2009年07月02日
オウム真理教殲滅摘発劇に残る謎に満ちた不透明部分を追撃
オウム真理教殲滅摘発劇に残る謎に満ちた不透明部分を追撃! 噂の真相・1995年7月2日
95年7月2日
http://hackjaponaise.cosm.co.jp/NorthKorea/bbslogs/nkoreabbs4210.html
オウム真理教殲滅摘発劇に残る謎に満ちた不透明部分を追撃!
捜査情報を一切公開しない公安当局は一体何を秘匿しているのか……。
●本誌特別取材班
麻原彰晃教祖の逮捕でオウム捜査もマスコミの大騒ぎも一応終結の方向に向
かったかに見える。「いろいろ言われましたが結局、麻原彰晃というとんでも
ない人物が率いる妄想集団が単独で犯した犯行、という結論に落ち着きそうで
す」(警視庁担当記者)
しかし、この事件はそんなに単純に割切れる事件なのか。ひとつの教団の枠
組みをはみ出る部分は全くないのか。疑問や謎は残る。
資金源ひとつ取っても注目に値する。資産1000億円がブラフであるとしても
教団資産と、強引なお布施の額面をどう足しても、帳尻が合わない。資金ルー
トだけ見ても明らかに教団の枠を超える。ならばこの事件も、一旦、オウムと
いう枠を離れて再考する必要があるのではないか。
すでになされた報道でも背後関係らしきものの影は、いくつか挙がってい
る。
オウムが深く関係してきたロシア・東欧。勧誘マニュアルがほぼそのままオ
ウムで使われている統一教会。北朝鮮や他の宗教団体。さらに三重県の病院乗
っ取り劇、没落公家や政財界の闇の紳士等々だ。 背後に潜む影にもさまざま
なラインが出ているが、中でも特に、クロウト筋の注目を集めているのが統一
教会との関係である。
●統一教会とオウムの接点
すでに一部の週刊誌でも報じられたが、草創期の「オウム神仙の会」はA・R
なる女性を介して統一教会と接点があった。
A・Rは統一教会で霊能士として霊感商法に関わり、やがて渡辺美智雄議員の
秘書となり、80年代の後半に大阪3区から立候補した人物。「彼女は慶応大学に
在学中、統一教会に入り、その後、スパイとして阿含宗に入り込んだことがあ
る。彼女は桐山靖雄・阿含宗管長に非常に可愛いがられていたが、阿含宗のビ
デオを作る際に、その中で統一教会に都合のよい内容を言わせようとしたこと
が露見して教団を追われた。そのとき、同時に阿含宗を出たのが麻原彰晃一派
だった。よく知った仲だったようです。一緒にやめた人間は何人もいると言わ
れていますが、この中にA・Rも含まれているかもしれません。麻原彰晃は『オ
ウム神仙の会』を設立したが、A・Rは統一教会に戻ったのです」(オウム神仙の
会元会員) さらにオウム神仙の会の本部が最初に置かれた事務所は4年前に統
一教会が入っていた、という話もある。
また、今回の強制捜査でも統一教会との接点を物語る情報が流れている。滋
賀県の検問で車中から押収の光ディスクに「オウム真理教と統一教会の合致信
者名簿」があったことから、両者の通底関係が一部で報じられた。「16人のリ
スト中11人が統一教会の信者と同姓同名といわれているが、私の方ではリスト
に23人分記載と聞いている。また、90年の選挙後、統一教会からきた信者は、
大半が辞めており、この人達は、統一教会系と言われる『京都プリンスホテ
ル』に入り浸りだったという早川紀代秀が連れてきたと言われている」(警察庁
詰め記者) また、この名簿中の統一教会信者達の中にもA・Rと同姓同名の名前
があったと報道されている。
統一教会の元信者は言う。「統一教会は色々な組織に人を入れて乗っ取って
ダミー化する。国会議員秘書や自衛隊員の数はオウム以上。KGBとの接点もあ
る。一例に、世界日報社長の國時昭彦の例を見ると、彼は社会党左派活動家の
家に生まれ、統一教会には高校3年のとき入った。高卒後の9月には、社会党党
本部の推薦と日ソ協会の推薦、渋谷の対外文化協会等の推薦を取り付け、5年間
も旧ソ連の革命輸出学校として知られるモスクワ郊外のパトリス・ルムンバ大
学に留学した。ここは革命戦士養成目的以外の科目はないんです。また、赤軍
にまで統一教会は入れている。不思議なもので統一教会は宗教界全体を教団防
衛ラインにし、阿部との関係もあってか、坂本弁護士拉致誘拐事件後に『信教
の自由を守る会』という団体を信者でつくり、オウム擁護のビラを撒いた」
(777組合同結婚式に参加した元信者)
若い元信者は、オウムと統一教会の人脈がつながっているとすれば、現在は
まったく別のライン、だと推測する。「若者にとっての宗教認識自体が時代と
ともに変貌した。60年代〜70年代に学生が原理研に入った時代とは異なる。統
