文部科学省の外郭団体「日本スポーツ振興センター」の名古屋支所が、来月の機関誌で予定していた柔道の部活動や授業中の死亡事故への注意を呼びかける特集記事について、「中学の武道必修化が始まる前の掲載は慎重にすべきだ」という本部からの指摘を受けて掲載を見送っていたことが分かりました。記事を依頼された専門家は「注意喚起の機会が奪われ残念だ」と話しています。
「日本スポーツ振興センター」の名古屋支所は、来月の機関誌に掲載するため、中学や高校の柔道の部活動や授業中の事故で、おととしまでの28年間に114人が死亡していることを発表した名古屋大学の内田良准教授に、事故の特徴や対策を盛り込んだ特集記事を依頼しました。しかし、直前になって掲載を見送りました。名古屋支所によりますと「東京の本部から『中学の武道必修化が始まる前の掲載は慎重にすべきだ』などと指摘があったため、掲載を見送った」ということです。一方、本部では「必修化したあとのデータが集まっていない段階での掲載は不適切だと判断し指摘したが、最終的な決定は支所に任せている」としています。記事を依頼された内田准教授は「『武道必修化を前に無用な不安をあおりかねない』という理由で掲載を見送ったと説明を受けた。注意喚起の機会が奪われたことは非常に残念だ」と話しています。