静岡県函南町立函南中学校で2010年6月、柔道部員の1年生男子生徒(当時12)が練習中に倒れ、9日後に脳挫傷で死亡した事故で、三島署は11日、柔道部顧問の男性教諭(45)を業務上過失致死容疑で地検沼津支部に書類送検した。容疑を認めているという。
同署によると、男性教諭は10年6月27日、同校柔道場で、受け身の練習など負傷事故に対する未然の防止策を十分にとらず、投げ込み練習中に後頭部を強打した男子生徒を死亡させた疑いがある。
男子生徒は同年5月8日に地域の柔道団体の練習をした際に頭を強打し、軽い急性硬膜下出血と診断された。1週間ほど入院した後、医師から激しい練習を避けることを条件に練習再開が許可されていた。
函南町教育委員会の矢田長春教育長は「施設の安全確保、教職員の意識の徹底など、一層の努力を続ける」との談話を出した。
全国の中学校では来年度から柔道などの武道が必修化される。練習中の事故が相次ぐなか、静岡県教育委員会には保護者らから指導に対する不安の声が寄せられている。
名古屋大学大学院の内田良准教授(教育社会学)によると、全国の中学、高校での柔道による死亡事故は1983〜2010年度で114件発生。その死因の大半が急性硬膜下血腫など頭部外傷によるものだという。内田准教授は「教える側は、実技だけでなく頭部外傷など医療知識を備える必要がある」と指摘する。
県教委では、10年度から県内の公立中学校173校(静岡市、浜松市を除く)の保健体育教師らを対象にした研修を実施。県柔道協会などから講師を招き、実技や安全面への配慮を指導した。学校教育課の担当者は「医学的な知識を持ったうえで、受け身の練習など初心者に合わせた指導を徹底したい」と話す。