一教会の信者の中身も一変している。新新宗教のニューエイジ世代、オウムも
これに含まれるんです。日本の若者が走るニューエイジ世代の、近代意識の裏
面の流れへの関心と似ているのが、文化的素地にキリスト教ヒエラルヒーがな
い旧共産圏の人々、彼らは新新宗教を受け入れやすい。旧共産圏の人たちが異
宗教間をとりもっているはず。例えばロシアのニューエイジの化身と言えばゴ
ルバチャt。彼は1989年12月に開催された?宗教・政治の世界指導者による地球
会議?に出席。クレムリンで参加者とともに仏教系団体の聖音『オーム』を叫
んだと資料にある」(92年の合同結婚式参加の元信者)
旧共産圏における新新宗教浸透の過程で、オウムと統一教会という普通なら
相容れない二つの異宗教が接近したのではないか、とこの元信者はいうのだ。
●ウクライナの武器商人マセンコ
そういえば、ここにきて統一教会とオウムの関係を物語る新しい疑惑が浮上
している。その謎を解く鍵は、ウクライナにある。すでに報じられたことでも
明らかなように、武器買いつけに早川紀代秀はウクライナに数回入っている。
ウクライナには統一教会とオウム双方に関わり、両者の接点として鍵を握る
人物がいたのだ。
それは、旧ソ連崩壊後、ロシア通商代表部に所属しながら密かにウクライナ
通商代表部を名乗ってウクライナの利権話を持ち歩いた自称KGBのウクライナ
人、ヴィタリー・H・マセンコである。
91年当時、外務省外郭の財団法人の専務理事で、政府がらみのイベント企画
等を手掛けているT氏は、マセンコにウクライナ通商代表部・協会開設を相談さ
れたという。「旧ソ連崩壊の1月ほど前から水面下で協会設立の話を持ちかけて
きた。ソ連が12カ国時、彼はロシア通商代表部にぶら下がって給料を貰ってい
たのだが、一方でウクライナ通商代表部の設立パーティーをホテルオークラで
やって認知を得ようとしていたんだ。これは本国の反対で潰れたんだが、彼は
92年1月に日本側に薬品がほしいと要請。その見返りとして彼がもってきたの
が、軍事技術、巡洋艦ミンスクはじめ旧ソ連の武器、核技術者・化学者のリス
ト、核弾頭などの単価表つきリストなどだった。当時、ロシアがアメリカに気
兼ねして兵器の単価を上げて、第三国、特に北朝鮮に買われないよう歯止めを
かけていたのに対し、ウクライナはその10分の1の値段で売却する途を模索して
いた」(某財団法人専務理事) 兵器から潜水艦、核弾頭など、民生技術に転化
できるのか、首を捻るようなものさえ、単価表つきで何でもリストアップされ
ていたという。同専務理車はさらにこう語る。「巡洋艦ミンスクを3隻くらいま
とめて洋上宿泊施設として購入できないか、と考えたんですが、軍事用の規格
ですから、鋼板が厚すぎて民生利用できないことが分かったので、実現しなか
った」
しかも、リストの中には北朝鮮が欲しがっていたロケットの発射技術、軌道
コントロール技術が入っていたという。それは、核弾頭搭載も可能な大陸間弾
道ミサイルの発射技術にも応用できる技術だったのである。
それに目を付けた企業があった。統一教会系企業・ワコムである。この電子
機器メーカー・ヮコムが1993年5月に発行した同社企業広報「ワコムニュース」
にはこう書いてある。「旧ソ連ウクライナ共和国、軍事技術を民需転換。材料
技術を日本に紹介」。つまりロケット、人工衛星技術で軍事目的に開発された
技術に、91年ころから注目してきた、と「ワコムニュース」には、そう記載さ
れているのだ。「93年5月の幕張メッセのワコムの展示が出た『93新素材展』の
ブースには東京担当者としてマセンコ自身が出ていた。あちこち渡り歩いた
が、利権話は大きかった。特に軍事兵器の類が多く、マセンコ自身、武器商人
クルップを気取っていたフシもあったくらい入れ込んでいた」(前出・財団専務
理事) その後、マセンコは政界のパーティー等を手配する?心話会につなが
り、渡辺美智雄の多田秘書、中曾根康弘の新田秘書、小沢一郎の故・中條秘書
と紹介され、秘書を通じウクライナ大使館を持たせてほしいと申し入れたとい
う。
この会の会員に統一教会の777組合同結婚式を挙げた阿部博行が入っており、
現在の会長は、信者ではないが文鮮明教祖礼賛本の出版元、善本社で本を出し
ている。 また、心話会社長は、小沢はマセンコと会っていない、と完全否定
するが、マセンコは「小沢一郎を励ますという会」というパーティーでも目撃
されているという。
そして、このマセンコがオウム真理教の裏をすべて統轄していた早川に、何
度も接触し、武器を売り込んでいたという話があるのだ。だとすれば、仲介し
たのは統一教会系人脈ということになるのではないか。
●統一教会もサリン事件を予言?
