面倒なこと、危ないことはみんな東北に押し付ける。それがこの国の方針らしい。核のゴミ捨て場ももちろん東北だ。そのための調査まですでに隠れてやっていた。
無害になるまで数万年
今春公開された「100000年後の安全」という映画が、話題を呼んでいる。原子力発電の過程で生じる、人体に有害で処分が困難な高レベル放射性廃棄物を、地中500mに埋める「地層処分」をテーマにした映画だ。
舞台となっているのは、フィンランドのオルキルオトという僻地。'01年にフィンランド政府が「核のゴミ捨て場」として選んだのがこの地で、映画では「放射性廃棄物を管理するには、地層処分しかない」という意見と「放射性廃棄物が無害になるには数万年かかる。そのときまで安全だとなぜ言えるのか」という主張が登場。フィンランドをはじめ欧米諸国で、地層処分が深刻な問題となっていることが取り上げられている。
ここ「原発大国」日本でも、核のゴミをどう処分するかという議論が長年続いている。現状ではやはり「地中深くに保管するしかない」ということで、政府は2030年頃に、地層処分を開始するという目標を掲げている。しかしその処分地の選定に携わる原子力発電環境整備機構(通称NUMO)によると、「現在のところ、候補地に名乗りを上げている自治体はない」状態だという。
NUMOの説明では、処分施設の建設地の選定には自治体の自発的な応募が必要で、その後、3段階にわたる調査を行った後に、ようやく地層処分が開始される。つまり、自治体の応募がなければその調査もできないということだ。
しかし、有害で何百世代先にも影響を及ぼす放射性廃棄物をやすやすと受け入れ、「核のゴミ捨て場」になろうとする自治体などあろうはずもない。現在NUMOは候補地の募集を進めるべく、年間数十億円を投じてPR活動を行ってきたが、福島第一原発の事故があったため、今後さらに選定作業が難航するのは間違いない。
ところが、である。地層処分を推進する機関が、自治体や住民の許可を得ることなく、極秘裡に地層処分に関する調査を進めていたのである。
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