その先送りの最たるものが、使用済み核燃料の処理だろう。
核廃棄物の処理場が日本にはない。「トイレのないマンション」といわれるゆえんで、どの原発も使用済み核燃料を原発内のプールに溜め込んで、冷やし続けている。
将来、この使用済み核燃料は青森県六ケ所村の再処理工場に持ち込まれ、取り出されたプルトニウムで高速増殖炉を稼働させ、残りをガラスで固めて高レベル放射能廃棄物とし、これを最終処分場で数万年かけて冷やすことになっている。
だが、その「将来」が、なかなかやってこない。高速増殖炉も再処理工場も、完成しないのである。そこに福島原発事故が起き、高速増殖炉もんじゅは、廃炉となる可能性が高い。“夢”の核燃料サイクルは、“夢”に終わりそうで、そうなると現実に立ち戻り、使用済み核燃料を、直接、地下500メートルから1キロの地中深くに埋め込んで、長い年月をかけて冷やす最終処分場が必要になる。
応募自治体がひとつもない実情
最終処分場探しを新たに行うのは、不可能と言っていい。なにしろ候補地選定作業は、30年近くに及ぶが、候補地が取りざたされるたびに、反対運動が起き、2007年の高知県東洋町を最後に、応募自治体はひとつもないのが実情だ。
再処理工場と各原発に溜めこまれた使用済み核燃料は、すでに満杯に近く、いつどんな不測の事態が発生するとも限らない。民主党政権も電力業界も、「国有化した福島原発周辺地、なかでも廃炉となる福島第二原発とその周辺地が最終処分場に相応しい」という“本音”を隠し持っている。
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