また、統一教会系企業として有名な芝興産とオウム真理教との関係も、いろ
いろ噂されている。「芝興産とオウムも間接的に関係があると聞いている。第6
サティアンに米があったとされているが、オウムは中国の大連から大理石の粉
粒と偽って米を入れ、密売をやっていた。米の関税を払わずに輸入して利ざや
を稼いでいたようなんです」(オウムに詳しいジャーナリスト) 未確認だが、
実はこの大連では芝興産が輸出用の米を作っていたという話があるのだ。
4月22日の読売新聞夕刊に「中国米を数十万トン?密輸 キロ7円で国産米にま
ぜ暴利 都内の貿易会社摘発」という記事が載った。同紙によると、都内の貿
易会社が中国米を密輸し、卸業者約10社に不正に販売していたとしている。
押収量は363トンだったが、関係業者によれば、1キロ7円で購入した米を1キロ
278円で売っており、横浜税関の調べでは昨年春からコンテナで10コずつ入って
おり、トータルでは数十万トンに上ると見られるが国内米と混ぜてスーパー等
で売られていたと見られている。
この貿易会社とオウム・統一教会との関係は今のところ不明だが、この時期
に摘発を受けるというのは、あまりにタイミングがよすぎはしないだろうか。
モスクワに長く在住した長銀のロシア関係経済アナリストは言う。
「オウムは各地で売れる商品や技術を探していたようですね。モスクワではウ
クライナ利権もそうですが、兵器や軍事物資の密売は日常的にある。マセンコ
とオウム真理教の実力者、早川紀代秀は、2年前ですがモスクワで接触し商談し
ていた。マセンコは評判の悪い男でしたが、日本のウクライナ通商代表部とい
うことで日本人はかなり会っている」(長銀ロシア関係経済アナリスト)
マセンコはモスクワでも最近は行方が分からないという。しかし、新橋に昨
年9月にウクライナ大使館ができた。「ウクライナ大使館のバックは芝興産です
が、250億円と言われる資金の出所は不明です。早川はモスクワやユジノサハリ
ンスクから北朝鮮の平壌や、韓国のソウルに数回行っているとされている。ロ
シアやウクライナの利権は半島で高く売れる。武器売買のルートとして成り立
つ」(前出アナリスト)
もっともこれはあくまで、点と点を結ぶ関係であり、統一教会がサリン事件
にまで関与していたというわけではない。
しかしその一方ではこんな不審な動きもある。オウム真理教が疑惑を持たれ
たきっかけに、松本サリン事件の前に教祖がサリンや化学兵器のことを公の席
で口にしていたことが挙げられる。
しかし、統一教会も何と94年6月27日の松本サリン事件の一週間前、同年6月
20日に「生物化学兵器」の話をしている大幹部がいるのだ。
教団ナンバー2の元韓国陸軍情報部CICの将校で現在、日本の最高責任者であ
る朴普煕は漢南洞公館で報告された「カーター元大統領の訪朝の背景」の中で
こう語る。「(前略)ところで、貧しい国の核爆弾というのは、生物化学兵器の
ことです。生物化学兵器の『化』は化学兵器で、毒ガスのことです。また、
『生』とは細菌兵器のことです。これを北韓は、二〇〇〇トンも所有していま
す。これは韓国政府もよく知っていることで、全然秘密の話ではありません。
その二〇〇〇トンの生物化学兵器なら、韓国の人口を三回も消してしまうこと
ができるといわれています。これは、ソウルが一晩で、何の声も出さず、砲弾
の音が聞こえることもなく、一二〇〇万人が、いっぺんに消えてしまう可能性
がある、ということです。生物化学兵器は、音がしないように風船で浮かべる
ことができます。ですから、このような事実を前にした今日、人類はこれから
絶対戦争をしてはいけないのです。」(「ファミリー」94年10月号掲載)
朴晋煕の発言もオウムが作っていたとされる化学生物兵器を事前に語ってい
るではないか。しかも内容は「生物化学兵器は音がしないように風船で浮かべ
ることができます」という、実に具体的で生々しい現実的表現が使われてい
る。
それも「このような事実を前にして」とはどんな事実を前提にして話してい
るのか。前後関係からは判断できないが……。
●長官狙撃の銃弾は朴大統領暗殺と同種
さらにこの統一教会の背後には北朝鮮が存在するのではないかとの情報もあ
る。
統一教会は、文鮮明がもともと北朝鮮の平壌出身であり、金日成と文鮮明が
友好関係を持ち、豆満江開発などの利権を金丸信経由で日本の財界に結び付け
た。また、金正日との間には「マダム朴」と呼ばれる本誌でもかつて報じた女
性実業家がおり、香港・台湾が北朝鮮と国交を開いてからは、北朝鮮の経済ル
ートのつなぎ役とも伝えられる。そういう意味では北朝鮮との接点は十分、考
えられる。
しかもここで注目されるのはオウムの早川紀代秀がモスクワから平壌に行っ
ていたとの説である。
既に報じられたが、オウムの武器密輸ルートはウクライナまで達していた。
20回ものモスクワ入りの際、早川はマセンコらしき人物とともにウクライナ、
北カフカス等にも入っているという。そして、サハリンやウラジオストックな
ど旧ソ連の軍事基地のある極東地区から北朝鮮の平壌に行き、ウラジオストッ
クから帰ってきていたのではないかというのだ。
また、村井秀夫殺害犯の徐容疑者が経歴に全く所在不明の一年間があり、捜
査関係者は北朝鮮に行っていたものと見ているという。
また、國松長官狙撃事件でも、北朝鮮のバッジが現場に落ちていたことの他
にも、こういう説もある。「國松狙撃の銃弾はアジアで初めて使われたと言わ
れていますが、実は過去に一度使われているらしい。38口径でフォローポイン
トのダムダム弾。これは韓国の朴大統領射殺に使われたものと同じものだとい
う」(警察庁関係者)
朴大統領射殺に使われた銃は西ドイツ製7連発とアメリカ製S&W、2丁とも38口
径である。 國松長官と同じマンションに旧KGBトップのボリソフが居住してい
ることは報道されたが、報道されなかった事実の中には反日、反皇室といった
側面もほのかに見えるようだ。
皇太子妃の実家・小和田邸の前にも、國松狙撃事件前日にマンション前にい
た二人組と同一と思しき、不審なアベックが目撃されたという。赤坂御所の周
辺でもこのアベックが目撃されているという説もある。
また、民間から2代続けて妃を迎えた天皇家の婚姻について麻原彰晃が「ヴァ
ジラヤーナ・サッチャ」の中でも異議を唱え皇室批判したことなど、麻原彰晃
自身の考えとは思えず、誰かに背後で操られた可能性も否定できない。他にも
