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風評被害 東電「米沢のみ賠償」 県全域求め旅館組合反発

冒頭部分のみ公開された東電と県旅館組合との会合

 福島第1原発事故による観光業の風評被害の賠償をめぐり、東京電力と山形県旅館ホテル生活衛生同業組合との会合が25日、山形市内であった。非公開で行われた会合の席上、東電側は米沢市を賠償の対象地域に加える案を提示したもようだ。県全域を賠償の対象にするよう求めてきた県旅館組合は反発し、回答を保留した。
 東電側は(1)米沢市内に事業所がある観光業者に対して、原発事故が起きた昨年3月から5月までに生じた解約、予約控えによる減収や、空間放射線量の検査費用などを賠償する(2)賠償の対象外となる事故以外の要因による売り上げの減少率は20%に設定する−などと提案したとみられる。
 米沢市に限って賠償する理由を東電側は「同市は福島県と近接し、『会津・米沢地域観光圏』を形成するなど観光資源が一体になっている。観光客が原発事故を理由に旅行をやめたことを否定できない」と説明したという。
 一方で県全域を対象にした賠償は、県内の空間放射線量が低いことや農産物の出荷が制限されなかったことを理由に、案に盛り込まれなかった。
 会合後、県旅館組合の佐藤信幸理事長は「全県を賠償の対象として認めてもらいたい我々とは隔たりがある」と反発。一方、「県内の一部地域が認められたことは前進」とも述べた。
 同組合は理事会などで意見を調整し、交渉を続ける方針。仮に東電側と合意すれば、福島県以外で風評被害が認められる東北初の事例となる。
 会合に出席した東電東北補償相談センターの小松日出夫所長は記者団に「いろいろな意見をいただいた。持ち帰って検討したい」と話した。
 原発事故による風評被害の賠償は、政府の中間指針が福島、茨城、栃木、群馬の4県を対象地域に認定。さらに東電は1月、千葉県の太平洋沿岸9市6町1村を加えた。


2012年01月26日木曜日


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