NTTドコモが2011年12月に起こしたスマートフォン(多機能携帯電話)のメール送受信サービス「spモード」の事故原因究明が足踏み状態となっている。総務省が何らかの処分や指導を出すまでに2―3カ月以上を要しそうな情勢だ。そこで気になるのは2―3カ月後に決まると見られるNTTの次期社長人事。三浦惺社長の交代観測が強まっており、グループの稼ぎ頭の山田隆持社長は有力候補として名前が挙がるが、総務省による処分の程度や時期が次期社長人事を左右する可能性もある。
昨年12月のspモードのトラブルではメールを送信した時に関係ない他人のアドレスが表示され返信すると全く知らない他人にメールの内容が見られる事象が起きた。関西地区で保守時に光ファイバーを誤って切断したのが原因。
すぐに復旧したが、その後、スマホが一斉に再接続しようとしたため、サーバがパンクした。その際に端末のインターネット・プロトコル(IP)アドレスと電話番号、メールアドレスの管理サーバによるひもづけが一致しない現象が起きた。今回のトラブルについてドコモは、スマホの普及によるトラフィック(データ通信量)の急増でサーバ能力の不足が原因と説明した。再発防止策としてサーバの増強をあげるが、「IPと電話番号やメールアドレスをひもづけする特殊な認証の在り方に問題がある」(通信会社幹部)と指摘する声もある。
ドコモは山田隆持社長がトップの「ネットワーク基盤高度化対策本部」を設置し、原因究明や再発防止策に向けて動きだし、総務省への原因報告や再発防止策を取りまとめているが、被害が大きいため手間取っている。「報告を受けて省としてどのような形で対応するのか2―3カ月以上かかる可能性がある」(総務省関係者)という。