「北」との関係を示唆する情報は数多いが、だからといって、そのまま鵜呑み
にするわけにはいかないだろう。「北に関する情報は、公安による情報操作の
可能性も高い。公安は北の恐怖を煽ることで予算や権限を拡大することに躍起
になっていますからね。慎重を期すべきですよ」(警察庁担当記者)
●日本の国家権力も介在か そもそも一方では、他国でなく日本の国家権力そ
のものが介入していたという説もあるのだ。特に公安警察の動きについては検
証しなければならない。 その代表的なものが立花隆も言っている「公安のS
(スパイ)が入っていた」という説だろう。 例の怪文書の作成者もさることな
がら、最大の疑問は假谷さん拉致犯とされた松本剛の掌紋がライトバンに残さ
れていたこと。犯罪容疑で指紋を登録するさい、全ての指紋を回転式で確実に
登録するが、掌紋登録など聞いたことがない。
ライトバンに残されていたとしても、どうやって松本剛自身の掌紋と比較・
同定できたのか、という捜査上の謎が残る。どう考えても、あらかじめSを潜伏
させていたとしか思えないのである。 松本サリンの後にある程度容疑事実を
固めた段階で介入していれば、地下鉄サリン事件は未然防止できた。それをあ
えてやらずに、内偵するだけでみすみす見逃したのは、内部的に煽ってやらせ
たということではないか。
内部にいて「見ていただけ」なら公安も加害者側にいたことになる。
結果、地下鉄サリン事件は防げずに12人もの死者を出した。このこと自体へ
の反省もなければ内部潜入Sの処分も出さない。
御用ジャーナリスト達は誰も公安のSの問題を取り上げない。
立花隆だけがあえて恥をかくことを恐れずに「松本サリン事件に関する一考
祭」なる怪文書を取り上げ、公安の内部スパイの存在に目を向けさせた。「松
本サリン事件以来、オウムに目を付けた警視庁公安部は、上九一色村の内偵に
94年9月から入っている。公安調査庁も94年末には入っている。松本以来関心を
持っているCIA、自衛隊調査隊との連携で合同捜査体制を敷いた。後にFBI長官
とCIA長官の兼務からFBIが加わったという情報もある」(TV局報道部キャップ)
新聞紙上でも何の前置きもなく、第七サティアンにFBIの専門家が入り、鑑定
したという報道が出ている。だれがいつ呼んだのかさえ不明なままだが、未然
防止できたはずの地下鉄サリン事件に、調べて叩くことを優先する警察の力が
入ったことを感じさせた。
●自衛隊クーデター期待組のオウム入信問題
この地下鉄サリン事件自体を予測できたのは果して公安だけだったのだろう
か。 自衛隊の化学防護隊の現役幹部がオウムに入信していたことからも、自
衛隊の内部に戦後ずっとくすぶり続けるクーデターグループがいて、日本の軍
事大国化を狙ってオウムを利用したという見方もある。
自衛隊には、さらに重大な疑問がある。
松本サリン事件、地下鉄サリン事件を予期していた者がいたのではないかと
いう疑惑だ。例えば、毒ガス用ガスマスクの製造会社は日本のシェアをみると
80%以上が興研と重松製作所の2社に集中する。この2社の株が松本サリン事件の
前、そして地下鉄サリン事件の前1週間に店頭で異常に売れている。これらの銘
柄は店頭株では一日l000株も出ればいいのに、20万〜1OO万株も買われること自
体、異様なことだ。
オウム真理教が買っていたなら単純すぎるミスを犯したことになる。そして
事件の翌日に両株式ともストップ高となっている。
特に注目したいのは、重松製作所は自衛隊御用達の会社といっても差し支え
ないほどの仕入れ先である。オウムが自衛隊に入っていたという情報をさかさ
まに読めば、オウムから自衛隊にサリン情報が漏れたとしか思えない。オウム
信者以外にも「知っていた」人間が存在したはずである。
また、統一教会だけでなく、他の宗教団体の名前もでてくる。 創価学会が
この件に関して調査していること、目黒公証役場の假谷さん拉致誘拐犯人と運
転免許証を偽造された人物が創価学会の会員であるとオウム側に言われたから
か、青山弁譲士の後を公安そこのけに追跡し、学会本部近くの新宿区内のビル
に入るや四谷警察署に通報するなど、敵意を剥き出しにしている。
また、幸福の科学の名前も出ている。同教団はオウム、創価学会、統一教
会、コスモメイト等に対して「邪教だ」として敵意を露にしているが、假谷さ
ん拉致誘拐の4日後に全国に100万枚のビラを撒き、オウムを名指しで攻撃した
こと、幸福の科学が事前にオウムへSを入れていたという説まで流れている。
「オウムの信者まで知らない麻原彰晃のスケジュールを、幸福の科学は把握し
ているらしい。麻原彰晃のプライベートな遊園地での一コマが撮影されて彼ら
の本に載っていたんですから」(公安関係者)
宗教団体には調査費がうなるほどあるらしい、と嘆息する。
また、三重県榊原みのり会病院乗っ取りに動いたグループや、エメラルド教
団と名乗る謎の宗教団体、天地正教などの名前も飛び交っている。他宗教団体
でオウムの幹部を匿ったとの容疑で強制捜査を受けた教団もあり、事件の真相
の背後にある闇はまだまだ深い。 やくざとの覚醒剤関係説もある。「麻原彰
晃と早川紀代秀以外は青山まで皆、党醒剤をやっているようだ。とにかく寝て
いないようだった」(オウム関係者)
また、金丸信の金塊と同じく無刻印の金塊が出てきたこと等、検証すること
は山積している。
しかしこうした事実について警察は捜査する気持ちがなく、冒頭にも書いた
が公安の御用ジャーナリストたちは立花論文等を批判し、公安サイドの情報を
垂れ流すだけだ。 また、オウムに関しては終息する気配だが、統一教会につ
いては捜査すらしないだろうとの見方が強い。「統一教会はやれない。なぜな
ら教団に関係して公安、警察のOB、官僚OB、政治家の名前が次々と出てくるか
らです」(公安担当記者)
また、北朝鮮の問題についても、いい加減なデマはしきりに流して煽るもの
の、真実は国民に知らせず、もし、決定的なことを掴んでも、それは外交カー
ドとして取っておいて使うのだという。国民には相変わらず深い闇だけが目の
前に広がり、こうしてこの事件の深層は戦後の下山事件などと同じように、闇
に葬られることになるのだろうか。〈敬称略〉
95年7月2日
http://hackjaponaise.cosm.co.jp/NorthKorea/bbslogs/nkoreabbs4210.html
オウム真理教殲滅摘発劇に残る謎に満ちた不透明部分を追撃!
