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[オレ的と行く#7]イメージエポック御影良衛社長「いま業界に必要なのは社長だと思ってます」
どうもこんにちは、オレ的ゲーム速報のJin115です。
「オレ的と行く」第7回は、先日JRPG宣言決起会を行った話題のゲーム会社「イメージエポック」の社長、御影良衛(みかげ りょうえい)さんにインタビューしてきましたYO!
―本日はKotaku JAPANさんと僕の取材に応じて頂きありがとうございました! 早速ですが、イメージエポックを起業するまでの軌跡をお伺いしてもよろしいですか?
高校2年生の夏休みに、コーエーでデバッグのバイトをやってたんですよ。それがきっかけでゲーム業界に入ろうと思ったんです。
大学に入ってからは、ゲーム会社のアルバイトを転々としながらナムコさんやセガさんの仕事をして...。大学を卒業する頃には、企画とデザインはほぼ一通りできるようになったんです。その後、内定が出ていたテイルズスタジオに早期アルバイトとして入って、卒業と同時に社員にしました。
ただ...社員になって4ヶ月で辞めましてしまいましたが。
―え、なんでそんなにすぐに辞めたんですか?
うーん、飽きちゃった(笑)。ナムコってすごく良い会社で、マスターアップ前じゃないかぎりは定時に帰れるんですよ。あくまでも自分のいた開発部署に限定されていたのかも知れませんけど。
それまでの経験上、ゲーム会社って忙しくて帰れないってイメージだったんですけれど、帰れちゃうんで...もっと殺人的なスケジュールで仕事したかったんです。それで7月末に退職届け出して、8月には会社(イメージエポック)を起業したんです。
―会社を立ち上げて、一番最初は何をやられていたんですか?
『グランディア』や『ワイルドアームズ』のデザイン等をやってました。学生時代はグラフィッカーのバイトをやっていたので、自分で受注して自分で作って自分で納品して。最初のころは全部1人でやったのでボロ儲けでした(笑)。
―そこでひと財産築いたわけですか?
ひと財産は築けませんでしたね。会社をはじめてから、どんどん人を増やしたんです。
大学時代の知り合いに片っぱしから電話をかけて、30~40人ぐらいが集まりました。そこから知り合いの知り合い、みたいに紹介してもらって、2年目で70~80人ぐらい、3年目で100人になりました。100人になるまで、まともに求人をやってなかったですね。
そのあたりで「これ行けるじゃん、デベロッパー(開発会社)になろう!」って決めました。2006年ごろです。
―ニコニコ生放送で・JRPG宣言決起会を行われましたが、「JRPG」という定義付けをする必要はあるんですか?
定義づけと言いますか、一口にJRPGと言っても、『FF』と『ドラクエ』と『テイルズ』では作り方が全然違うと思うんです。意外とJRPGって、どれが主軸になってるかわからない。RPGという定義は沢山のキーワードを含んでいる。
JRPGとは日本産のRPGです。JRPG宣言には、僕達が作ったゲームをユーザーさんに認めて頂ける、面白いって言って頂けるレベルまでまず成長させます、っていう宣言が含まれています。
だから、「これぞJRPG!」という作品は、たぶん結構な時間出ないんじゃないでしょうか。当面は「これは面白いRPGだ!」という作品が作れる会社作りを進めていく所存です。「これは面白いRPGだ!」というのが、イメージエポックが作ったRPGであり、つまりは国産のRPG=JRPGである、ということを目指します、という宣言なんです。
―普段、Webサイト等はご覧になられますか?
見ますよ。僕、2ちゃんねるからTwitter、個人ブログまで全部見ます。最初の頃作ったゲームについては、ユーザーさんの評価を見ると川に飛び込みたくなる*ような事も書いてありました。でもそれって評価をしたユーザーさんは何も悪くなくて、"僕のやっちゃった結果"なんですよね。
*イメージエポックのオフィスの目の前には運河が流れています。
それをちゃんと飲み込んで「まともなゲームを作るにはどうしたらいいか」本気で考えたんです。
そこで1つだけ気づいたのが「自分1人じゃゲームは作れない」ってことです。まずこの会社で良い仲間たちを見つけて練度を上げよう。まず「普通のゲーム」以上のものを作ろう。そう思ったんです。
去年の頭ぐらい、Webの掲示板でイメージエポックのゲームはよく「凡ゲー」って書かれていたんですよ。でも僕の中では「クソゲー」から「凡ゲー」に上がったなと...。これかなり大きいんです。嬉しかったですね。
最近は「凡ゲー」から「良ゲー」っていう書き込みが増えてきたんです。だから、いま作っている『最後の約束の物語』は「良ゲー」と言ってもらえるように、そして「良ゲー」から「神ゲー」の間ぐらいと言っていただけるところを狙って、頑張って作っています。
ステップアップしていく事が会社としてのミッションですし、今までイメージエポックのゲームを買ってくれたお客様に大してより良いゲームを提供していきたい。去年より面白く、来年のほうが面白い。そしていつか、イメージエポックの作品で皆様に感動が伝えられるような究極の1本ができるように作っていけたら、と考えています。
そういう意味でユーザーさんとのコミュニケーションが必要だと考えています。たぶん、僕ほどネットサーファンをする経営者は他に居ないんじゃないでしょうか、1日2~3時間は必ずネットを観てます。
―それは凄いですね、最近の評判はどうですか?
