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■キャブレターのセッティング(基本編)

 

作業時間

必要部品代
取付60分〜、セッティング〜∞
19,000円〜
(キットによって異なる)

効 果

必要工具

 エンジン特性の変化、トルクアップや最高出力の向上など。キャブレターの選択、セッティングによって様々なフィーリングを出すことができます。

 ・ソケットレンチセット
 ・ドライバーセット(プラス、マイナス両方)
 ・六角レンチセット(キャブによって必要)
 ・ラジオペンチ(出来ればあった方が便利)

 キャブレターの役割は混合ガスの生成にあります。この混合ガスの「混合比」をどのスロットル開度でも
最適な状態にするのがセッティングであり、もっとも頭を悩ますところでもあります。

 セッティングはエンジンのチューニングの度合標高差や、気温湿度スロットルの開け方など
様々な要因で変化します。エンジン自体の個体差もあるので、全く同じ仕様のエンジンだからといって
同じセッティングになるとはかぎりません。
それだけにベストセッティングを探すには、経験が重要に
なります。

 モンキーのキャブは取り外しも簡単で、気軽に様々なセッティングを試すことができます。キャブの
セッティングは厄介な作業ですが、それだけに見返りも大きいと思います。
いきなりベストセッティングを
目指すのではなく、各セッティングパーツの役割をよく理解し、自分だけのベストセッティングを
じっくり探しましょう。

※モンキーのキャブレターは、各社様々なメーカーから販売されていますが、むやみに大口径を選択する
のではなく、必ずエンジンの仕様を考えて選んで下さい。最初の選択を誤ると、後々苦労することになる
ので、メーカーの推奨があればそれに従いましょう。

■キャブレターの各部名称

 ノーマルとの比較です。左がノーマル(口径13mm)、右がPE20(口径22mm)です。

 同じモンキーに使えるキャブですが、口径の違いでこれだけサイズが違ってきます。ノーマルキャブでは、交換できる部品も少ないので、今回はこのPE20で解説していきます。

 右側の大きな○がアイドリングスクリューです。アイドリングの回転数を調整します。右回し(時計回り)に締め込むことで、アイドリングの回転数が上がります。

 左側の少し小さな○がエアスクリューになります。アイドリング時の空気量を調整します。

 底のカバーを外したところです。黒いプラスチックがフロートです。ここが浮いて、ゴムバルブを動かすことでガソリンの流入量を調整します。

 ガソリンがオーバーフローする場合、この部分の不良が原因と考えられます。

 中心の白いプラスチックを取ると、メインジェットとスロージェットが現れます。

 左側の○がメインジェットです。高速域でのガス量を調整します。右側の○がスロージェットになります。主に低速域のガス量を調整します。

 それぞれを取り外した状態です。左上がニードルジェットです。低速〜中速域までのガス量を調整します。

 左下がメインジェットで、右側がスロージェットになります。それぞれ表面には番号が刻まれており、この部分を交換することで、ガス量を調整します。番号が大きくなるほど、濃い方向へセッティングは変化します。

 キャブのヘッドキャップを取り外した状態です。左側がスロットルバルブです。この部分をアクセルワイヤーで引っ張ることで、エンジンの回転数を調整します。

 スロットルバルブを分解した状態です。左側がジェットニードルです。上部のEリングの段数を調整することで、主に中速域のガス量を調整します。(かなり低速域から幅広く影響します)

 右側がスロットルバルブです。下の部分のカットウェイの角度を変えることで低速域のガス量の調整をすることができます。

 

■スロットル開度ごとの担当補正パーツ

○パイロットジェット(スロージェット)

 スロットル開度が全閉(アイドリング時)に作用します。

 スロットルが全閉に近いところでは、ベンチュリー内の空気流速が遅く、メイン系の燃料噴出がありませんのでスロットルバルブによって比較的空気流路が細くなり、流速の速い場所にスロージェットが設けられています。

 またパイロットエアースクリューが付いているタイプはコレを開閉することで噴出量を調節できます。

○カットアウェイ(スロットルバルブ)