捜査情報を一切公開しない公安当局は一体何を秘匿しているのか……。
●本誌特別取材班
麻原彰晃教祖の逮捕でオウム捜査もマスコミの大騒ぎも一応終結の方向に向
かったかに見える。「いろいろ言われましたが結局、麻原彰晃というとんでも
ない人物が率いる妄想集団が単独で犯した犯行、という結論に落ち着きそうで
す」(警視庁担当記者)
しかし、この事件はそんなに単純に割切れる事件なのか。ひとつの教団の枠
組みをはみ出る部分は全くないのか。疑問や謎は残る。
資金源ひとつ取っても注目に値する。資産1000億円がブラフであるとしても
教団資産と、強引なお布施の額面をどう足しても、帳尻が合わない。資金ルー
トだけ見ても明らかに教団の枠を超える。ならばこの事件も、一旦、オウムと
いう枠を離れて再考する必要があるのではないか。
すでになされた報道でも背後関係らしきものの影は、いくつか挙がってい
る。
オウムが深く関係してきたロシア・東欧。勧誘マニュアルがほぼそのままオ
ウムで使われている統一教会。北朝鮮や他の宗教団体。さらに三重県の病院乗
っ取り劇、没落公家や政財界の闇の紳士等々だ。 背後に潜む影にもさまざま
なラインが出ているが、中でも特に、クロウト筋の注目を集めているのが統一
教会との関係である。
●統一教会とオウムの接点
すでに一部の週刊誌でも報じられたが、草創期の「オウム神仙の会」はA・R
なる女性を介して統一教会と接点があった。
A・Rは統一教会で霊能士として霊感商法に関わり、やがて渡辺美智雄議員の
秘書となり、80年代の後半に大阪3区から立候補した人物。「彼女は慶応大学に
在学中、統一教会に入り、その後、スパイとして阿含宗に入り込んだことがあ
る。彼女は桐山靖雄・阿含宗管長に非常に可愛いがられていたが、阿含宗のビ
デオを作る際に、その中で統一教会に都合のよい内容を言わせようとしたこと
が露見して教団を追われた。そのとき、同時に阿含宗を出たのが麻原彰晃一派
だった。よく知った仲だったようです。一緒にやめた人間は何人もいると言わ
れていますが、この中にA・Rも含まれているかもしれません。麻原彰晃は『オ
ウム神仙の会』を設立したが、A・Rは統一教会に戻ったのです」(オウム神仙の
会元会員) さらにオウム神仙の会の本部が最初に置かれた事務所は4年前に統
一教会が入っていた、という話もある。
また、今回の強制捜査でも統一教会との接点を物語る情報が流れている。滋
賀県の検問で車中から押収の光ディスクに「オウム真理教と統一教会の合致信
者名簿」があったことから、両者の通底関係が一部で報じられた。「16人のリ
スト中11人が統一教会の信者と同姓同名といわれているが、私の方ではリスト
に23人分記載と聞いている。また、90年の選挙後、統一教会からきた信者は、
大半が辞めており、この人達は、統一教会系と言われる『京都プリンスホテ
ル』に入り浸りだったという早川紀代秀が連れてきたと言われている」(警察庁
詰め記者) また、この名簿中の統一教会信者達の中にもA・Rと同姓同名の名前
があったと報道されている。
統一教会の元信者は言う。「統一教会は色々な組織に人を入れて乗っ取って
ダミー化する。国会議員秘書や自衛隊員の数はオウム以上。KGBとの接点もあ
る。一例に、世界日報社長の國時昭彦の例を見ると、彼は社会党左派活動家の
家に生まれ、統一教会には高校3年のとき入った。高卒後の9月には、社会党党
本部の推薦と日ソ協会の推薦、渋谷の対外文化協会等の推薦を取り付け、5年間
も旧ソ連の革命輸出学校として知られるモスクワ郊外のパトリス・ルムンバ大
学に留学した。ここは革命戦士養成目的以外の科目はないんです。また、赤軍
にまで統一教会は入れている。不思議なもので統一教会は宗教界全体を教団防
衛ラインにし、阿部との関係もあってか、坂本弁護士拉致誘拐事件後に『信教
の自由を守る会』という団体を信者でつくり、オウム擁護のビラを撒いた」
(777組合同結婚式に参加した元信者)
若い元信者は、オウムと統一教会の人脈がつながっているとすれば、現在は
まったく別のライン、だと推測する。「若者にとっての宗教認識自体が時代と
ともに変貌した。60年代〜70年代に学生が原理研に入った時代とは異なる。統
一教会の信者の中身も一変している。新新宗教のニューエイジ世代、オウムも
これに含まれるんです。日本の若者が走るニューエイジ世代の、近代意識の裏
面の流れへの関心と似ているのが、文化的素地にキリスト教ヒエラルヒーがな
