原発事故 政府の体制見直し案
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原発事故 政府の体制見直し案

1月24日 4時20分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

原子力発電所の事故が起きた緊急時の対応について、政府は、総理大臣官邸に設置する原子力災害対策本部に意思決定を集中させるとともに、指示の徹底のため電力会社に国の担当者を派遣し、官邸から発電所に直接指示をするなどの体制の見直し案をまとめました。

この案は東京電力福島第一原発の事故で新たに取った政府の対応の多くを制度化するもので、今後議論となることも予想されます。原発事故が発生した緊急時の対応について、現在の制度では、原発近くにあるオフサイトセンターに国や自治体などの防災機関が集まり、政府と連絡を取りながら現場で迅速に判断し、対応に当たることになっています。しかし、福島第一原発の事故では、国や自治体の職員が地震などで集まれなかったうえ、停電や放射線量の上昇で施設が使えず、オフサイトセンターは機能しませんでした。政府がまとめた原発事故の対応体制の見直し案では、事故対応の意思決定は官邸の原子力災害対策本部に集中し、オフサイトセンターは地元自治体との連絡・調整と住民対応に当たる場として位置づけています。また、対策本部の指示を徹底させるために、電力会社の本店などを「事態即応センター」と定め、国の担当者を派遣して密接に連絡を取るほか、官邸から直接、発電所に対策を指示することもあるという内容になっています。この見直し案は、福島第一原発の事故で新たに取った対応の多くを制度化するものですが、それらが適切だったかどうかは、去年12月にまとめた政府の事故調査・検証委員会の中間報告でも結論を出しておらず、今後議論となることも予想されます。

東京電力福島第一原子力発電所の事故では、政府の現地対策本部が置かれた「オフサイトセンター」に国や自治体の職員が地震などの影響で集まれなかったうえ施設の停電や放射線量の上昇で機能不全に陥り、事故調査・検証委員会の中間報告では速やかに適切な整備を図るよう指摘しています。一方、総理大臣官邸では地下の「危機管理センター」に各省庁の幹部が集まりましたが、事故対応の意思決定は当時の菅総理大臣や閣僚、それに東京電力の幹部などがいた5階で行われ、中間報告では双方のコミュニケーションは不十分だったと批判しています。放射性物質の広がりを予測する「SPEEDI」のデータが、所管する文部科学省の関係者が官邸5階にいなかったことなどから避難指示に活用されず、中間報告では「国による避難の指示は自治体に迅速に届かず、『ともかく逃げろ』というだけできめ細かさに欠けていた」と批判しています。こうした混乱の反省から事故から5日目の3月15日には迅速な情報共有を図るために政府と東京電力が一体となった事故対策統合本部が立ち上がりましたが、統合本部が立ち上がったあとの情報の共有や提供の在り方については事故調査・検証委員会もまだ検証しておらず、原発事故に備えてどのような防災体制を取るのが有効なのかは、今後の大きな課題となっています。