東日本大震災で堤防が決壊し、7人が死亡、1人が行方不明になった福島県須賀川市の農業用ダムについて、県の検証委員会は、長時間の激しい揺れで、初めに堤防の上部が壊れ、その後、崩壊していったと結論づけました。
須賀川市の農業用ダム「藤沼湖」は、震災で堤防が決壊して大量の水が流れ出し、下流の集落の7人が死亡、1人が行方不明になりました。専門家などで作る県の検証委員会は決壊の原因を調べ、25日、県に報告しました。それによりますと、ダムは耐震基準を満たしていたということですが、過去に何度か堤防を高くする工事が行われていて、一番上の層は戦後まもない施工だったため、揺れに弱い砂が多く含まれ、土の締め固めが不十分だったということです。そして、震災で、堤防には瞬間的に耐震基準の3倍近い激しい揺れが加わり、その後、強い揺れが100秒以上続いたということです。こうしたことから検証委員会は、長時間の激しい揺れで初めに堤防の上部が壊れ、その後、崩壊していったと結論づけました。一方、ダムの管理者による点検や管理には、特に問題はなかったとしています。検証委員会の委員長で東京大学名誉教授の田中忠次さんは、「基準を満たしているだけで、安全だとは言えないことが教訓として分かった。古い技術で作られたダムの材質や締め固めを調べ、対策を考える必要がある」と話していました。