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施政方針演説を野党側が批判

1月24日 19時33分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

野田総理大臣は、施政方針演説で、消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革の実現に向け「決断の政治」を訴えましたが、野党側は「ごり押しする姿勢だ」などと批判しています。

自民党の谷垣総裁は、記者団に対し、「燃えるがごとき演説をすると、いちるの期待を持っていたが、聞いているうちにしらじらしくなった。党内をどのように説得するのか、ことばだけで行動が見えず、社会保障についても消費税で何をしようとしているのかほとんど言及がなかった。『選挙のことばかり考えるな』と言うが、私たちは参議院選挙で消費税率を当面10%にすると掲げて戦っている。全然違うことを言って選挙をやりながら、よくも言えたもので、そのことばをそっくり返したい」と述べました。また、谷垣総裁は、野田総理大臣が福田元総理大臣や麻生元総理大臣の発言を引用したことについて、「極めてしらけた気持ちで、野田総理大臣の本気度を疑った。一つ一つのことばに真心を込めた政治をすべきだ」と述べました。

公明党の山口代表は、記者団に対し、「国家公務員の給与削減などの協議を途中で打ち切ったのは野田政権で、そのことを棚に上げて野党に協力を求める姿勢は、あまりにも自分本位すぎる。歴代総理大臣の発言を引用して『自分も同じ考えだ』と強調していたが、自公政権のときは、歳出の抑制に努め、党内の異論も克服した。今の政権は、国債発行額をみずから膨らませておきながら、財政再建を主張するところに反省が欠けている。公明党は『年金の抜本改革を含む社会保障の全体像を示して協議入りすべきだ』と求めており、議論の環境を整えてもらいたい」と述べました。

みんなの党の渡辺代表は、記者団に対し、「美辞麗句で増税を正当化しようという印象を受けた。野田総理大臣は、財務大臣になったときに『財務省色に染まってみたい』と言ったようだが、本当に吸収のいいスポンジのようだ。野田総理大臣は、かつて『マニフェストはルールで、ルールに決めていないことはやれない』と言っていたが、ブーメランのように返ってくるだろう」と述べました。

共産党の志位委員長は、記者団に対し、「『決断する政治』というひと言で、すべてをごり押ししていこうという危険な姿勢があっただけの演説だ。野田総理大臣が、自民党の元総理大臣のことばを引用したのは『自民党政治を引き継いでいるのは民主党なので、一緒にやりましょう』という呼びかけであり、政権交代の意味をみずから否定し、政権交代に託した国民の願いをすべて裏切るものだ」と述べました。

社民党の福島党首は、記者団に対し、「消費税増税とTPP参加をやるぞという『開き直り施政方針演説』で、決断する方向が間違っているのではないか。雇用についての言及が全くなく、『国民の生活が第一』ということから、『思えば遠くへ来たもんだ』という演説だ。福田元総理大臣と、麻生元総理大臣のことばを引用しているが、自民党総裁の施政方針演説だといわれても納得してしまう中身だ」と述べました。

たちあがれ日本の平沼代表は、記者団に対し、「不況の中で増税するのは、景気をさらに冷やすことになり、税収が落ちることにつながる。景気対策は大事だと言ったが、今年度の第4次補正予算案の具体的な内容をしっかり言うべきだった。与野党で協議するのは必要なことで、問題点があればしっかりと言っていく。政界再編のために努力していく国会にするために頑張りたい」と述べました。

新党改革の舛添代表は、記者会見で、「ここまでむちゃくちゃな演説は、あまり聞いたことがなく、心に響かない。消費税ありきで、社会保障制度全体のあるべき姿についての議論が全く足りない。今、消費税を上げれば日本経済は終わりで、そういった深刻さが全く伝わってこない。『国民の生活が第一』というが、庶民の生活を分かっているのかという感じがする」と述べました。

新党きづなの内山代表は、記者団に対し、「なぜこの国会で、消費増税を訴えるのか全く理解できない。社会保障と税の一体改革とうたいながら、抜本的な社会保障の改革には触れていない。官僚の政策を羅列しただけで、とても政治家の政策とは思えず、代表質問では、野田総理大臣の施政方針演説で抜けていた社会保障改革ついて問いただしていきたい」と述べました。

一方、民主党の輿石幹事長は、記者団に対し、「野田総理大臣自身の決意と覚悟が、国民にも理解いただけたと思う。消費税については、3年前、当時の麻生総理大臣みずからが、『遅滞なくかつ段階的に消費税を含む税制抜本改革を行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講じる』と述べており、その延長線上にあるのが、今回の与野党協議の提案だ。野田総理大臣は、政局ではなくて大局を見据えた国会運営をしようと野党側に呼びかけている」と述べました。

国民新党の下地幹事長は、記者団に対し、「国家公務員の給与削減や国会議員の定数削減などを全部やりながら、社会保障と税の一体改革をやっていきたいという、野田総理大臣の思いが書かれていた。あとは、確実に実行していくことが大事なので、私たちもサポートしていきたい。『ねじれ国会』で難しい国会運営かもしれないが、野田総理大臣が何がしたいのかをはっきり示していけば、国民の理解は深まる」と述べました。