2011年11月24日 9時58分 更新:11月24日 12時47分
【ワシントン古本陽荘】米大統領選に向けた共和党候補者による外交・安全保障政策討論会が22日、ワシントンで行われた。大統領選では経済の立て直しが最重要課題となる見通しで、これまで外交・安保分野には焦点が当たってこなかったが、候補者8人は討論を通じ、対イラン政策やアフガニスタン戦争などについて意見の相違を鮮明にした。
核兵器開発を進めるイランについて、ギングリッチ元下院議長(68)は「武力使用は最小限に抑えながら、イランの体制を転換する戦略が必要だ」と述べ、体制転覆を目指す方針を表明。イランに原油供給を頼る欧州諸国のエネルギー需要を満たせるよう米国が油田を開拓したうえで、本格的な対イラン経済制裁に踏み切るよう提案した。
また、実業家のケイン氏(65)は、イスラエルが「信頼できる(イラン攻撃)作戦計画を持つ場合」には米軍は攻撃を支援すべきだと明言した。
アフガニスタンからの米軍撤退に関しては、ロムニー前マサチューセッツ州知事(64)が「現場の司令官の意見を聞く。米国が逃げ出す局面ではない」と完全撤退に否定的な見解を示したのに対し、ハンツマン前駐中国大使(51)は「全く同意できない。米国民はうんざりしている」と早期撤退を求めた。
さらに、パキスタン向けの財政支援についてペリー・テキサス州知事(61)が打ち切りを明言すると、バックマン下院議員(55)は「ナイーブ(考えが甘い)」と批判し、援助継続の見返りに、対テロ情報の提供をパキスタンに要求すべきだと指摘した。
共和党の大統領候補者選びは来年1月3日のアイオワ州党員集会から本格化するが、情勢はかなり流動的。CNNテレビが21日に発表した世論調査(18~20日実施)によると、トップは24%のギングリッチ氏で、ロムニー氏(20%)、ケイン氏(17%)、ペリー氏(11%)が追う展開となっている。