い旧共産圏の人々、彼らは新新宗教を受け入れやすい。旧共産圏の人たちが異
宗教間をとりもっているはず。例えばロシアのニューエイジの化身と言えばゴ
ルバチャt。彼は1989年12月に開催された?宗教・政治の世界指導者による地球
会議?に出席。クレムリンで参加者とともに仏教系団体の聖音『オーム』を叫
んだと資料にある」(92年の合同結婚式参加の元信者)
旧共産圏における新新宗教浸透の過程で、オウムと統一教会という普通なら
相容れない二つの異宗教が接近したのではないか、とこの元信者はいうのだ。
●ウクライナの武器商人マセンコ
そういえば、ここにきて統一教会とオウムの関係を物語る新しい疑惑が浮上
している。その謎を解く鍵は、ウクライナにある。すでに報じられたことでも
明らかなように、武器買いつけに早川紀代秀はウクライナに数回入っている。
ウクライナには統一教会とオウム双方に関わり、両者の接点として鍵を握る
人物がいたのだ。
それは、旧ソ連崩壊後、ロシア通商代表部に所属しながら密かにウクライナ
通商代表部を名乗ってウクライナの利権話を持ち歩いた自称KGBのウクライナ
人、ヴィタリー・H・マセンコである。
91年当時、外務省外郭の財団法人の専務理事で、政府がらみのイベント企画
等を手掛けているT氏は、マセンコにウクライナ通商代表部・協会開設を相談さ
れたという。「旧ソ連崩壊の1月ほど前から水面下で協会設立の話を持ちかけて
きた。ソ連が12カ国時、彼はロシア通商代表部にぶら下がって給料を貰ってい
たのだが、一方でウクライナ通商代表部の設立パーティーをホテルオークラで
やって認知を得ようとしていたんだ。これは本国の反対で潰れたんだが、彼は
92年1月に日本側に薬品がほしいと要請。その見返りとして彼がもってきたの
が、軍事技術、巡洋艦ミンスクはじめ旧ソ連の武器、核技術者・化学者のリス
ト、核弾頭などの単価表つきリストなどだった。当時、ロシアがアメリカに気
兼ねして兵器の単価を上げて、第三国、特に北朝鮮に買われないよう歯止めを
かけていたのに対し、ウクライナはその10分の1の値段で売却する途を模索して
いた」(某財団法人専務理事) 兵器から潜水艦、核弾頭など、民生技術に転化
できるのか、首を捻るようなものさえ、単価表つきで何でもリストアップされ
ていたという。同専務理車はさらにこう語る。「巡洋艦ミンスクを3隻くらいま
とめて洋上宿泊施設として購入できないか、と考えたんですが、軍事用の規格
ですから、鋼板が厚すぎて民生利用できないことが分かったので、実現しなか
った」
しかも、リストの中には北朝鮮が欲しがっていたロケットの発射技術、軌道
コントロール技術が入っていたという。それは、核弾頭搭載も可能な大陸間弾
道ミサイルの発射技術にも応用できる技術だったのである。
それに目を付けた企業があった。統一教会系企業・ワコムである。この電子
機器メーカー・ヮコムが1993年5月に発行した同社企業広報「ワコムニュース」
にはこう書いてある。「旧ソ連ウクライナ共和国、軍事技術を民需転換。材料
技術を日本に紹介」。つまりロケット、人工衛星技術で軍事目的に開発された
技術に、91年ころから注目してきた、と「ワコムニュース」には、そう記載さ
れているのだ。「93年5月の幕張メッセのワコムの展示が出た『93新素材展』の
ブースには東京担当者としてマセンコ自身が出ていた。あちこち渡り歩いた
が、利権話は大きかった。特に軍事兵器の類が多く、マセンコ自身、武器商人
クルップを気取っていたフシもあったくらい入れ込んでいた」(前出・財団専務
理事) その後、マセンコは政界のパーティー等を手配する?心話会につなが
り、渡辺美智雄の多田秘書、中曾根康弘の新田秘書、小沢一郎の故・中條秘書
と紹介され、秘書を通じウクライナ大使館を持たせてほしいと申し入れたとい
う。
この会の会員に統一教会の777組合同結婚式を挙げた阿部博行が入っており、
現在の会長は、信者ではないが文鮮明教祖礼賛本の出版元、善本社で本を出し
ている。 また、心話会社長は、小沢はマセンコと会っていない、と完全否定
するが、マセンコは「小沢一郎を励ますという会」というパーティーでも目撃
されているという。
そして、このマセンコがオウム真理教の裏をすべて統轄していた早川に、何
度も接触し、武器を売り込んでいたという話があるのだ。だとすれば、仲介し
たのは統一教会系人脈ということになるのではないか。
●統一教会もサリン事件を予言?