最近、なんだかみんな(イメージエポックに対して)優しいんですよ...。身が引き締まる思いです。大変申し訳ないのですが、我々が持っている力以上のお褒めを頂いているような気がします。
―イメージエポックってゲーム会社としはまだまだ新参ですよね? どんな事を目標にしているか聞いてもいいですか?
ウチのスタッフは結構若いんですよ。イメージエポックは「御影良衛とその仲間たち」みたいな感じになってます(笑)。ゲーム業界が枯れていく前に、若手を育てたいというのが他の会社との共通認識でもあります。
おかげさまでJRPG発表会の後に就職の応募が1500人を超えました。*イメージエポックは夢があるし、何より社長(自分)がボッタクリをしないんですよ。どことは言えないですけど結構あるんですよね、ゲームと関係無い物にお金を使ったりする会社...。
*インタビュー当時(2010年12月)の数字です。
ゲーム愛に熱く溢れていて、その愛のために人生とお金がコントロールできる人とビジネスがしたいです。
―タイトルごとにパブリッシャーを色々変えてますよね? 何か理由があるですか?
ウチは基本的にクライアントさんから仕事を貰うというより、企画を作って「どこのクライアントに持って行ったら面白いか?」って考えるんですよ。
なので、「この企画はこの会社様から売って頂くのが一番ポテンシャルを発揮するのでは」とケースバイケースで企画を持込してます。「こんなにウルサイ会社(デベロッパー)初めてだ」とか言われました(笑)。いろいろな会社さまとの出会いは色々吸収できることもあって、とても勉強になります。
―でも、今後はパブリッシャーになるんですよね。
えーとですね、付き合いが古い会社さまには3~4年前から「パプリッシャーをやります」って言ってたので、おつきあいのあるメーカーさまは発表会の前にだいたいご存じだったんですよ。
最初は反対されたりもしましたが、最後のほうでは「もういいよ。御影はやりたいていったらどうせやっちゃうんだから、好きにやりな」って感じでした。皆さんに暖かく背中を押して頂きまして、この業界の先輩方は愛があるな、としみじみ思いましたね。
―御影社長のような若い人って中々業界に居ませんよね?
その理由はいくつかあると思うんですが... 僕らの世代って、実はクソゲーを作らせてもらえる余裕が無いんですよ。これって凄く大きい。1本目や2本目って、クソゲー作る可能性が高いんです。
もちろん、1本目から最高のゲームを作れるのであれば、それはそれで最高なんですが。昔ってなんだか意味が分からないくらい作品が出てて、地味で底辺のゲームでも多少は売れるんですよね。なので、「まずは挑戦しよう」という空気が業界自体にあって。
でも今は、それを許容してもらえる時代じゃないんです。その1本で会社が傾く事もある時代。だから、クソゲーを作らないよう、確実な実績のある人がずーっと作り続けないといけない。だから新しい人が出てこない。出てきにくいと表現した方がいいかな?
天才型より努力型で結果を出す人の方が絶対数的に多いと思うんですが、挑戦自体が難しいと努力型の才能が芽吹かないのかなと。
また、新しい人が出てきても、1~2本ダメなモノ作っちゃうと2ちゃんねるやwebを見て「心が折れそうだ...」みたいになっちゃって、ディレクターやめてプランナーとかに降りちゃう。
情報があまりにリンクしすぎるが故にクリエイターが育ってないっていうのものもあるし、先輩方が下の世代にバトンが渡せてないっていうのも、今の僕のボジションでは強く感じています。メディアさんと作り手が、今どうやったら付き合えるようになるのかなって。
僕くらいの世代で、他社さんと将来手を組んで「何かやるぞ」って人が現時点でいないんですよ。この記事読んでくれて、「いやいや俺がいるぜ!」て言う同世代の方、是非とも友達になってください!
