奈良市議会の議長選で市議に白票の投票を依頼し、現金や米の供与を持ちかけた疑いが強まったとして、山本清・前同市議会議長(74)が賄賂申し込みなどの疑いで逮捕された20日、大阪地検特捜部の徹底した捜査を期待する声と市議会の浄化を望む声が上がった。
白票を投じるよう依頼され、見返りに現金20万円や5年分の米の提供を持ちかけられたやりとりを、スマートフォン(多機能携帯電話)で録音していた天野秀治市議(49)は奈良市役所で会見。「議会から逮捕者が出たのは非常に残念。山本さんは真実を話し、全体の構図をお示しいただき、市議会の浄化のために協力していただきたい」と強調した。
上原雋(しゅん)議長は「地検特捜部が事件の核心部分まで踏み込むことを期待する。市民には迷惑をかけているが、分かりやすい議会制度を確立するのが私の役目だ」と述べた。また、この議長選で「前副議長から食事や議会ポストを見返りに投票依頼された」とする酒井孝江市議(49)は「政翔会との関係もすべて明らかにしてほしい。2度と白票を求められることのないように、地検には徹底した捜査を望みたい」と述べた。前副議長はこの疑惑を否定している。
山本前議長が所属していた会派「政翔会」の控え室にはこの日、浅川仁幹事長は姿を見せなかった。三浦教次市議は「議長選は敗色が濃く、当時はあきらめていた。組織ぐるみではない」と強調した。
一方、仲川げん市長は取材に対し、「市政のしがらみ、利権政治の一つのあらわれ。古い政治をやめてほしいというのが有権者の声だと思う。議会が自浄作用をしっかりと発揮することが最も求められる」と話した。【上野宏人】
毎日新聞 2012年1月21日 地方版