた。