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“脱東電”電力購入先を入札で

1月23日 17時41分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

原発事故をきっかけとした電力不足を受けて、東京・世田谷区はことし4月以降に公共施設で使用する電力について、電力自由化に伴って参入が進む事業者も含めて入札で決めることになりました。

世田谷区の電力の購入先は、現在、東京電力1社ですが、原発事故をきっかけとした電力不足を受けて電力供給源の多様化を図ることになりました。規模が大きな施設のうち、区役所の庁舎や区民センター、それに小中学校などの111の施設について電力の自由化に伴って参入が進んでいるPPS=「特定規模電気事業者」も含めて入札で決めます。入札は来月下旬に行って、ことし4月1日から来年3月末の1年間、落札した事業者から電力を購入することにしています。対象の施設の電気料金は、年間で合わせて6億7000万円かかっていますが、競争入札を導入することでおよそ3%に当たる2000万円を削減できると見込んでいます。また、東京電力が明らかにしていることし4月以降の企業など向けの電気料金の値上げが始まると、削減効果は最大で1億6400万円に上るとみています。世田谷区によりますと、これだけの規模で電力供給源を多様化させるのは東京23区では初めてだということです。世田谷区の保坂展人区長は「電力の供給を1社が独占する今のままの体制で本当にいいのか考えるきっかけとしていきたい」と話していました。

電力の自由化は、各地域の電力会社が独占していた電気事業への参入を緩和したもので、市場原理が働き、電気代の削減や効率的な資源の活用につなげようと平成12年から始まりました。PPS=特定規模電気事業者と呼ばれる民間の事業者が、自前の発電設備で作った電気などを電力会社の送電線を借りて販売することができるようになりました。現在では、50キロワット以上の電気を使うビルや学校、店舗などが電力会社や民間の電気事業者から電気を買う相手先を自由に選ぶことができるようになっています。

PPSは送電線の使用やトラブルなどに備えてバックアップを頼むための料金を電力会社に支払っており、設備にトラブルなどがあっても、停電になることはありません。PPSについては、都内だけでも立川市が去年4月から本格的に導入して17%前後の経費を削減させ、これまでに100を超える自治体の視察があったほか、小平市や多摩市がことし3月1日からの導入を決めるなど、「脱東京電力」の動きは広がりを見せています。