また、統一教会系企業として有名な芝興産とオウム真理教との関係も、いろ
いろ噂されている。「芝興産とオウムも間接的に関係があると聞いている。第6
サティアンに米があったとされているが、オウムは中国の大連から大理石の粉
粒と偽って米を入れ、密売をやっていた。米の関税を払わずに輸入して利ざや
を稼いでいたようなんです」(オウムに詳しいジャーナリスト) 未確認だが、
実はこの大連では芝興産が輸出用の米を作っていたという話があるのだ。
4月22日の読売新聞夕刊に「中国米を数十万トン?密輸 キロ7円で国産米にま
ぜ暴利 都内の貿易会社摘発」という記事が載った。同紙によると、都内の貿
易会社が中国米を密輸し、卸業者約10社に不正に販売していたとしている。
押収量は363トンだったが、関係業者によれば、1キロ7円で購入した米を1キロ
278円で売っており、横浜税関の調べでは昨年春からコンテナで10コずつ入って
おり、トータルでは数十万トンに上ると見られるが国内米と混ぜてスーパー等
で売られていたと見られている。
この貿易会社とオウム・統一教会との関係は今のところ不明だが、この時期
に摘発を受けるというのは、あまりにタイミングがよすぎはしないだろうか。
モスクワに長く在住した長銀のロシア関係経済アナリストは言う。
「オウムは各地で売れる商品や技術を探していたようですね。モスクワではウ
クライナ利権もそうですが、兵器や軍事物資の密売は日常的にある。マセンコ
とオウム真理教の実力者、早川紀代秀は、2年前ですがモスクワで接触し商談し
ていた。マセンコは評判の悪い男でしたが、日本のウクライナ通商代表部とい
うことで日本人はかなり会っている」(長銀ロシア関係経済アナリスト)
マセンコはモスクワでも最近は行方が分からないという。しかし、新橋に昨
年9月にウクライナ大使館ができた。「ウクライナ大使館のバックは芝興産です
が、250億円と言われる資金の出所は不明です。早川はモスクワやユジノサハリ
ンスクから北朝鮮の平壌や、韓国のソウルに数回行っているとされている。ロ
シアやウクライナの利権は半島で高く売れる。武器売買のルートとして成り立
つ」(前出アナリスト)
もっともこれはあくまで、点と点を結ぶ関係であり、統一教会がサリン事件
にまで関与していたというわけではない。
しかしその一方ではこんな不審な動きもある。オウム真理教が疑惑を持たれ
たきっかけに、松本サリン事件の前に教祖がサリンや化学兵器のことを公の席
で口にしていたことが挙げられる。
しかし、統一教会も何と94年6月27日の松本サリン事件の一週間前、同年6月
20日に「生物化学兵器」の話をしている大幹部がいるのだ。
教団ナンバー2の元韓国陸軍情報部CICの将校で現在、日本の最高責任者であ
る朴普煕は漢南洞公館で報告された「カーター元大統領の訪朝の背景」の中で
こう語る。「(前略)ところで、貧しい国の核爆弾というのは、生物化学兵器の
ことです。生物化学兵器の『化』は化学兵器で、毒ガスのことです。また、
『生』とは細菌兵器のことです。これを北韓は、二〇〇〇トンも所有していま
す。これは韓国政府もよく知っていることで、全然秘密の話ではありません。
その二〇〇〇トンの生物化学兵器なら、韓国の人口を三回も消してしまうこと
ができるといわれています。これは、ソウルが一晩で、何の声も出さず、砲弾
の音が聞こえることもなく、一二〇〇万人が、いっぺんに消えてしまう可能性
がある、ということです。生物化学兵器は、音がしないように風船で浮かべる
ことができます。ですから、このような事実を前にした今日、人類はこれから
絶対戦争をしてはいけないのです。」(「ファミリー」94年10月号掲載)
朴晋煕の発言もオウムが作っていたとされる化学生物兵器を事前に語ってい
るではないか。しかも内容は「生物化学兵器は音がしないように風船で浮かべ
ることができます」という、実に具体的で生々しい現実的表現が使われてい
る。
それも「このような事実を前にして」とはどんな事実を前提にして話してい
るのか。前後関係からは判断できないが……。
●長官狙撃の銃弾は朴大統領暗殺と同種
さらにこの統一教会の背後には北朝鮮が存在するのではないかとの情報もあ
る。
統一教会は、文鮮明がもともと北朝鮮の平壌出身であり、金日成と文鮮明が
友好関係を持ち、豆満江開発などの利権を金丸信経由で日本の財界に結び付け
た。また、金正日との間には「マダム朴」と呼ばれる本誌でもかつて報じた女
性実業家がおり、香港・台湾が北朝鮮と国交を開いてからは、北朝鮮の経済ル
ートのつなぎ役とも伝えられる。そういう意味では北朝鮮との接点は十分、考
えられる。
しかもここで注目されるのはオウムの早川紀代秀がモスクワから平壌に行っ
ていたとの説である。
既に報じられたが、オウムの武器密輸ルートはウクライナまで達していた。
20回ものモスクワ入りの際、早川はマセンコらしき人物とともにウクライナ、
北カフカス等にも入っているという。そして、サハリンやウラジオストックな
ど旧ソ連の軍事基地のある極東地区から北朝鮮の平壌に行き、ウラジオストッ
クから帰ってきていたのではないかというのだ。
また、村井秀夫殺害犯の徐容疑者が経歴に全く所在不明の一年間があり、捜
査関係者は北朝鮮に行っていたものと見ているという。
また、國松長官狙撃事件でも、北朝鮮のバッジが現場に落ちていたことの他
にも、こういう説もある。「國松狙撃の銃弾はアジアで初めて使われたと言わ
れていますが、実は過去に一度使われているらしい。38口径でフォローポイン
トのダムダム弾。これは韓国の朴大統領射殺に使われたものと同じものだとい
う」(警察庁関係者)
朴大統領射殺に使われた銃は西ドイツ製7連発とアメリカ製S&W、2丁とも38口
径である。 國松長官と同じマンションに旧KGBトップのボリソフが居住してい
ることは報道されたが、報道されなかった事実の中には反日、反皇室といった
側面もほのかに見えるようだ。
皇太子妃の実家・小和田邸の前にも、國松狙撃事件前日にマンション前にい
た二人組と同一と思しき、不審なアベックが目撃されたという。赤坂御所の周
辺でもこのアベックが目撃されているという説もある。
また、民間から2代続けて妃を迎えた天皇家の婚姻について麻原彰晃が「ヴァ
ジラヤーナ・サッチャ」の中でも異議を唱え皇室批判したことなど、麻原彰晃
