鳥インフル研究意義 リスク上回る
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鳥インフル研究意義 リスク上回る

1月26日 5時42分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

毒性の強い鳥インフルエンザウイルスの研究がテロに悪用されるおそれがあるとして、アメリカ政府から論文の公表をやめるよう勧告された日本の研究者が、「論文の公表を控えてもテロの危険を減らすことにならない」とする意見書を発表しました。

毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザウイルスを研究している東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らは、テロに悪用されるおそれがあるとして、アメリカ政府からほ乳類に感染する仕組みについて詳細な論文の公表をやめるよう勧告されています。この問題で河岡教授は、論文の掲載を予定していたイギリスの科学雑誌「ネイチャー」の電子版に意見書を発表しました。この中で河岡教授は、感染した人の60%近くが死亡しているH5N1型の鳥インフルエンザウイルスがヒトからヒトに感染を広げるおそれがあるか、イタチの一種を使って調べた論文の一部を初めて明らかにしました。3年前に世界で大流行したインフルエンザウイルスと合成したところ、離したおりの間でも感染する変異が起きたとして、H5N1型のウイルスは、ほ乳類でも感染が広がるおそれがあるとしています。そのうえで意見書では、「ウイルスの変異は自然界でも起きる可能性がある。ワクチンの開発など、研究によって対策を進めるメリットはリスクを上回り、論文の公表を控えてもテロの危険を減らすことにならない」とアメリカ政府の勧告に反論しています。河岡教授はNHKのインタビューに対し、「H5N1ウイルスはヒトが感染すると重篤な症状を起こす。そのようなウイルスが世界的な流行を起こすと重大な問題になる。世界の人類の命を守るうえで必要な研究だと思う」と話しています。この問題を巡っては、各国の研究者が議論が必要だとしてウイルスの感染力についての研究を一斉に中断するという異例の事態になっていて、WHO=世界保健機関は来月、研究の在り方をテーマにした国際会議を開くことにしています。