 スロットル開度が1/6〜1/2に作用します。番数を上げることで吸入負圧が増大し、混合ガスが濃くなります。

 カットアウェイとはスロットルバルブの、空気吸入方向に開いた切り欠きのことを言います。

 番数を下げる(角度を0に近づける)事によって、ベンチュリーの吸入負圧が増大しより多くの燃料を吸入するので混合ガスが濃くなります。

○ジェットニードル/ニードルジェット

 スロットル開度が1/6〜1/3に作用します。

 低開度から1/3程度まではベンチュリー内の空気流量が少なく、適度な 混合比にするためには燃料の量を少なくしないといけません。

 この開度では、ニードルジェット(筒)の中にジェットニードル(針)を出し入れするこで燃料流量を調整しています。

 また、ジェットニードル(針)の上部に付いている、Eリングの位置を調節 する事により、燃料流量を調節出来ます。

○メインジェット

 スロットル開度が1/2〜全開に作用します。番数を上げることによって口径が大きくなり、混合ガスが濃くなります。

 全開度域では、ベンチュリー内の流速も速く、流量も多くなります。調整はメインジェットで行います。

(スロットル開度が1/2〜全開までとなっていますが、実際にはかなり広範囲に影響を与えます。メインジェットの番数を変更することで、低速域も調整が必要になることがあります)

 

■環境によるセッティング傾向

環境
混合気
セッティング変更

◇寒い時

 薄くなる

 濃くする

◇暖かい時  濃くなる  薄くする
◇乾燥時  薄くなる  濃くする
◇多湿時  濃くなる  薄くする
◇高地  濃くなる  薄くする

 

■現象によるセッティング法

現 象
セッティング方法
備 考

・スロットル全開で混合気が薄い

 −息ツキを起こす
 −キリキリ音がする
 −プラグが白色
 −伸びは十分にある
 −回転上昇が鈍い

●メインジェットの番数を上げる。

 プラグの焼け具合が薄い、褐色なら良好

●インシュレータから二次空気を吸っていないか。

・スロットル全開で混合気が濃い

 −頭打ちが早い
 −伸びがない
 −フケ上がりが遅い
 −パワー不足
 −プラグが黒い

●メインジェットの番数を下げる

 プラグの焼け具合、およびピストン頭部の焼け具合を見て判断する。

●オーバーフローしていないか。またはチョークが確実に戻っているか。

・スロットル開度1/4〜1/2の間 で息ツキ失速を起こす。

 −トルク感なし
 −ストール感あり

●ジェットニードルクリップ段数を一段下げて濃くする。

 

・スロットル開度1/4〜1/2の間 でもたつき、またはついてこない

●ジェットニードルクリップ段数を一段”上” げて”薄く”する。

 

・スロットル開度0〜1/4の間で息ツキ、加速が悪い

●ジェットニードルストレート径を細くして濃くする。
●エアスクリューを絞め込んで濃くする。

 

・スロットル開度0〜1/4の間でもたつき、またはついてこない

●ジェットニードルストレート径を太くして薄くする。
●エアスクリューを戻して薄くする。●上記効果が薄い場合、スロージェットを小さくする。

●雨天時に出やすい。

・低回転が不安定キリキリ音がする、またはレスポンスが悪い

●エアスクリューを絞め込んで濃くする。
●ジェットニードルストレート径を細くして濃くする。

●インシュレータから二次空気を吸っていないか。

・低回度にて回転上昇がギクシャクする、または振動を伴う

● ジェットニードルストレート径を太くして 薄くする。  

・スロットル急開度のレスポンが悪い

●エアスクリューを戻して薄くする。●全体的にセッティングを確認する。●エアスクリューを絞め込んで濃くする。
●ジェットニードルリップ段数を1段下げて 濃くする。

●インシュレータから二次空気を吸っていないか。

 

