聞けばきくほど技術の塊

ここで航空会社やメーカーサイドの声を紹介しましょう。 今回、787初号機を空輸した全日空のパイロット、早川秀昭機長は総飛行時間が1万2千時間を超えるベテラン。これまで747や777を操縦してきた早川機長、787の印象は?

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787初号機を空輸したパイロットの皆さん。中央が早川機長

「非常に操縦しやすい、快適な機体。コンピュータ制御が進化しており、飛行機が賢くなっている印象です。機長は飛行に関するいろいろな要素を頭の中で計算しながら操縦しますが、その頭の中の計算が正しいかどうかを、操縦席のコンピュータですぐに確認できるんですね。

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操縦席の様子。液晶画面が並び、先進的な印象

また、操縦席の窓が大きくなって、翼の端まで見渡せるようになったのは便利。それと、787は揺れにくく、騒音は低くなりました。この快適さは乗れば分かりますから、ぜひ一度787に乗ってみて下さい」

従来よりも航続距離が伸びれば=1回の飛行時間が長くなれば、それだけパイロットが操縦する時間も増えるわけですから、操縦しやすくなることでパイロットの負担が軽減され、飛行の安全向上にもつながるのでしょう。

次に話を聞いたのは、ボーイング ジャパンで広報を担当するロブ・ヘンダーソンさん。787が今までのボーイングの旅客機と一番違う点は、なんですか?

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ロブ・ヘンダーソンさん

「航空需要の変化に適応するために、たくさんの新技術が投入されていること。そして、そのおかげで遠くまで飛べることや、ジャンボ機ではシートの数が多すぎた路線でも飛ばせるようになったことです。

そして、ANAからの要望は『経済性の高い中型機が欲しい』というものでした。機体の整備コストはこれまでより30%改善していますし、軽量化と新開発のエンジンで燃費も良くなりました。もちろん、客室環境も向上しています」

航空需要が常に変わる中、経済的で使い勝手のよい旅客機が求められているということですね。

では、エンジンメーカーの方にもきいてみましょう。英国ロールス・ロイス社の民間航空機部門の広報責任者であるリチャード・ヘッジズさん、新開発のエンジンの環境性能はどのようなものですか?

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リチャード・ヘッジズさん

「大きくはやはり燃費効率で、そしてもう一つは騒音の低減です。航空会社や航空機メーカーからの『もっと静かなエンジンを』という要望は強く、787に搭載されるエンジン『トレント1000』では騒音レベルを従来の半分に下げました。またこのエンジンでは、バイオ燃料を50%まで混合した燃料にもそのまま対応できます」

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エンジン後部のこのギザギザが騒音低減のヒミツだ!

バイオ燃料が本格的に使われはじめると、食料生産に影響が出るのではとの懸念もありますが、一方で藻類からジェット燃料を作る研究も行われているとか。藻が作ったバイオ燃料で空の旅が実現する日が来るかも?

いずれにしても、環境性能と経済性と快適性のいずれも満足するために、787にさまざまな技術や努力が注ぎ込まれていることは、よくわかりました。

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コメント

  1. 筆者も飛行機マニア(?)
    実は私も(男)マニアです。
    ANAではありませんが、JALの「鶴」のロゴいりB747
    大型写真(木製パネル)を所持しております。

  2. コメントをありがとうございます!
    確かに、マニアかもしれません笑
    JALの747は引退してしまったのですよね。
    747は777よりも音は大きいし、揺れるし、どうしても古さを感じますが、
    「これぞ空の旅!」という気分にさせてくれる名機だと思います。

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