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★ロマンで作る★
クナイ・タクティカルペン
その手作りプロトを仲良しの工業ディザイナーに渡して設計を頼み、それを製作できるファクトリーをトモが探し当てた。実はここから様々な「産みの苦しみ」に悩まされることになる。血圧が上がったりタメ息を毎日20回はつくような日々に直面することになった。
ほぼ完成した今でさえもモンダイを抱えてパーツの作り直しを待っているという状態なのだ。設計変更も幾度もあった。正直に言うと、日本人はモノ作りに関してもっと鋭敏な感性をもっているという先入観がブチ壊される気持ちだった。
ディザイナーいわく、
“たかがペンだと思ってナメてました、申し訳ありませんでした・・・”
彼は誰でもが認める腕利きの設計師だ。忙しいのに時間を割いて図面を描いてくれた。それもイチローGUN団仲良しグループの一員なのでギャラはなくてもいいし、ペンが売れてからでもイイということでやってくれた。たしかにペンの設計など楽チンな仕事だと想ってしまっただろう。しかしワシの目標は「羊の皮をかぶったオオカミ」を作ることなので理想は高かった。
悩みは摺動パーツだった。頭を回すとペン軸が上下するという部分だ。そのメカニズムそのものは新機構ではないのだが、軸を百回も出し入れすると動きがシブくなるという現象があり、そこで足止めを食った。形状の改良、そして材質と表面処理などの再考に迫られた。
文字を書くときに筆圧の高い人がいるものだが、そんなことで動きがシブくなるのも困る。ワシが想定するのは弾丸ほどもある「超筆圧」なのだ。
“ペン軸の上下動は、ロールスロイスのように重厚で滑らかであるべし”
そのムカシ、レクサスの開発に関する記述を読んだワシは、トヨタティームの姿勢から影響を受けていた。レクサスとペンでは格が違う、が、あの精神だけはイタダキたかった。
世の中、こんなバーカがいたっていいだろ? なっ?
しかし、製作する側に理想を押しつけるのもムリはあった。
ワシもトモも工場とのやりとりに関してはシロートで、互いの体温差に悩まされた。
なにしろ我々は「小さな仕事を持ち込んだくせに理想だけが高くヤタラとうるさい面倒でシツコイ奴らで招かれざる客」なのだ。工場側の気持ちはよく解るので申し訳ない気持ちだ。
しかしながら、たかがボールペンでこれほどモメたのは明治維新のあと初めてのことだろう。ということは、徳川時代や室町時代にもなかったろうから、リロン的に言えば、まさに日の本開びゃく以来初めてのことだ。くだらんことだが、これだけは自慢してしまうことにするよ、ウン。
なにしろ、自分が納得できないモノを販売するなんてことはワシには出来ない。それでなくても写真を撮影してクライアントに渡すときは毎回のようにヒヤ汗をかいているというのに・・・。
100%完全なものなんて作り得ない。が、45点では困る。せめて75点をとれたところで量産に踏み切りたい。それでも恥ずかしい。なにしろ、クナイが完成した暁にはウィルコックスやシュアファイヤやナイツやSIGの社長たちにプレゼントしなければならない。こういった世界的に超一流のエンジニアたちにどのツラさげて渡せよう。そしてアメリカ中のSWATや警察官に買ってもらうことになるのだ。日本でも、その道のプロたちが使ってくれるだろう。
護身という意味を真剣に考える若者たちも注目してくれるだろう。そういった可能性を想像すると身が縮むのだ。
ワシがユーザーに提供するのは自分の作品ではなく「日本の製品」なのだ。
日の丸をバックにトヨタやソニーやヤマザキなどの機械に恥じない製品でないと国家的モンダイとして・・・などとまでは想わんけど、ようするに立派な日本のモノを作りたいのだよ。
たぶんにロマンな心で作る。だからシロートなのだ。モーケは犠牲にしてでも良いモノを作りたい。だからアマチャンなのだ。でも、クナイの開発は趣味でありたい。
趣味となれば、人はカッと熱くなって時間と資金を惜しんではいられなくなるものだ。
シロートのアマチャンが趣味として没頭する時、たまにスゴイ物が生まれる。その「ホビーパワー」をワシは発揮してクナイを作りたいのだった。たかがボールペンを作るのに鼻息を荒くするのも恥ずかしいが、実は自分が理想のペンを持ちたいというのが大きな動機でもあった。
さてさて、そこで、
タクティカル ペンとはそもそもナニであるか? 文房具屋で売ってるペンとどこがちゃうねん?
うーむ、いよいよ難しく解きがたい難問に対する答えを返答し、解明するとともに
回答をしめさなければならないところにきてしまったよーだ。
タクティカル ペンを訳すと「戦術的ペン」ということになる。だから、ある部分を押すと先端が弾丸となって最低2kmは飛ぶという能力があり、ダットサイトを搭載すれば100mをピンポイントで撃てるのでゼームスボンドも愛用しているとか、あるいは毒ガスが噴き出して相手を窒息死させることができるのでアルのかというと、そんなこたゼンゼンまったくジェッタイないのよ。実のところ、普通のボールペンなのだナ。まったく普通のペンなのに手作りなのでそのように呼んで売ってるところもあるくらいだ。
ただ、ボールペンを書くためだけの用具としか認識していない人と、それを武器として使うという技術と心構えとをもった人があれば、そのペンの存在意義には大きな隔たりができるだろう。つまりは、そういうことなのだよ。