自身の考えとは思えず、誰かに背後で操られた可能性も否定できない。他にも
「北」との関係を示唆する情報は数多いが、だからといって、そのまま鵜呑み
にするわけにはいかないだろう。「北に関する情報は、公安による情報操作の
可能性も高い。公安は北の恐怖を煽ることで予算や権限を拡大することに躍起
になっていますからね。慎重を期すべきですよ」(警察庁担当記者)
●日本の国家権力も介在か そもそも一方では、他国でなく日本の国家権力そ
のものが介入していたという説もあるのだ。特に公安警察の動きについては検
証しなければならない。 その代表的なものが立花隆も言っている「公安のS
(スパイ)が入っていた」という説だろう。 例の怪文書の作成者もさることな
がら、最大の疑問は假谷さん拉致犯とされた松本剛の掌紋がライトバンに残さ
れていたこと。犯罪容疑で指紋を登録するさい、全ての指紋を回転式で確実に
登録するが、掌紋登録など聞いたことがない。
ライトバンに残されていたとしても、どうやって松本剛自身の掌紋と比較・
同定できたのか、という捜査上の謎が残る。どう考えても、あらかじめSを潜伏
させていたとしか思えないのである。 松本サリンの後にある程度容疑事実を
固めた段階で介入していれば、地下鉄サリン事件は未然防止できた。それをあ
えてやらずに、内偵するだけでみすみす見逃したのは、内部的に煽ってやらせ
たということではないか。
内部にいて「見ていただけ」なら公安も加害者側にいたことになる。
結果、地下鉄サリン事件は防げずに12人もの死者を出した。このこと自体へ
の反省もなければ内部潜入Sの処分も出さない。
御用ジャーナリスト達は誰も公安のSの問題を取り上げない。
立花隆だけがあえて恥をかくことを恐れずに「松本サリン事件に関する一考
祭」なる怪文書を取り上げ、公安の内部スパイの存在に目を向けさせた。「松
本サリン事件以来、オウムに目を付けた警視庁公安部は、上九一色村の内偵に
94年9月から入っている。公安調査庁も94年末には入っている。松本以来関心を
持っているCIA、自衛隊調査隊との連携で合同捜査体制を敷いた。後にFBI長官
とCIA長官の兼務からFBIが加わったという情報もある」(TV局報道部キャップ)
新聞紙上でも何の前置きもなく、第七サティアンにFBIの専門家が入り、鑑定
したという報道が出ている。だれがいつ呼んだのかさえ不明なままだが、未然
防止できたはずの地下鉄サリン事件に、調べて叩くことを優先する警察の力が
入ったことを感じさせた。
●自衛隊クーデター期待組のオウム入信問題
この地下鉄サリン事件自体を予測できたのは果して公安だけだったのだろう
か。 自衛隊の化学防護隊の現役幹部がオウムに入信していたことからも、自
衛隊の内部に戦後ずっとくすぶり続けるクーデターグループがいて、日本の軍
事大国化を狙ってオウムを利用したという見方もある。
自衛隊には、さらに重大な疑問がある。
松本サリン事件、地下鉄サリン事件を予期していた者がいたのではないかと
いう疑惑だ。例えば、毒ガス用ガスマスクの製造会社は日本のシェアをみると
80%以上が興研と重松製作所の2社に集中する。この2社の株が松本サリン事件の
前、そして地下鉄サリン事件の前1週間に店頭で異常に売れている。これらの銘
柄は店頭株では一日l000株も出ればいいのに、20万〜1OO万株も買われること自
体、異様なことだ。
オウム真理教が買っていたなら単純すぎるミスを犯したことになる。そして
事件の翌日に両株式ともストップ高となっている。
特に注目したいのは、重松製作所は自衛隊御用達の会社といっても差し支え
ないほどの仕入れ先である。オウムが自衛隊に入っていたという情報をさかさ
まに読めば、オウムから自衛隊にサリン情報が漏れたとしか思えない。オウム
信者以外にも「知っていた」人間が存在したはずである。
また、統一教会だけでなく、他の宗教団体の名前もでてくる。 創価学会が
この件に関して調査していること、目黒公証役場の假谷さん拉致誘拐犯人と運
転免許証を偽造された人物が創価学会の会員であるとオウム側に言われたから
か、青山弁譲士の後を公安そこのけに追跡し、学会本部近くの新宿区内のビル
に入るや四谷警察署に通報するなど、敵意を剥き出しにしている。
また、幸福の科学の名前も出ている。同教団はオウム、創価学会、統一教
会、コスモメイト等に対して「邪教だ」として敵意を露にしているが、假谷さ
ん拉致誘拐の4日後に全国に100万枚のビラを撒き、オウムを名指しで攻撃した
こと、幸福の科学が事前にオウムへSを入れていたという説まで流れている。
「オウムの信者まで知らない麻原彰晃のスケジュールを、幸福の科学は把握し
ているらしい。麻原彰晃のプライベートな遊園地での一コマが撮影されて彼ら
の本に載っていたんですから」(公安関係者)
宗教団体には調査費がうなるほどあるらしい、と嘆息する。
また、三重県榊原みのり会病院乗っ取りに動いたグループや、エメラルド教
団と名乗る謎の宗教団体、天地正教などの名前も飛び交っている。他宗教団体
でオウムの幹部を匿ったとの容疑で強制捜査を受けた教団もあり、事件の真相
の背後にある闇はまだまだ深い。 やくざとの覚醒剤関係説もある。「麻原彰
晃と早川紀代秀以外は青山まで皆、党醒剤をやっているようだ。とにかく寝て
いないようだった」(オウム関係者)
また、金丸信の金塊と同じく無刻印の金塊が出てきたこと等、検証すること
は山積している。
しかしこうした事実について警察は捜査する気持ちがなく、冒頭にも書いた
が公安の御用ジャーナリストたちは立花論文等を批判し、公安サイドの情報を
垂れ流すだけだ。 また、オウムに関しては終息する気配だが、統一教会につ
いては捜査すらしないだろうとの見方が強い。「統一教会はやれない。なぜな
ら教団に関係して公安、警察のOB、官僚OB、政治家の名前が次々と出てくるか
らです」(公安担当記者)
また、北朝鮮の問題についても、いい加減なデマはしきりに流して煽るもの
の、真実は国民に知らせず、もし、決定的なことを掴んでも、それは外交カー
ドとして取っておいて使うのだという。国民には相変わらず深い闇だけが目の
前に広がり、こうしてこの事件の深層は戦後の下山事件などと同じように、闇
に葬られることになるのだろうか。〈敬称略〉