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【スポーツ】

吉村真晴 高校生王者 水谷破って水谷以来 男子2人目

2012年1月23日 紙面から

◇卓球 全日本選手権最終日

男子シングルス決勝 水谷隼(右)を破り、ガッツポーズの吉村真晴=東京体育館で(川柳晶寛撮影) 

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 無印の高校生が、ロンドン五輪代表の絶対王者を大逆転の末に倒して日本一になった。全日本選手権最終日は22日、東京体育館で男子シングルス決勝などを行い、高校3年生の吉村真晴(18)=山口・野田学園高=が、ロンドン五輪代表で大会5連覇中だった水谷隼(22)=明大=を4−3で破って初優勝。2006年度の水谷以来、男子2人目の高校生王者に輝くとともに、世界選手権団体戦(3月開幕、ドイツ・ドルトムント)代表に決まった。私生活では大会中に約7万円が入った財布を失い、「最低で最高の全日本だった」と笑わせた。

 誰がこんなエンディングを予想しただろうか。日本一に上り詰めた吉村はガッツポーズをしながら、あおむけに倒れ込んだ。「ああ、やっちゃったよ…」。喜びと驚き。世界ランク103位の高校生・吉村が同9位で大会5連覇中の五輪代表を破ったのだ。

 「まさか勝てるとは思わなかった。信じられない。自分が(水谷の連覇を)止めちゃっていいのかな。こうやって勝ててうれしいです」

 3ゲームオールで迎えた最終ゲーム、7−10の相手チャンピオンシップポイント。絶体絶命のピンチだったが、「負けそうになって、やるしかないと開き直ることができた」。物語はここから始まった。

 水谷が「何かしてくるのでは、とビクビクした」と恐れるほど突拍子もない攻めっぷり。8−10から、それまで秘めていたミドルトス・サーブを繰り出し、虚をつかれた水谷がネットに引っかける。強気一辺倒の攻撃に、「ひょっとして…」と会場のボルテージが上がっていく。さらに3点を連取し、今度は吉村が初優勝に王手。最後は水谷のリターンが大きく外れ、大逆転劇が完結した。

 小6から指導する野田学園高の橋津文彦監督は「すごくヤンチャな子。試合直前に怒鳴られるのは吉村だけ」と笑う。試合前のアップを忘れたり、練習態度が真面目ではなかったり。それでも「球さばき、切れ味は今大会で一番」と評価する。

 大会中に私生活では事件があった。2日前の試合後、7万円も入った財布をなくしてしまった。「ショックでした。みんなには『もういいよ』と言ったけど、顔は引きつってました。でも優勝できたからいいんです」

 全日本王者となり世界選手権団体戦の代表に内定。2月のカタール、クウェートオープンで結果を残せば、遠く険しい夢のロンドンが見えてくる。

 「水谷選手と一緒に世界で勝つことを目指したい。チームジャパンとして中国に勝てるように」

 突如現れたシンデレラボーイ。物語は終わらない。ひょっとして、ひょっとするかもしれない。 (森合正範)

 

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