きょうのコラム「時鐘」 2012年1月25日

 降る雪を見て、クルミちゃんが歌い出す。きのうの漫画「ヒラリ君」に「雪やコンコン」の童謡(どうよう)が登場した

クルミちゃんの歌に「コンコン」と続けたのは、おばあちゃんのせき。思わぬ合(あ)いの手(て)がおかしい。クスリとした後で、「雪やコンコン」の歌詞がどんな意味なのか、気になった

明治にできた文部省唱歌(しょうか)「雪」は、作詞・作曲者とも「不詳(ふしょう)」とある。意味を知りたくてもたずねる人が分からない。空振(からぶ)りだと思ったら、歌詞は「雪やこんこ」とある。「コンコン」ではなかった。「ドングリころころドングリコ」と歌って、「違う。ドンブリコ」と先生に言われたことがあるが、大人になっても堂々と勘違(かんちが)いを歌っていたのである

「雪やこんこ」でも意味は分からないが、正しい歌詞を知るきっかけになったヒラリ家のおばあちゃんに感謝である。けがではなく、せきの功名(こうみょう)だろうか

「帰る母子の水洟(みずばな)を跼(かが)み拭(ふ)く柴田白葉女(はくようじょ)」。鼻水を美しく歌う句を歳時記(さいじき)で見つけた。温かいものが心にともる。やっかいものにも、何か「取(と)り柄(え)」があるということか。風邪の季節に、一つ勉強をした。