2012年

 

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☆ 私大受験に大異変!早大の志願者数が増加か…センター試験余波(12年1月23日配信『夕刊フジ』)   .

 

 2012年の大学入試センター試験が終了し、自己採点を終えた受験生の願書提出がピークを迎えている。トラブル続きで大荒れだったが、平均点は上昇したとみられ、受験界では「難関大への出願者数が増える」と予測する。なかでも予備校関係者が注目するのが、私立大志願者の変化だ。多くの私大が独自の試験のほかにセンター試験を併用するためで、「私大志願者数ランキング」で2年連続首位だった明治大が早稲田に逆転される可能性もあるという。

 大手予備校の代々木ゼミナールと河合塾によると、12年のセンター試験は、国語や理科などの得点率が軒並み上がり、7科目総合(900点満点)の予想平均点がアップ。代ゼミは18日時点で文系570点(11年比+8点)、理系586点(+8点)、河合塾は17日時点で文系570点(+8点)、理系584点(+16点)となり、前年に比べてそれぞれ11・2点、13・3点ほど上昇した。

 教育関連情報の大手出版社「大学通信」の安田賢治・常務取締役は「平均点が上昇した年は、受験生の志望校選びが強気になる傾向がある。そうしたことから、国公立大の併願先となる私立大への影響も大きくなり、偏差値上位校、特に早稲田が志願者を集めそうだ」と話す。

 早稲田は12年の入試で、理系3学部と教育学部を除いた全学部でセンター試験枠を設定した。

 「昨年までセンター試験を併用していた慶応の法学部が、今年から取りやめたため、この志望層が、偏差値で同ランクの早稲田の政経学部などに流れることが考えられる」(安田氏)

 早稲田の人気上昇は、例年デッドヒートが繰り広げられる志願者数ランクにも関係してくる。2年連続で明治が首位で早稲田は2位。11年の募集人員は明治が4542人で倍率24・9%なのに対し、早稲田は5630人募集で倍率20・2%だが、難関大志向の高まりで今年は早稲田の志願者数が明治を上回る可能性が高いのだ。

 また、センター試験枠の出願締め切り日がセンター試験後の2月20日と他の私大に比べて遅いことや、センター試験枠の出願を締め切った明治が「昨年並みの出願者数だった」(同)ことも、早稲田の志願者数が増えそうな要因だ。

 ただ、一般入試の願書締め切り日は、早稲田が1月下旬で、明治は2月上旬。安田氏は「箱根駅伝のように、最後に紫紺(明大のスクールカラー)が、エンジ(早稲田のスクールカラー)を抜くことも考えられる」とも指摘する。

 受験界の早明戦以外ではMARCH(マーチ=明治、青山学院、立教、中央、法政)の一角、青山学院大に注目が集まる。

 「今年の受験生から、2年間の(神奈川県)相模原キャンパス通いが1年間となり、3年間を東京・渋谷の青山キャンパスで送れるようになる。志願者が上昇するのは確実だ」(安田氏)

 このほか、志望校を絞り込む正月に箱根駅伝で総合優勝した東洋大も勢いがいい。

 「日東駒専(日本、東洋、駒澤、専修)の中で東洋の潜在人気はダントツ。往路でゴールテープを切った主将の柏原竜二選手(4年)に感動した受験生は多く、テレビでの宣伝効果は大きい。駅伝強豪校の駒澤も、一昨年まで志願者の減少傾向が続いた反動が今年も続き、志願者増が期待できそうだ」(同)

 関西の動向はどうだろうか。

 「昨年は、私学トップの関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)がそろって志願者数を下げたが、偏差値で1ランク下の産近甲龍(京都産業、近畿、甲南、龍谷)のうち、近畿と龍谷が増やした。安定志向と併願校を絞る傾向は変わりそうにない。志願者の中間集計をみる限り、偏差値上位校の同志社が昨年並みを維持するのがやっとのようだ」(同)

 ただ、少子高齢化などで全体的に競争率が下がりそうなため、安田氏は「私大専願で上位校をねらう受験生はチャンスかもしれない」と語る。

 大学経営をも左右する私大の仁義なき「志願者集め」。雌雄は3月中旬に決する。

 

 

志願者数で毎年デッドヒートを展開する早稲田(左)と明治(右)

 

 【私大の大学入試センター試験利用入試】私大では大学独自の一般入学試験のほか、大学入試センター試験を併用するところが多い。2012年では、513大学1461学部の私大が利用した(私大全体の約86%)。合否は、学部や学科が指定した科目などをセンター試験で受験し、その成績で決まる。ほとんどの私大で一般入試との併願を認めているが、センター試験枠を限定するところが多く、一般入試より難易度が上がる傾向もある。

 

 

☆ 秋入学(12年1月23日配信『産経新聞』−「産経抄」)

 

去年の今頃、センター試験に夏目漱石の『三四郎』から出題されたら、「受験生は面食らうだろう」と書いた。三四郎が東大入学のために上京するのは、暑い盛りだ。その後、政府の会計年度に合わせて4月入学になっていく。

 ▼当時のように9月入学に戻せば、受験生が大雪やインフルエンザに悩む必要がなくなるのに機運は高まらない、とぼやいたものだ。ところがその東大が、「秋入学」への全面移行を打ち出すと、にわかに雲行きが変わってきた。

 ▼世界の大学の大勢である秋入学に合わせないと、優秀な教員や留学生の獲得が、ますます困難になるというのが主たる理由だ。ただし、入試の時期は現行通り。学生には秋入学までの半年間、ボランティア活動などを行って、受験競争で染みついた価値観の転換に努めてほしいという。

 ▼小紙が実施したアンケートの結果によれば、大学間の国際競争に同じく直面している12の国立大学の学長が、秋入学に賛成している。一方、8割の大学が賛否を留保した。特に教員養成大学や医科大学などにとって、国家試験や学校の採用時期とのずれは深刻な問題だ。

 ▼日本の伝統を守る立場からも、反対の声が上がる。京都産業大学の若井勲夫教授によれば、江戸時代の寺子屋の入学は、現在とほぼ同じ時期だった。新しく万物が開ける春に入学するのは、日本人の自然観にぴったりだという。

 ▼芭蕉七部集の「阿羅野(あらの)」に〈兄弟の いろはあげけり 花のとき〉という句がある。幼い兄弟が入学してまもなくの桜の頃、読み書きの初級を終えたというのだ。「いろは」が「あいうえお」に取って代わられて久しい。「花のとき」をめぐる論争は、激しさを増しそうだ。

 

☆ 原発推進:11大学に104億円 国と企業が提供(12年1月22日配信『毎日新聞』)

 

 東京大や京都大など11国立大学の原子力関連研究に対し、06〜10年度、国や原子力関連企業などから少なくとも104億8764万円の資金が提供されたことが、毎日新聞の集計で分かった。規模の大きな大学は毎年、数億円規模で受け取っている。「原子力推進」に沿う限り、研究資金を安定的に得られる仕組みで、大学が国策に組み込まれている構図が鮮明になった。

 各大学への情報公開請求で得た資料を分析した。原子力関連の研究室や研究者が、受託研究▽共同研究▽奨学寄付金▽寄付講座−−の形で、国、日本原子力研究開発機構などの政府系団体、電力会社や原子力関連企業から受け取った金額を集計した。未公開部分もあるため、実際にはもっと多いとみられる。

 ほとんどは受託研究が占め93億円。特に国からの委託は高額で、文部科学省が福井大に委託した「『もんじゅ』における高速増殖炉の実用化のための中核的研究開発」(5億1463万円、10年度)など億単位も目立つ。

 共同研究は総額4億1083万円。企業側が数十万〜数百万円を負担することが多い。

 奨学寄付金は総額2億1822万円で、研究者が自由に使えるケースも多い。

 個人別で最多だったのは、福島第1原発事故直後、当時の菅直人首相から内閣官房参与に任命された有冨正憲・東京工業大教授で1885万円。有冨氏は「持病があり、学会などで海外渡航する際にエコノミークラスが使えず、旅費がかさむ。その点を配慮してくれているからでは」と話す。

 企業からの寄付が研究結果をゆがめる恐れについては、「気をつけている。私は安全評価より開発研究が中心で、問題は生じないと思う」と話した。

 一方、原発の危険性に警鐘を鳴らし続けてきた京都大の小出裕章、今中哲二の両助教には、「原子力マネー」の提供はなかった。

 付講座は4大学が電力会社などの寄付で開設し、総額4億9100万円だった。

  大学別では、京都大33億640万円、東京大25億5895万円、東京工業大16億7481万円の順だった。

 

 東大の秋入学 大学活性化の契機に(12年1月21日配信『東京新聞』−「社説」)

 

春から秋に入学季節を移そうと東京大学が動きだした。仕組みを世界標準に合わせて内外の風通しを良くし、有能な人材の輩出につなげる狙いだ。日本の大学教育を活性化させる契機としたい。

 将来の入学時期を話し合う東大の懇談会が秋入学の中間報告をまとめた。すると京都大や大阪大、金沢大といった有名大学も相次いで検討入りを表明した。やはり魅力的なのだろう。

 秋入学は世界の主流だ。そのちぐはぐさが日本の大学教育の“ガラパゴス化”を招き、海外との競争が進まない要因とみる向きは多い。

 東大の学部と大学院では外国人留学生の割合は一割ほどだが、世界的には二割や三割に上る大学もある。逆に海外留学の意欲はあるのに、帰国後の留年を恐れて尻込みする学生が目立つという。

 グローバル時代の大学間競争に太刀打ちするには、国境を越えて優秀な頭脳を集め、日本の学生を送り出したり、知的交流を深めたりする環境づくりが急務だ。秋入学はその第一歩となる。

 この論議はバブル崩壊後の経済の低迷や、ゆとり教育による子どもの学力低下を背景に高まってきた。秋入学を設ける大学も増えてはいる。だが主に留学生らの受け入れが目的で、春入学との併存にとどまるのが実情のようだ。

 秋入学への全面移行には課題が多い。東大の提言では入学までの半年間をボランティアや就業体験などの活動に充て、大学で学ぶ目的意識を培う期間とするという。

 英国では入学前の学生が一年ほど社会体験をする「ギャップイヤー」の慣習がある。そのための民間支援の仕組みが充実しているといい、日本でも見習う必要が出てくるだろう。

 さらに、秋の卒業となると、春の一括採用が定着している経済界や官公庁の対応は重要になる。年間を通じての弾力的な採用が欠かせない。意識改革を含めて採用方式の見直しが迫られるはずだ。

 小中高校との接続の問題にもかかわり、教育界全体を巻き込んだテーマとなる。入学前と卒業後を合わせて大学生活が実質五年に延びれば、学生の負担の増加も予想される。

 こうしたさまざまなハードルをどうやって越えるのか。まずは東大と秋入学に前向きな他大学が連携し、幅広い論議を呼び起こすことが大切だ。日本を覆う閉塞(へいそく)感を打ち破る起爆剤としての役割も期待したい。

 

☆ 社会全体で考えたい秋入学(12年1月21日配信『日経新聞』−「社説」)

 

 東京大学が入学時期を秋に移す案を打ち出した。過去にもたびたび検討されながら実現しなかった秋入学に、トップ大学が自ら踏み出す意味は大きい。

 企業や官庁の採用、高校以下の学校にも影響を与える改革だ。グローバル化に対応した野心的な計画として具体化を注目していきたい。同時に、社会全体での議論につなげていく必要がある。

 大学の入学時期はもともとは秋だったが、大正期に、小学校などに合わせて春に統一された。海外では新学期は秋が主流で、春入学では留学生の受け入れ・送り出しなどの面で不都合が多い。

 臨時教育審議会が秋への移行を提言したこともあったが、掛け声倒れに終わった。一部に秋入学の枠を設ける大学も出てきたものの、広がりを欠いたままだ。

 東大の構想の背景には、こうした現状への危機感がある。入試は春に実施するが、学部の新学期を秋に移行し、入学までの間は「ギャップターム」として海外体験やボランティア活動にあててもらう。5年後の実現をめざすという。

 すでに他の国立大などで追随の動きが出ており、今後はどれだけ多くの大学が足並みをそろえられるかが焦点だ。

 入学予定者の半年間の「受け皿」整備や、卒業も秋になる場合の企業・官庁の対応がカギになろう。新卒一括採用はかねて弊害が指摘されている。今回の大学側の動きを、既卒者も含めた通年採用拡大の契機にしてもらいたい。

 大学側は、秋入学と併せて抜本的な入試改革にも取り組むべきである。東大はギャップタームについて「受験競争で染みついた偏差値重視の価値観をリセット」してもらう期間としているが、そうした価値観を植えつける入試体系そのものの打破を期待したい。

 入学時期の問題は本来、大学だけのテーマではない。学校暦をすべて秋スタートに変えたほうが合理的だという声もある。これを機に、長期的な視点に立って大転換を探る意義があろう。

 

☆ 東大の「秋入学」 果敢な提案を評価したい(12年1月21日配信『産経新聞』−「主張」)

 

 色づき始めるイチョウ並木の下で、入学式の行われる日が来るのかもしれない。

 東京大学の懇談会がまとめた中間報告は4月の一斉入学を廃止し、秋入学に全面移行するとした。大学の競争力を強化し、学生に多様な経験を積ませるための挑戦だ。戦後の新制大学発足以来、例のない果敢な問題提起を基本的に評価したい。

 というのも、大学の秋入学は世界の国々の約6割が採用しているからだ。有力大学が優秀な学生や教員の獲得を競っている中で、春入学が一般的な日本の大学は不利を強いられてきた。

 秋入学は中曽根康弘内閣時代の臨時教育審議会(臨教審)以来、再三検討されてきたが、学校制度や企業採用の慣習もあり進まなかった。しかし経団連は昨年6月、優秀な人材の確保や国際化への対応からも、秋入学などへの改革を求める提言をまとめていた。

 入試自体は現行通り春に行う。秋入学までの半年間、受験競争で染みついた価値観を払拭してもらい、目的意識を明確にして大学生活に臨む。就学期間中も留学や体験活動などを取り入れ、卒業までに4年半〜5年かける。

 東大では今後、学内での合意形成や産業界などへの説明、告知期間を経て、早ければ5年後の導入を目指すという。

思い切った提言だが、実現までに解決しなければならない課題も少なくない。

 まず産業界には、学生の採用のあり方など抜本的な見直しが迫られる。学校や官公庁、企業の活動はどこも年度を単位に行われてきた。さっそく他大学から足並みをそろえる動きも出てきたが、採用形態の多様化やインターンシップへの協力拡大などは早急に実現しなければならない。

 国民のコンセンサスづくりも欠かせない。在学期間がこれまでより長くなれば、親の立場からは経済的負担が一段と増す。また、「入学や卒業はサクラの咲くころ」といった長く続いてきた文化観が、違和感なく受け入れられるかといった問題もある。

 秋入学が実現しても、高校卒業から入学までを漫然と過ごしてしまわないだろうか。有意義な半年間にするためボランティア活動を義務づけるなど、工夫が必要だ。東大の問題提起を機に、社会全体で議論を深めたい。

 

☆ 東大秋入学案 社会的な環境整備の議論を(12年1月21日配信『読売新聞』−「社説」)

 

 東京大学が、学部の春入学を廃止し、海外で主流となっている秋入学へ全面移行する構想を公表した。

 浜田純一学長は記者会見で、「5年後の移行を目指す」と述べた上で、「他の大学や企業との協議体を作り、条件整備の検討を始めたい」と実現に向けた意欲を語った。

 産官学が連携して秋入学の問題点を洗い出し、議論を深めていくことが大切である。

 学内懇談会のまとめた構想によると、入学時期を国際標準と一致させることで、日本人学生の海外留学と外国人留学生の受け入れを促進する狙いがある。

 入学までに生じる半年間の「ギャップターム」には、ボランティアや海外ホームステイなど多様な経験を積んでもらうという。

 東大を秋入学の検討に駆り立てたのは、国際的な大学間競争で後れをとるわけにはいかないという強い危機感だ。

 欧米を中心に主要大学は、高い研究水準を維持するために、優秀な研究者や学生の獲得にしのぎを削っている。

 ところが、東大の留学生の受け入れ比率は学部段階で1・9%にすぎず、ライバル大学に大きく立ち遅れている。外国人教員の割合も6・8%にとどまっている。

 経済のグローバル化が進む中、語学力や交渉力を身に着け、国際舞台で活躍できる人材の育成は、産業界からの要請でもあった。

 読売新聞が全国の国立大学を対象に調査したところ、30を超える大学が、秋入学の検討を開始するとしている。今後、こうした動きが広がる可能性もある。

 だが、実現までには解決すべき課題も多い。

 ギャップタームを有意義なものにするには、ボランティアの受け皿作りなど社会的な環境整備が欠かせない。

 大学入学後の勉学にも生かせる具体的な活動メニューを、大学側が試験合格者に提示していく必要もあるだろう。

 ギャップターム中、合格者が事故に遭った際の対応や学割の適用といった問題もある。立場が不安定なままで不利益を被ることがないよう、配慮してもらいたい。

 また、国家試験の日程、企業の春季一括採用が変わらなければ、夏の卒業から翌春の就職までの期間にも空白が生じ、学生側の経済負担が増してしまう。

 産業界にも通年採用の導入を進めるなど、大卒採用時期の柔軟化が求められる。

 

☆ 大学秋入学 教育改革のステップに(12年1月21日配信『毎日新聞』−「社説」)

 

 東京大学が秋入学全面実施に向け、本格的に動き始めた。他大学にも連携や同調の動きがあり、「グローバル人材」を求める経済界も巻き込んで論議は加速しそうだ。実施まで5年前後をめどとするが、入試など教育改革課題とも有機的に連動させることが肝心だ。

  秋入学は、世界の主流に合わせて留学生や教員らの国際的な出入りを活発化させ、国際的な教育・研究レベルと評価を高めるのが狙いだ。例えば、東大でも学部段階で留学生が2%に満たないような状態は、世界の主だった大学に大きく引き離されている。こうしたことは国際評価を低くし、昨年のある調査では、東大のランクは30位だった。

 しかし、秋入学はあくまできっかけ。魔法のつえのように交流を活発化させ、問題を解決するわけではない。従来妨げとなりがちだった言葉の壁を取り除くコミュニケーション能力の育成、世界にスタンダードとして通用するカリキュラムなど、付随する課題は山積しており、それに本腰を入れてこそ意義がある。

 入試の時期には今回触らず、現行の春のままとした。このため、日本人の合格者には半年程度の空白期、いわゆる「ギャップターム」が生じる。これをどう活用できるかが、秋入学制の大きなポイントになる。

  東大は、この間に海外体験やボランティア活動など、それまで経験のないことを通じて勉強の目的や将来の目標を考える自由な準備期間と想定している。アルバイトであらかじめ学費を稼ぐもよし、興味ある講義を聴きに来るのもよし、とさまざまなかたちがあり得るという。

  日本の大学教育で全面的なギャップターム導入は未知のことであり、東大は他大学とも話し合いをしているという。ここは知恵の絞りどころだ。単に受験勉強のアカを落とすような発想では、意味のない、無駄な「空白」となりかねない。

  国家試験や就職採用時期の問題もある。東大は、企業には一括採用方式ではなく、通年採用のように柔軟な仕組みに変えるよう求める。それも単に仕組みの変更ではなく、人材選抜や養成など、雇用のあり方を考え、変える契機に結びつけたい。

  秋入学は1980年代の臨時教育審議会などで、過去繰り返し検討課題に挙げられてきた。今回現実味を帯びてきたのは、日本が先行き不透明な厳しい状況にあることと無縁ではない。国際的人材育成の要望はいつになく強い。

  東大は秋入学を単独ではなく、他大学と連携して実施したいという。だが大学だけで自己完結する話ではない。社会も密接な連携をしないと、真の改革には結びつかないだろう。

 

☆ 秋入学、36国立大が検討…本紙全国調査(12年1月21日配信『読売新聞』)

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 秋入学への移行を学部で検討するかどうか、読売新聞が全国の国立大学に緊急アンケートを実施したところ、回答した73校のうち、49%の36校が検討しているか今後検討すると回答した。

 東京大が呼び掛けた協議会に参加する大学は、すべて検討するとしている。

 一方、秋入学を検討する予定はないとしたのは30校(41%)。7校(10%)は未定と回答した。

 東北大、名古屋大などは一部の学部で、留学生や帰国生向けに秋入学をすでに導入していると回答した。

 秋入学に慎重な大学は、地方の大学や教育大、医科大に多かった。理由は、「日本の社会の仕組みにマッチしていない」「教員養成課程は幼稚園から高校までの入学時期に合わせる必要がある」などが挙げられた。

 

☆ クローズアップ2012:東大、秋入学移行へ 国際競争に危機感 留学促進狙い(12年1月19日配信『毎日新聞』)

 

 ◇「入学までの過ごし方」課題

  入学時期の見直しを検討してきた東京大の懇談会(座長、清水孝雄理事・副学長)が、学部の春入学を廃止し、秋入学への全面移行を求める提言をまとめた。背景には、国際的な大学間競争に対する強い危機感があり、他大学への波及も必至の状況。入試は現行の春を維持するとしており、東大がめどとする5年後に秋入学が実現した場合、入学までの半年間の過ごし方が課題になるほか企業の採用活動や高校教育にも大きな影響を与えそうだ。【木村健二、川口雅浩】

  「厳しい国際競争の中で、本学における検討そして行動には『待ったなし』のスピード感が求められている」

  提言は、日本を代表する大学として国際競争に遅れまいとする強い姿勢を打ち出した。

  英国の高等教育専門誌が昨年10月に発表した世界大学ランキングでは、米ハーバード大や英オックスフォード大など欧米の大学が上位を占め、東大は30位。ランクアップには、留学生や外国人教員の比率上昇などが不可欠とみられている。

  海外留学中の東大生は昨年5月現在、学部で53人(0・4%)、大学院で286人(2・1%)しかいない。提言は海外留学が進まない理由として、「入学時期や学期のずれが一つの要因」と指摘。入試時期を春に据え置いたまま、国際的に主流の秋入学への全面移行を提言した。

  ●海外体験求め

  高校卒業と大学入学の間に生じる期間「ギャップターム」については、海外での体験やボランティア活動に取り組むよう求めた。

  もともと日本の大学は9月入学だったが、1921年に会計年度に合わせて4月入学に変えた経緯がある。国際化の進展で秋入学が脚光を浴び、07年にも政府の教育再生会議が9月入学の大幅な促進を提言。文部科学省によると、09年度に学部段階で245大学が4月以外の入学を認め、2226人が入学している。だが、帰国生徒や留学生の受け入れが中心で、秋入学を全面実施する大学はない。

  民間の教育シンクタンク「ライセンスアカデミー進路情報研究センター」が昨夏、263大学から回答を得た意識調査によると、秋入学導入時の対応について、「4月入学と併存」が26・6%、「4月入学廃止」が16・4%で肯定派が43%を占めた。しかし「秋入学不要」も39・5%に上り、同センターは「各校とも東大の模様眺め」と分析する。

  ●有名大は意識

  それでも、他の有名大は東大の動きを意識している。九州大の有川節夫学長は18日、秋入学の検討委員会を来月にも発足させる方針を表明。京都大は「入学の時期、入学試験のあり方も含めて今後検討する予定」とコメントし、早稲田大も「秋入学のあり方については今後議論を進めていく」とした。慶応義塾の清家篤塾長は「秋入学については、大学界全体で、どのような形で進めていくのがよいのか検討を進めるべきだ」と話す。

  04年の開学当初から9月入学を取り入れた国際教養大(秋田市)の中嶋嶺雄学長は「東大の社会に対する影響は他の大学と比較にならないほど大きい」と評価したうえで「グローバルスタンダードのカリキュラムや留学制度などが整わなければならない」と内容面の課題も指摘した。

  ◇グローバル企業、歓迎多く/高校関係者、混乱懸念の声

  中間報告は、新卒者を春に一括採用する企業や国などに柔軟な対応を求めた。

  大企業の多くは「現時点では採用活動に大きな影響があるとは考えていない。他大学や産業界の動きを見極める必要がある」(三菱商事)などと、当面は大学側の動向を見守る考えを示す。最大の関心事は、旧帝大や早慶などの有名私大が追随するかどうか。「秋入学、秋卒業の大学が増えれば、春と秋の2回採用実施など採用活動を大幅に見直さざるをえない」(大手企業)との見方が支配的だ。

  グローバルに事業を展開する大企業の間では、秋入学を歓迎する声が多い。経団連によると、ソニーや日立製作所など大手企業の26・5%は「通年採用」を実施し、外国人や留学生などを夏や秋に採用している。「海外赴任を前提とした日本人や、国籍を問わず優秀な人材を採用する企業が増えている」(経団連)。ソニーは「現状でも上智大など9月入学の学生を採用するなど、時期にこだわらず柔軟に対応している」という。

  しかし、春採用の一般企業には戸惑いも広がる。東大のみ先行した場合、「時期がずれる東大生だけ青田買いされるのではないか。現状でも就職活動が大学3年から始まるなど早期化しているのに、どんな影響が出るか想像もつかない」(中小企業関係者)と、混乱を懸念する声もある。

  高校の関係者からも懸念の声が上がる。全国高等学校長協会の小栗洋事務局長は「東大か、東大を中心とした何校かが導入するだけでは、混乱するのでは。東大志望者はそれほど多くないので、生徒の気持ちの分断は避けたい」と生徒によって春入学と秋入学に分かれる事態を懸念する。

  高校卒業と大学入学の間の「ギャップターム」については、受け皿作りが課題だ。留学やボランティア活動が想定されるが、「日本学生ボランティアセンター」の西尾雄志・センター長は「東大が導入すれば、学生向けのボランティアプログラムを新たに組む動きへ確実につながっていくだろう」と期待する。

 

☆ Tシャツ・バッグで復興支援 山形・芸工大生らデザイン(12年1月19日配信『朝日新聞』)

 

 サッカー日本代表の松井大輔選手が東日本大震災の復興支援のため企画し、東北芸術工科大(山形市)の学生らがデザインしたTシャツとエコバッグの販売が始まった。収益は松井選手らが被災地で催すスポーツイベントなどに使われる。

 京都市出身の松井選手が京都造形芸術大(同市)の知人を通じて姉妹校の芸工大に提案した。両大がコンペ形式で学生からTシャツとエコバッグのデザインを募集。松井選手が応募作30点を審査し、昨年末に採用する10点が決まった。

 芸工大からは4人のデザインが採用された。福島県南相馬市出身で家族が山形市に避難しているという門馬太一郎さん(3年)の作品は12のことわざを配置した。「サッカーで『選手もサポーターもみんなで』という意味の数字12に絡め、未来に進む励みになることわざを集めた」という。

 販売するサイトのアドレスは(https://oppnastyle.com/)。デザインに込めた学生の思いも掲載している。各デザイン200セットで、売り切れ次第終了する。

 

販売されているTシャツとエコバッグと、デザインした学生たち=山形市の東北芸術工科大

 

 セグウェイでキャンパス移動(12年1月19日配信『朝日新聞』) 

 

 名古屋大で19日から、立ち乗り型電動二輪車「セグウェイ」をキャンパス内の移動に利用する実験が始まる。昨年末に利用者を募り、大学院生や教職員など約50人が参加し、3カ所に配置したセグウェイで、文書の配達や買い物などに使う。実験は2月末まで。

 実験は、次世代型電動自動車の導入可能性を研究している同大大学院環境学研究科の森川高行教授の研究室が、経済産業省所管の団体から委託研究を受けた。

 ネットで予約し、専用のスマートフォンと鍵を借りて走る。走行経路や速度などはスマートフォンで管理し、利用情報を蓄積して安全性や利用目的などの研究に役立てる。

 

名古屋大で利用実験キャンパス内をセグウェイで走る森川高行教授(中央)ら=名古屋市千種区の名古屋大

 

 就職内定率 若者にもっと機会を(12年1月18日配信『毎日新聞』−「社説」)

 

 今春卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日現在)は71.9%で前年より少し上回った。とはいえ、過去2番目に低い水準だ。「超高齢社会」に備えて政府は税と社会保障の一体改革を進めようとしているが、若年世代の雇用が縮小してはどんな社会保障制度を作っても足元から崩れていくだろう。政府だけでなく、労使を交えた真剣な取り組みが必要だ。

  内定率とは卒業予定者で就職を希望している学生を分母にした数字だ。今春の大学卒業予定者は約55万人。ところが、このうち就職を希望せず就職活動をしていない学生が13万人以上もいる。昨年の最終的な内定率は91%だったが、すべての卒業生を分母にした就職率は60%に過ぎないのだ。大学を卒業しても就職せず、大学院や海外留学の道を選んだり、定職に就かず親の収入で生活したりする人は90年代中ごろから急激に増えてきた。内定率に一喜一憂するよりも底流の動きを見据えなければならないだろう。

  グローバル競争の中で企業が人件費を抑えるため新規採用を控え、非正規労働者を増やしてきたことが原因と言われているが、それだけではない。サービス業も少子・超高齢化時代のニーズの発掘が十分にできていないのではないか。ここ数年を見ると一貫して雇用が増えているのは「医療・福祉」くらいで、デフレや内需不振を反映した雇用難の深刻さを物語っている。

  経団連は今春闘をめぐって「定期昇給の延期・凍結も含め厳しい交渉を行わざるを得ない」との見解を示している。内需を活性化するには労働者の消費を高めなければならず、そのために賃金の上昇は不可欠と労働側は反発する。いずれにせよ労働市場へこれから参入しようという若者のことは労使交渉の議題になりにくい。労使には目先の利益よりも、若年層の雇用確保に向けて自らの身を削る覚悟で取り組むことも必要だ。社会の持続可能性に影が差したのでは、企業の活動も労働者の生活も脅かされるというものだ。

  安定志向が最近の学生の特徴と言われるが、新入社員が会社を選ぶ理由として会社のブランドや将来性よりも、「自分の能力が生かせるから」「仕事が面白いから」を重視する人が増えているという調査結果もある。既存の価値にとらわれず果敢に挑戦する若い志を応援したい。失敗しても再挑戦できる柔軟な雇用制度や慣行、生活の安心を保障する年金や医療制度を国を挙げて作っていこう。初めから確固たる目的を持ち、即戦力となるような若者がどれだけいるだろう。現実の仕事で失敗しながら誰もが成長していくのだ。

 

 センター入試:難病受験生、別室に放置 佐賀大会場(12年1月17日配信『毎日新聞』)

 

 佐賀大(佐賀市)で大学入試センター試験を受験した難病の女子高校生(18)が職員の案内ミスによって放置された問題で、1時間以上遅れて問題が配布されるまでの間、この生徒に職員が何度も「なぜこの教室にいるのか」などと質問していたことが関係者への取材で分かった。同大によると、職員は、生徒が会場を間違えたと思い込み、別の教室では第1科目で「地理歴史」「公民」の問題の誤配布などが相次ぎ、対応の遅れにつながったという。

  同大や生徒側の関係者によると、生徒は14日の第1科目の試験開始後約10分たっても問題配布がなく、教室の外にいた職員に訴えた。大学側が大学入試センターと協議しながら試験スケジュールの組み直しなどをする間、職員は生徒が本来の教室にいないため「なぜここにいるのか」などと尋ね、生徒はその都度説明した。このようなやりとりはこの日10回近く続いたという。

  別の教室では問題の誤配布などで試験開始が遅れ、少なくとも約150人に影響が出たという。

  同大入試課は今回の問題について「誤配布などのトラブルに追われ、注意が行き届かなかった」と説明した。

  瀬口昌洋副学長らは既に生徒側に謝罪しており、18日には佛淵(ほとけぶち)孝夫学長直属の調査チームを発足。今月末までに原因究明や再発防止策をまとめる。

 

 福島の大学、推薦志願者減少…原発影響で敬遠か(12年1月14日配信『読売新聞』)

 

 福島県の大学で、推薦入試の志願者数が減っている。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で敬遠されたとみられる。大学関係者は、14日に始まる大学入試センター試験を踏まえた一般入試でも志願者が伸び悩むのではと懸念している。

  福島大(福島市)は、4学類と夜間コースの推薦入試を昨年11月下旬までに終えた。経済経営学類の志願者が前年度より37人減の58人で、募集人員(60人)を割り込むなど、全体の募集人員140人に対し、志願者は前年度の84%程度の226人にとどまった。

  私立でも落ち込み、郡山女子大(郡山市)では、家政学部食物栄養学科の志願者が前年度の半数以下の33人と募集人員(40人)を下回るなどした。

  福島大、郡山女子大ともに、東日本大震災の被災者の入学料や授業料を全額免除あるいは減免し、県内や近隣の学生に配慮した。それでも、推薦入試を見る限りは志願者増につながらず、「原発の状況が改善していない現状では、受験生を集めるのは難しい」(郡山女子大)と、原発事故の影響に頭を抱える。

  県外からの学生が多い会津大(会津若松市)は、首都圏の高校訪問や受験相談会開催に力を入れた。しかし、やはり推薦入試の志願者は減少し、県内の大学関係者は一様に、「今後の一般入試でも集まらないのでは」と懸念する。

 

☆ “家計に優しい”大学ベスト20!学費タダや魅力的な奨学金アリ(12年1月14日配信『夕刊フジ』)

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 大学入試センター試験が14日、いよいよスタートした。受験生は2日間にわたる試験を経て、志望校の本格的な絞り込みに入るが、長引く不況でどこの家庭でも教育費の負担は重い。そうした背景から、大学側も学費を無料にしたり、支給条件に幅を持たせるなど奨学金制度を充実させている。魅力的な制度を整える大学はどこなのか。専門家が選ぶ家計にやさしい“マル得”20校−。

 入学試験の上位者や優秀な学業成績を修めた学生が得られる奨学金。だが、最近では長期化する不況などを背景に、大学側の支援策も家計支援にシフトしつつある。

 「真実の大学案内」(東京図書出版会)などの著書で知られる大学分析のカリスマ、山内太地氏(33)に奨学金制度をテーマに上位20校を厳選してもらった。

 なかでも目を引くのは最高学府の頂点、東大だ。1世帯当たりの給与収入が400万円以下、自営業などの家庭で総所得が218万円以下の場合、1学年ごとに授業料が免除になる。

 東大では「学部生のうち、主たる家計支持者の年収が450万円未満の家庭が約13%を占める。この年収世帯では教育費が重い負担となっているという学外の調査があり、学部生の1割と推測される400万円以下などを基準に導入した」(広報課)と説明する。

 父親が勤めていた会社が倒産し、この制度を利用した30代の経済学部OBは「源泉徴収票と課税証明書を提出し、2年分の授業料を免除してもらった。北陸出身の女子もこの制度を利用するなどクラスに2人は利用者がいたと思う」。この男性は「卒業できたのはこの制度のおかげで、今でも感謝している」と振り返る。

 山内氏は「東大の新入生の大半は都市部の有名私立高出身者で、裕福な家庭の子息が多い。ただ、経済的に苦しくても入試を突破したり、優秀な学生はいる。学費無料は、そういった学生を支えるためだが、人材の偏りをよしとしない東大のスタンスも背景にあるのだろう」とみる。

 やる気のある女子学生を援護射撃するのは理系専門の国立、電気通信大。女子の注目度が低いことから、4年間の授業料免除プラス100万円支給という女子限定の奨学制度『UEC WOMAN』を2011年の入学生からスタートさせた。

 「全学生約5500人のうち、女子は400〜500人程度。1学年100人前後の女子のうち、給付を受けるのは5人。狭き門だが、非常に太っ腹」と山内氏。

支給要件について、電通大では「1200字程度のエッセーと高校の成績、入学後の面談で判断している」(学生課)。選考条件が入試成績でないのも興味深い。

 東京学芸大では教員になることを条件に返済義務のない「教職特待生奨学金制度」をもうけ、入学金や授業料の免除、年間40万円の4年間給付、学寮の優先入寮やノートパソコン無償貸与−などを提供している。

 東京学芸大では「教員になることを強く志望しながら、経済的理由で進学が困難な学生を支援している。卒業時、もしくは卒業後2年以内に教員に正式採用されれば返済義務はなくなる」(学生課支援係)。世帯収入300万円以下を条件に高校の成績を中心とした人物評価で選考する。

このほか、中央大では学部別で独自の制度を導入し、看板の法学部では「やる気応援奨学金」を整備。細かい条件を満たさなくてはならないが、一般部門で最高100万円、長期海外語学部門で最高150万円、商学部では難関資格や海外留学を目指す学生に20〜30万円の奨学金を用意し、後方支援する。

 山内氏は「有利な奨学制度ほどハードルは高いが、必ずしも成績上位者が選ばれているわけではない。こうした制度が各大学にあることを知らない人は多く、よく調べて志望校を決めてほしい」とアドバイスしている。

 

 

 ■山内太地(やまうち・たいじ) 1978年岐阜県出身。大学研究家。東洋大社会学部社会学科卒。これまで47都道府県11カ国および3地域の865大学1152キャンパスを見学。日本国内の4年制大学778校(2010年度現在)はすべて訪問。『真実の大学案内』のほか、『下流大学に入ろう!』『こんな大学で学びたい! 日本全国773大学探訪記』など著書多数。

 

☆ 北海道教育大、震災被災者には受験料返還(12年1月12日配信『読売新聞』)

 

入学金免除も検討

  北海道教育大は11日、東日本大震災の被災者や、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で避難を余儀なくされた受験生を対象に、2012年4月入学者の入試の入学検定料を返還すると発表した。入学時に支払う入学料も免除する方向で検討している。

 対象者は、災害救助法が適用されている地域で被災し、自宅が全半壊したり、学費を負担する親などが震災で死亡、または行方不明になったりした受験生。原発事故で自宅が警戒区域または計画的避難区域に指定された受験生も対象とする。返還についての申請期間は2月10〜27日。

 道教大では「志願者の経済的負担を軽減し、進学の機会を確保したい」としている。

 

☆ 被災県から移住の新入生に奨学金 筑波学院大(12年1月12日配信『朝日新聞』)

 

 筑波学院大学(茨城県つくば市)は、東日本大震災の被災県からつくば市に移り住む新入生5人に、月3万円を支給する「つくばで暮らそう奨学金」制度を始める。

 対象は茨城と青森、岩手、宮城、福島の出身者。2月11日と3月3日の一般入試に合格し、就学のため、つくば市内で賃貸住宅を借りることが条件。市内の学生アパートの家賃相場にあたる月3万円を、生活補助費として1年間、支給する。希望者が多い場合は入試の成績などで絞り込む。

 三石善吉学長は「震災から1年がたっても、経済的に困難な学生は多い。奨学金で入学時の生活を後押しし、その後も、学生が自力で各種の奨学金や特待生制度が受けられるよう、教職員がバックアップしたい」と話している。

  問い合わせは入試・広報課(029・858・4815)へ

 

☆ 東京電機大学の千住校舎が完成 学生5000人の収容を想定(12年1月12日配信『朝日新聞』)

 

 東京電機大学は11日、東京都足立区千住旭町の東京千住キャンパスの完工式を行った。同キャンパスは一昨年2月に着工。敷地面積は約2万6200平方メートルで、1号館から4号館までの四つの建物が完成した。

 今年4月に開設され、工学部、工学部第2部、未来科学部の3学部と関連する大学院が入り、収容する学生は約5千人を想定、3月までに東京神田キャンパス(千代田区神田錦町2丁目)から移転する予定だ。

 完工式は加藤康太郎理事長や古田勝久学長、学生代表らが出席して行われた。式の後の懇親会に来賓として出席した近藤弥生区長は「当時はこの地域はマンションとして開発することが決定寸前だった。本当にいい方に舵(かじ)を切れた。今まで区になかった景観が誕生した。学生さんに第二のふるさととして感じていただけるような町づくりをしたい」と話した。

 

☆ 採用担当者に聞く「こんな学生はいらない」(12年1月12日配信『日経新聞』)

 

 初めての就職活動は分からないことだらけ。直接企業に質問しづらいことも多いし、口コミ情報がどこまで信用できるかも不安だ。そんな悩みを解決する「就活探偵団」。就活生の様々な疑問に答えるべく、あなたに代わって日経記者が企業に突撃取材します。

 企業の採用担当者は面接などで多くの学生に接します。年間数千人と会うという人もいます。なかには採用したくないと思わせる学生もいるでしょう。今回の就活探偵団は年末特別編。「こんな学生はいらない」というテーマを中心に採用担当者らに取材した話を覆面座談会の形にまとめました。あなたは大丈夫?

 

 

 

■保護者同伴で…

 ――2013年度入社組の採用活動は12月1日に解禁となりました。例年よりも2カ月遅いスタートですが、違いはありますか。

 商社 受付開始の12月1日0時過ぎからホームページにアクセスが殺到、朝出社して確認すると数千も届いていました。危うくサーバーダウンを起こすところでした。こんなことは初めてです。

 損害保険 大学へ出向いて開催するセミナー参加者は昨年に比べ倍増しています。先日もある大学で300人程度を予定していましたが600人集まりました。資料も足りず立ち見の参加者も出るなど盛況でした。2カ月遅く始まった分、学生の意識は高いのかもしれません。

 ――意識の高い学生がいる一方で、「こんな人は採用したくない」という学生もいるのでは?

 広告 2012年春入社向けの説明会のことですが、男子学生がお母さん同伴で参加していました。噂には聞いていましたが、我が社にも来たので驚きました。大学生も立派な成人ですから、親と参加するなんて自立できていない印象ですよね。責任感や決断力が足りないのかなと感じます。次の選考に進むことはありませんでしたね。今年はさらに増えるかもしれません。就活への親の関与が増えているので、そのうち保護者から「面接に参加したい」「なぜ落とされたのか」といった問い合わせの電話がかかってきそうで怖いです。

 食品 採用の問い合わせ窓口に保護者から電話がかかってきたことがあります。応募資格や説明会の日程などを聞かれました。この程度の内容なら学生が自分で聞けば良い。

 ――能力的に採用を見送りたいタイプは?

 証券 創意工夫ができない人です。言われたことをきちんとこなすことは非常に大事なことですが、指示待ちだけでは不足しています。待っていても仕事はできません。自分で考えて何を望まれているのか察知すること。大事な素養だと思います。

 機械 確かに察知する能力が欠けている人が目立ちます。同年代で群れて幅広い年齢層との付き合いが減っているからではないでしょうか。ちまたでは空気を読む学生が増えているとも言われていますが読めてない人が多いですね。ちゃんと読めている人はあまり見かけません。疑問です。

 玩具 当社のキャラクターが好きだと言っていたくせに、深掘りすると大して知らなかったというケースがあります。無理してあわせる必要ないのに、かえってこちらをガッカリさせます。

 就活コンサルタント 採用担当者にこびを売る学生はいますね。「御社の商品が大好きです」と採用担当者に言っても戸惑うだけでしょう。福利厚生を真っ先に聞く学生も印象が悪いです。働く動機はそれだけ?と思ってしまいます。この手の学生で優秀な学生には会ったことがありません。

 

 

■寝癖と区別が…

 ――外見で問題がある場合は?

 自動車 身だしなみには気をつけて欲しいです。ズボンのしわをのばすとか、シャツの襟汚れがないか確認するとか…どんなに良いことを面接で話しても響いてこないです。本当にこの面接に通りたいと思っていれば、身だしなみも気をつけるはず。本命企業ではないのかなと思ってしまいます。本気なのに、その程度の気も回らないのでは、お客さんと接してもらうのは無理だと思ってしまいます。

 印刷 爪が伸びているとか、靴の汚れとかも目立ちます。雨の日なら分かりますが、晴れているのに靴が泥だらけなら理由を聞きたくなります。

 建設 髪形はキチンとしてほしいですね。男子学生でも耳が隠れるぐらいの長さの髪で面接に来る人がいます。寝癖と区別がつきづらい無造作ヘアも気になります。今のトレンドかもしれませんが、役員面接には上げにくいでしょう。清潔感のある髪形で来て欲しいです。悪い意味で目立ってしまいます。

 住宅 スーツなのに、スニーカーを履いてリュックサックを背負ってきた学生が来ました。そもそもスニーカーはスーツに合いません。

 証券 学生も毎日忙しくて大変なのは同情します。でも入社したらもっと大変です。ヨレヨレのスーツで営業に行かれたら困ります。ビジネスパーソンにとってスーツは戦闘服ですから、手入れにも時間をかけて欲しいところです。

 ――エントリーシート(ES)の段階でダメな学生もいる?

 損保 明らかに他社と同じ内容で送ってくる学生ですね。ネット応募が始まってから増えました。自己PRならまだ分かりますが、志望動機までコピペ(パソコン内で文書を複製して貼付すること)して、かわいそうなことに修正をし忘れたまま届くエントリーシートもあります。例えば当社は損害保険の会社ですが、「食品会社で頑張りたい」と書かれていたり…こちらからその食品会社に送ってあげようかなと思うことがあります。

証券 当社のホームページの採用情報に書かれた文言をコピペしてきたエントリーシートもありましたよ。「エントリーシートなんてちゃんと見てないだろう」と思って送ってきたのでしょう。

 食品 うちには自己PR欄に「v」だけ書かれたエントリーシートが届いたこともありました。何だろうなと思いましたが、きっとキーボードの操作ミスでしょうね。「コントロール」と「v」のキーで貼りつけるつもりで失敗したのでしょう。残念ですね。

 ――学生のウソは見抜けますか。

■志望先の批判は…

 広告代理店 ウソをついているとだんだん論理が破綻してきます。就職難のなかで必死なのはわかります。ただ内定を得ることが目的となってしまっている。本当の自分を見せずに万一採用されてしまうと、入社してからもウソつかないといけないとか、その人には合っていない働きづらい会社だったりであるとか、不都合も出てきます。不幸なことだと思います。

 運輸 だいたいの場合、小細工しても分かります。印象はかえって悪くなりますし、時間の無駄です。

 ――正直であっても面接でイヤな学生は?

 製薬 自分が準備したことだけ話す人は魅力を感じません。面接してもその人らしさが出てこないから。

 広告 最近増えてきたのが自分の考えを一方的に話して帰る学生ですね。例えば、当社の批判ばかりしておしまい。面接官に揺さぶりをかけて、目立とうとしているのかもしれません。ひょっとしたら面接の対策本に新手の手法として紹介されているのかもしれませんが、良い評価にはつながらないです。

 食品 当社の廃棄物が多いと延々聞かされました。きちんとデータも集めていて、その努力は買います。でも、肝心の解決策はまったく話さない。意図が分からず、仕方ないので「すみません」と謝っておきました。あの学生は何がしたかったのかいまだに疑問です。

 航空 最近は減りましたけど飛行機に詳しい方です。専門誌を読むのが趣味のような方です。鉄道にも多そうですね。決して悪くはないのですが採用のための面接で「なぜA路線にこの機材を飛ばしているのか」と聞かれても困ります。

 機械 学生ではなく採用担当者に問題がある場合もあります。例えば「志望動機」や「5年後、10年後どうありたいですか」という質問は一般的ですが、よい質問には思えません。学生は企業人としての仕事を知りませんし、これまで真剣にそんなことを考えたことなんてないのですから良い答えなど返ってきようがありません。採用担当者が魅力を引き出す努力を怠っている気がします。優秀な学生数は以前から変わりないように思いますよ。

企業の担当者から説明を聞く学生たち(12月1日、東京・銀座)

 ――最近の若者は元気がないと言われます。

■受け答えが下手でも…

 運輸 そんなことを感じたことはありません。最近の若者は海外へ行きたがらない「内向き志向」だと言われていますが、海外転勤の志望者は増えていますし元気いっぱいだと思いますよ。

 証券 女子学生の元気さが目立ちます。「男は草食、女は肉食」になっているのかも。選考でも女性が元気でもう少し男子学生にも頑張って欲しいところです。

 運輸 単純に成績で上位から採用すると女性が8割を占めてしまいます。男子学生には「一生懸命さ」「将来伸びそう」といった理由をつけて半分まで人数を増やしています。

 ――最後に面接で印象に残った学生を教えてください。

 証券 面接中の受け答えがいまひとつで、当落線上の学生がいました。学生が面接の最後に「今日はうまく受け答えできませんでしたが、入社したら絶対に成果をあげます」と熱心に話してくれました。他社でも同じように訴えているとは思えなかったので内定を出しました。非常に粗削りでしたが、正直に自分をさらけ出している。面接官も人間ですので熱意が伝わりました。

 衣料 3月の東日本大震災直後の面接に来た学生のことです。明るい色のスカートをはいた学生がいました。落ち着いた色のリクルートスーツを着るのが一般的なのに、なぜ明るい色を着たのか理由をたずねました。すると「震災でみんなの心が暗くなっている。みんなも自分も明るい気持ちになるのではないかと思って」と話してくれました。印象に残りましたね。いまでも名前を覚えています。

■探偵団からひと言

 性格や能力、人生経験はすぐには変えられない。まずは奇をてらわず、自分を信じてぶつかろう。

 

☆ アピールポイント見当たらず自信持てない(12年1月11日配信『読売新聞』)

 

 就活でのアピールポイントが見当たりません。他人に勝る点などないですし、誇れる体験も思い出せません。大学も三流です。自信が持てず嫌になりました。こんな自分でも、企業に求められる人材になれるのでしょうか。(大学3年男子)

  社会人の実像に迫ってみては?

  正月気分は抜けましたか。会社説明会に参加申し込みしたり、エントリーシートに書く文言を考え始めたり……という人がいる一方、行動を起こせず、今回の質問と似た心境の持ち主も少なくないようです。

 自信を持てないあなた。こんな想像をしてください。東京・新橋駅前。「オジサンの聖地」(笑)と呼ばれ、「街の声」を聞くテレビ番組の企画で、酔ったオジサンたちが、マイクに向かって言いたい放題語ってますよね(笑)。あの空間でオジサンたちに以下の質問をしたとしたら……。

 1.今の仕事を選んだきっかけは?

 2.今の仕事にやりがいを感じていますか?

  さて、どんな答えが返ってくるでしょう。私は、17年余の新聞記者生活で大勢の社会人と会った経験から、こう想像しています。

 1.の答え→「偶然」「たまたま」が6〜7割

 2.の答え→「知らない業界で初めは苦労したけど、今は面白いよ」「大変だけどさ、結構やりがい感じてるな」の合計が6〜7割

  どうでしょう。今の仕事に出合ったのは偶然。やってみたら結構面白い――社会人の実像は、案外こんなところだと思いますよ。周りの社会人に何人か聞いてみてはどうですか。

 公開中の映画「RAILWAYS」で、念願かなって電車の運転士になった若手社員が、愕然とする場面がありました。彼は、三浦友和演じる先輩(主人公)も、自分と同じく夢をかなえて運転士になったとばかり思っていた。ところが実際は、経済苦のため高校卒業後すぐに働かねばならず、カメラマンになる夢をあきらめ、たまたま地元の鉄道会社に入ったのだった。そんな主人公が、やっているうちに運転士の仕事が好きになり、誇りを持ち、何ら悔いはない――と後輩に語りかけます。

冒頭の質問に戻りましょう。「他人に勝る点」があり、「誇れる体験」もあり、大学は一流――そんな就活生、何人いるでしょう。3要素を満たすと信じて疑わない自信満々の人がいたら、それはそれで危険です。油断大敵。自信がないので、努力する、謙虚なぐらいがちょうどいいのです。

 あなたの「他人に勝る点」「誇れる体験」→ひとりで考え込んでいてはダメ。以前にお話ししたかもしれませんが、長所は当の本人が気づいていない場合が多い。自分をよく知る身近な人をつかまえて、あなたのとっておきエピソードを挙げてもらいましょう。他人に圧倒的に勝っていなくて構いません。学業だけとか、部活だけとか分野を限定しないことです。

 「大学も三流」→大学を何流とランク付けする根拠は? 百歩譲ってランクがあるとして、「一流大学生は楽に就職できる。三流大学生は努力しても無理」という構図は、絶対にありません。むしろ、「我が大学から初めての入社を勝ち取ってやる。そのために、できることは何でもやるぞ」という意気込みを持ってほしい。そして、何社もエントリーした中の1社に合格すればよいのです。

人はとかく、ないものねだりをします。例えば文系の人なら「理系の人は専門性をアピールできてうらやましい」、院生なら「学部生は若いから有利だよなあ」という具合。逆の立場の人が自分をうらやんでいる可能性に、本人は気づいていません。

 おまけのように付け足します。「興味を持てる職種とまだ出合えてない」という人に、ひとつ提案が。書店へ行き、「新書」の棚の前に立って背表紙を順に眺めてみてください。そして、「よくわからないけど、何だか気になった」数冊を買う。二十数年前の私と同じ貧乏学生なら、古書店で同じことをしても構いません。105円均一の棚なら10冊買ったって1050円(笑)。買い求めたら全部読もうとせず、斜め読みで十分。仕事選び、仕事探しのヒントが得られるはずですよ。

 以上申し上げたことは、観念論ではありません。勝負にうって出る前に気合で負けていてはモッタイナイ。行動自体は地道でいいのです、以前に提案したことなどもヒントにひとつずつ、行動を起こしてみてください。仕事もそうですが、就活も日々の地道な積み重ねあるのみです。

 

 回答者 室 靖治

 読売新聞社人事部採用担当。この年末年始は珍しく一度も風邪を引きませんでした。小さなことに感謝、感謝の日々。

 

◆就活についての質問を募集しています。下の「Q&A質問受付中」をクリックして、フォームに記入し、送信してください。回答できる質問には、このコーナーで担当者が回答します。

 

 ソニーグループ、20社合同説明会 採用を効率化(12年1月11日配信『日経新聞』)

 

 ソニーは、2013年春新卒予定者を対象に、グループ20社を一堂に集めた採用イベントを1月中旬に開く。ソニーがグループ合同で採用活動をするのは初めて。ソニー本体の知名度を活用することで、グループ企業でも優秀な人材を確保しやすくする。経団連の倫理憲章見直しで採用活動の期間が短縮しており、採用活動を効率化する狙いもある。