■セッティングの手順

 キャブレターセッティングパーツのそれぞれの持つ役割と、担当開度はかなりオーバーラップ
しています。お互いのセッティングパーツのバランスをまとめ、谷間のないスムーズなセッティングを
目指しましょう。

@ まずキットの標準セッティングのまま暖気をします。アイドリングの回転数が1500〜2000回転に収まるように、アイドリングスクリューを回して調整を行います。
 (混合気が薄い状態で長時間暖気を行うと焼き付きを起こす場合があります)
A  エアークリューをキット標準設定から少しずつ左右どちらかに回していき、エンジン回転数が一番高くなる場所を探します。さらにこの状態でアクセルをスナップさせて、一番レスポンの良くなる位置にエアスクリューを調整します。途中アイドリングの回転数が(上がりor下がり)過ぎるようであれば、アイドリングスクリューを回して調整を行います。
(エアスクリューを左回し(反時計回り)に開いていくことで、混合ガスは薄い方向へ変化します。キット標準設定が分からない場合は、戻し1回転ぐらいから始めます)
B  この時点でエアスクリューが、全閉まで締めた状態から戻し量1/2回転以下になるようであれば、スロージェットの番数を一つ上げて混合ガスを濃くします。また戻し量が2回転以上になる場合は、スロージェットの番数を一つ下げてガスを薄くします。スロージェットを交換したら、再度Aに戻って調節を行います。
C

 スロー系のセッティングの次は、低中開度のセッティングに移ります。アクセルを中開度まで開けてモタつきやバラつきなくスムーズに回転が上昇するか確認し、スムーズでない場合はジェットニードル/ニードルジェット、カットアウェイ(スローバルブ)等の調整を行います。

 なお、調整は必ず濃い番号の物から始め、一番ずつ薄い物へと移行させるのが鉄則です。

D

 実走行に移ります。各セッティングパーツの影響するスロットル開度を考慮に入れた上でセッティングを進めます。

 なお、セッティングの目安としてプラグの焼き色を見ますが、これはプラグの焼け具合が良ければ混合ガスの燃焼状態がよいこと、つまり燃料の混合比が適切であるといえるからです。

E

 メインジェットを交換し中高開度の選択をすると、再び低中開度域でのセッティングが狂う場合があります。低開度から全開まで、谷間のないスムーズなフィーリングになるようにトライしましょう。

 

■プラグの状態によるセッティング

※必ずプラグの確認は、セッティングの最終段階で行って下さい。十分なセッティングが出ていない
状態で確認すると判断ミスを起こします。

現 象
対 策
・発火部全体が黒くしめっている。

 混合ガスが濃くガスで塗れたままなので、電気が逃げて失火しやすい状態(かぶり)です。メインジェットの番数を下げて下さい。 

・絶縁体がキツネ色に焼け、発火部全体に汚れの付着が少ない。

 適正な燃焼状態です。汚れも焼けて飛び散りプラグは清潔な状態で寿命も延びます。

・電極が焼け、青みがかった黒(酸化)になり、絶縁体が白い光沢を持ち、付着したデポジットが斑点状に付着している。

 混合ガスが薄いので、プレイグニッション(早期着火)やデトネーション(異常高速火炎伝播によるピストンヘッド溶解)を起こします。直ちにメインジェットの番数を上げて下さい。                          

 

■最後に

 キャブセッティングの基本について、長々と書いてみましたが、いかがだったでしょうか?
初めての方だと意味が分からなかった内容もあるかと思います。ここに書いた内容は、キャブが
変わっても共通なので、まずは基本としてしっかり覚えてください。

 最初はキャブセッティングがなかなか決まらず、迷うこともあると思いますが、こればかりは
経験です。色々試して迷ったら、経験者に意見を求めたり、セッティングが取れている他のバイクに
乗ってみるのもいいと思います。焦らずに、じっくりとセッティングを楽しんでください。

 その他、具体的なキャブセッティングの手順については、下記でも解説しています。

 キャブレターのセッティング手順(VM26)

 キャブ(VM26)の中低速セッティングのコツ


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