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毎日新聞 2005627日夕刊[特集WORLD]

「公金をたかるシロアリを放置し働き蜂にもっと働けと言うのか」

 (政府税調が公表した個人所得課税に関する)「論点整理」は中身以前に、なぜこのようなものを今出してきたのか意図がよく分からない。景気が本格的に回復して個人所得も伸びている中で個人所得課税のあり方を見直すというのであれば分かるが、政府自身が景気について「踊り場だ」とか言っているような状況だ。そこに増税路線でしかも取りやすいところにサーチライトをあてた議論を持ち出すのは理解できない。このような報告書が出ること自体が将来不安を引き起こし、個人消費を冷え込ませるとしか思えない。

 

 財政再建を考えているにしても、国民が考えているのは「先ず隗より始めよ」で公的部門のリストラであり歳出削減だ。それでも足りない場合に国民に負担をお願いするというのが筋だが、公的部門のお金にシロアリがたかっている構造を放置し、働き蜂にもっと働いて税金を払えと言っているようなものだ。

 

 「論点整理」と同じ日に、小泉内閣で5回目の「骨太の方針」が決まったが、骨太ではなく総花的なものにとどまった。公務員改革は「定員の純減目標を策定する」とは書かれているが、具体的数値目標は示されなかった。歳出面では、一般会計にも問題はあるが、重要なのは31ある特別会計の205兆円(重複分を除く)だ。しかも1960年と比べると、特別会計の膨れ上がり度合いは一般会計の増加率の2倍を超えている。塩川正十郎前財務相でさえ、「一般会計が母屋で特別会計が離れだとすると、母屋ではおかゆをすすっているのに、離れではスキヤキを食べている」と表現したことがあるほど、大改革が必要なのだ。

 

 内容を見ると、消費税なども含めて税体系全体のあるべき姿を論じる中で所得税制のあり方を見直すというのであれば民主党もそのような考え方は持っているし、あるべき論でいうならば現行の複雑な控除は整理していくべきだと思う。控除より手当のほうが低所得者にとってはプラスなので、扶養控除や配偶者控除を整理して「子ども手当」に変えるという予算案も民主党は提案している。従って、流れとしては理解できる項目もあるが、財政再建のための増税ならまず先にやることがあるだろうと言わざるを得ない。

 そもそも定率減税の廃止や控除の見直しは、03年の衆院選でも昨年の参院選でも自民党の政権公約(マニフェスト)には書いていない。民主党は年金目的消費税にするなど税金を上げる話をマニフェストに書いているので、これでは後ろから袈裟斬りするような話だ。2大政党の議論がかみ合わなくなる。

 

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