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2012年1月24日2時8分

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九電玄海原発、試験片を廃棄か 原子炉劣化の目安

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 九州電力玄海原発1号機の老朽化をめぐり、経済産業省原子力安全・保安院は23日、専門家が審議する意見聴取会を東京都内で開いた。九電の担当者は「原子炉の健全性に問題はない」と説明したが、専門家からデータ不足や分析手法の甘さを指摘する声が続出。原子炉から取り出した試験片の一部を九電が保管しておらず、廃棄した可能性があることも明らかになった。

 運転開始から36年3カ月たつ玄海1号機では、原子炉圧力容器の劣化の目安になる「脆性(ぜいせい)遷移温度」の急上昇が2009年に発覚。核燃料から出る放射線が当たり続けることで鋼がもろくなる現象が予測以上に進み、事故時に原子炉が壊れやすくなっているおそれが指摘されている。原因は不明。原発老朽化問題の中でも喫緊の課題とされ、この日の会合で初めて本格的に議論された。

 九電の担当者は、電子顕微鏡などを使った原子レベルの分析や不純物の組成データなどを示し、「1993年と2009年に取り出した試験片を詳しく調べたが特別な異常はなかった」とした。だが、専門家から「もっと詳しいデータを出してほしい」「本当に適切で公平な判断がされているのか」と追及され、76年と80年の試験片が残っていないことを明かした。担当者は「当時は詳しい分析手法がなく、貴重だという意識がなかった」と話した。

 審議は、九電が提出する追加データを踏まえて次回も続ける。会合後、渡辺英雄・九州大准教授(材料科学)は「電力会社だけでは原因究明は無理。全国の専門家で試験片を研究できるようにしてほしい」と語った。(安田朋起)

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