―今、ゲーム業界は正直厳しいとおもいますが、そういった現状をどうお考えですか。
正直、日本のゲーム会社は軒並み業績が悪いですよね。特にデベロッパーは。
イメージエポックは「どうしてそんなに仕事があるの?」ってよく聞かれるんです。前提に運がいいというのがあると思うのですが、真っ当に時代のニーズを読んで、ちゃんと模索して作っていくという姿勢があれば、みんな応援してくれるですよ。ユーザーが求めてるものを作れば絶対マッチする、というのは難しいんですが、その差を少なくすることはできるんです。
そのあたり、業界全体で模索しあう環境が出来るといいですよね。
近ごろよく日本はガラパゴス化してると言われてますが、20年前から言われてるんですよ。日本は大正時代からずっとガラパゴスなんです。なんで今頃、その論議になってるのか...HD機だとかPSPだからどうだとか、本当に見るべきところはそこじゃないと思うんです。ガラパゴスであることを前提に行動すればいいのだと僕は考えています。それこそが今、日本人がやるべきことじゃないかと。
ただガラパゴスとかそういうなんていうか...抽象的な表現て誤解を生むので余り語りたくはないのですが。
あとゲーム業界にいま一番足りていないのは、プロデューサーでもディレクターでもなく社長だと思ってます。
クリエイターが社長やっても、たいがい上手くいなかいんですよね。明確な意志が無いんですよ、1本当たれば5年の約束はされますが、10年後の約束はされないんです。クリエイター嗜好の人は予算度外視という方があまりに多すぎて...。
もちろん、デレクターもプロデューサーも物凄い大事ですし、業界的にも数少ないのは承知しています。ただそれ以上に社長気質な社長(いわゆる経営をするタイプ)はそれと比較しても郡を抜いて少ないと感じています。
だから、企業としての指針をつけないといけない。僕はゲームが大好きで、クリエイターが大好きです。だから、どうやってこの会社を改革していくかを考えるのが大好きなんです。
それから、そろそろゲームは文化にならないといけない。「良いゲームを作る」と「ゲームを文化にする」は同義語じゃないと自分は考えていまして。例えばうちの新納一哉*が100人いても、ゲームは文化にならない。文化になるには、社会に根付かなくてはいけない。しかもかなり大きな枠組みで。それはビジネスとして半永続的に栄えるという事と繋がります。
*イメージエポック所属のディレクター。『超執刀カドゥケウス』『世界樹の迷宮』(アトラス)、『セブンスドラゴン』(セガ)、『ラストランカー』(カプコン)など。
ゲームを文化にするには、ゲーム産業に会社の社長が必要だと考えています。しかも沢山。これは父が僕に教えてくれたメッセージです。
―そんな厳しい現状の中イメージエポックさんが急成長している理由を聞いてもいいですか?
単純にベンチャーなので当たり前の戦略をしているだけなのですが、ウチって他に比べて無駄なお金を使ってないんです。僕も含めて。だいたい、販売管理費を含めて一人月80万を切ってるんですよ。他所の大手さんだと250~300万ぐらいですかね。
だから、大手さんの3分の1から4分の1の単価になります。ウチが3~4億でRPGを作ると、よそは10億円以上かかるんです。そういうコストの徹底的なスリム化を目指しています。
ウチはそこそこの作品であっても、10万本以上売れたら利益が出るビジネススキームを組んでますので、他社さんはウチのセグメントゾーンには入り難いんです。とくに大手であればあるほど。
よく「なんで今更JRPGなんてニッチな所に」なんてよく言われますが、これほどブルーオーシャンな所は無いですよ。
競合他社みたいな所は、正直1社もいないです。2011年に、レベルファイブさんがPSPをターゲットに、RPGを大々的に投下! って言ったりしたら別ですけど(笑)。
でももし、レベルファイブさんが参入されても、それはそれでお互いに伸びると感じています。「どっちが面白い?」みたいな感じになって。3社目、4社目が入ってくると、パイの取り合いになって落ちていっちゃうんですけど。これは学問になってるロジックですしね。
だから2社までの競合なら問題ないですね。ですのでウチは当面落ちる箇所は無いですね。ゲームがクソゲーじゃない限り(笑)。最大の敵は自分達の中にいるかな。
御影良衛(みかげりょうえい)さん
20XX年にナムコテイルズスタジオに入社。その後イメージエポックを設立。現在は同社の代表取締役として、各タイトルの監修を行っている。代表作
『ルミナスアーク』シリーズ、『アークライズファンタジア』など
〈インタビュー後感想〉
御影社長は若くして凄く冴えてる方でした。目の付け所がとても鋭いです。それでいながら情熱的でもあり、ゲームを愛してるんだなっと感じました。
ゲーム会社って、ゲームが好きなだけじゃずっとはやっていけないと思うんです。そのため経営者の視点が必要で、その目標がハッキリしている御影社長には周りの人も付いて行きやすそうでした。
インタビュー後に社内見学もさせて頂いたんですが、とてもやる気に満ち溢れた良い会社でした。今後の成長がとっても楽しみです。
なお、オレ的ゲーム速報@刃にも、御影社長のインタビューが掲載されています。こちらはTwitterで募集した御影社長への質問をフランクに紹介してします、興味のある方はぜひご覧ください!
(jin115)
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もう「RPG」という言葉自体に意味は無いと思います。
そんな事いったら、石村号だって立派なRPGではないかと。
ガラパゴスにしたってガラパゴス島は独自に独特な進化を
したから言えるわけであって、
日本って隕石が落ちる前の白亜紀見たいな感じがします。
みんな恐竜なんですよ。
クソゲーを作ってしまうっていうことは、
腐ってでも製作計画を最後まで走らせざるを得ない、
ラインを止められない、ただの会社の事情もあるんでは?
ラストランカーはなかなか良かったですよ。
あのぐらいのクオリティを量産できるなら、大ヒットは無理でも安定して利益が出せそうに思いますよ。日本のゲーマーでRPGに飢えている人はたくさんいるはずです。