 合同説明会は1月1415の両日、東京ビッグサイト(東京・江東)で開く。ソニー本体のほか、エレクトロニクス、ゲーム、金融、インターネット、音楽・映像系などのグループ20社が一堂に会する。会社説明会や講演会のほか、商品・サービス内容の展示も行う。

 従来は、グループ企業が個別に採用イベントを開いていた。合同イベントはソニー本体の知名度を生かし、多くの学生にゲーム、金融など幅広い業務を手掛けるグループ企業への理解を深めてもらう狙い。2日間で5千人の参加を見込む。

 イベントには12年春の新卒から直接、日本人学生の採用を始めたマレーシアの生産子会社も参加する。大手企業の海外子会社が日本人の新卒学生を直接採用するのは珍しく、グローバル志向の高い学生の参加にもつながるとみている。

 

 休日返上で説明会 体験型の合宿企画(12年1月11日配信『読売新聞』)

 

2013年春に卒業する大学・大学院生の就職活動が昨年12月、例年より2か月遅れでスタートした。

  学生だけでなく採用する企業にとっても「短期決戦」となるが、各社は優秀な学生を囲い込もうと休日返上で説明会を開催したり、体験型の合宿を企画したりするなど知恵を絞っている。

 12年春に卒業予定の東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡)在住の大学・大学院生を対象にした毎日コミュニケーションの就職企業人気ランキングで総合1位だったJR東海。新年を迎えて間もない6日、今年初の就職セミナーを三重大学(津市)で開催し、学生ら約120人が参加した。

 活動期間が短くなった分、土、日曜日や祝日の開催回数を増やして、昨年並みの約110回の説明会を開きたい考えで、時期によって説明内容を変え、「短期間でも学生に深く知ってもらえるように心掛けている」(広報部)という。

 12年春に20人を採用する予定のミツカングループは、13年春もほぼ同規模の採用を予定している。主要都市で開催するセミナーは、今期は3割ほど回数が減る見通しだ。

 このため、自社のホームページに「WEBセミナー」を開設し、「企業活動などを紹介して、説明会に来られない学生にも興味を持ってもらう」(グループ採用担当者)取り組みを始める。

 活動期間が短くなったことで、中小企業の採用活動は大手企業と重なり、苦戦が予想される。

 歯科用医療機器の通信販売商社の「ピーディーアール」(愛知県長久手市)は、世界各地から商品を仕入れており、語学や交渉力を持つ即戦力の社員を求めている。

 前回の採用活動では、2泊3日の日程で実務に近い体験をしてもらう企業説明会を兼ねた合宿を企画し、1人に内定を出した。

 仲谷公司社長は「合宿プログラムを改良し、入社後の仕事をよりイメージできるように改良したい」と、今年度の採用活動に意欲を見せている。

 

合同企業説明会で熱心に説明を聞く学生(11年12月、名古屋市港区で)

 

☆ 教員就職率2年連続1位の国立大は?(12年1月11日配信『読売新聞』)

 

 全国44の教員養成を担う国立大・学部(教員養成課程)のなかで、昨年度の卒業生の教員就職率は徳島県鳴門市の鳴門教育大が77・9%で、2年連続1位だったことが分かった。

 昨年の文部科学省の調査で明らかになった。同大学は「これまで取り組んできたことが、着実に成果を上げている」としている。

  同省が、昨年度の44の国立大と学部の卒業生について、昨年9月現在の幼稚園や小中高校、特別支援学校への教員就職率を調査。同大は初めて全国1位となった一昨年度の78・3%から0・4ポイント下がったが1位。2位には兵庫教育大(兵庫)の74・7%、3位は愛知教育大(愛知)の71・8%だった。

  鳴門教育大では、昨年度の卒業生113人のうち正規、臨時を含めて88人の採用が決まった。

  同大では学生の就職支援として、現場の経験が豊富で、教員採用にも詳しい公立小中学校の元校長がアドバイザーとして各地の試験問題を分析し、指導にあたっている。論文対策や、実際の教員の現場について学生に知ってもらうため、卒業生の若手教員との意見交換の場を設けることにも力を入れている。

 

☆ 面接で公立医学部…横浜市大が県内指定校推薦へ(12年1月11日配信『読売新聞』)

 

 横浜市立大学医学部が医学科(定員90人)の指定校推薦入試の導入を検討していることがわかった。

 神奈川県内5〜10高校の進学校を指定し、面接などで合格を決める方向といい、実現すれば国公立大医学部では初と見られる。同学科は全国から受験生が集まり、学内には「入試の公平さを欠く」との反対意見もあるが、横田俊平医学部長は「数年以内に導入したい」と意欲を見せている。

 横田医学部長によると、〈1〉県内公立高などの進学校5〜10校程度を選び、高校から3年間の状況を見て「知力、体力ともに医師にふさわしい」と推薦してもらった学生を数回の面接などで合格者を決める〈2〉高校側に公正に選考してもらうため、推薦入学者は大学在学中の成績を追跡調査する――との方向で検討している。今後、学部内に設けた作業部会で、議論を進める。

  横田医学部長は「優秀という基準をどこに置くのか。一発勝負の試験や、知識が多いだけの学生で良いのか」と現状に疑問を投げかける。少子化時代に東大、千葉大などの総合大学と比べ、小規模な市大の生き残り策でもあるという。

  代々木ゼミナールによると、国公立大医学部で一般推薦入試を実施する大学は多いが、センター試験や何らかの学力検査を課す大学がほとんどという。横浜市大は首都圏で東大、東京医歯大、千葉大、筑波大と共に上位グループを形成する。

  同ゼミナール進学相談室・医学部情報室の鈴木誠部長は「面接対策が必要になり、受験生に敬遠される可能性がある。推薦枠で一般定員が減る懸念もある」とする一方、「指定校になった高校はメリットが大きい」と指摘している。

 

☆ 創造学園大学長を解任 群馬の堀越学園(12年1月10日配信『産経新聞』)

 

 群馬県の堀越学園の王豊理事長は10日、高崎市吉井町の創造学園大で記者会見し、経営悪化の責任などを理由に、同大の堀越哲二学長を同日付で解任したと発表した。堀越学園は、多数の芸能人卒業生を出した東京都内の同名校とはまったく関係のない学校法人。

 理事会は今後、選考委員会で正式に新学長を決めるが、暫定的に元教授で今月、理事に就任した非常勤講師の井上晴彦氏(69)を学長に任命した。

 堀越氏の学長解任は10日の緊急理事会と評議員会で決まり、同時に理事も失職した。さらに大学の教授職についても解雇された。

 王理事長は「堀越氏はこれまで学園のために一生懸命やってくれたが、運営に失敗した。再建と学校存続を第一に考えた」と解任理由を説明した。王理事長は一時、堀越氏を名誉職である「学園長」に就任させて収拾を図ろうとしたが、会見では「堀越氏は今後、学園の運営に一切関わらない」と明言。事実上の“追放”との考えを強調した。

 創造学園大は平成16年に開学。堀越氏は初代学長となり、18年には理事長にも就任したが、経営悪化や教職員給与の遅配の責任をとる形で、昨年1月に理事長を退任した。

 その後も堀越氏が知人から預かっていた古美術品を勝手に処分したとして、知人が告訴した。7月下旬には学園施設が県警に家宅捜索され、堀越氏は学長退任を表明。理事会も了承した。

 ところが、学園は新学長を決めないまま、堀越氏が実権を保ち続けるな、不明朗な運営を続けていた。

 この間、学園では教職員の給与が昨年9月から4カ月間未払いとなり、いまだに支払われていない。これに教職員が猛反発。昨年末から学園側に堀越氏退任を求めていた。

 10日の理事会終了後に、理事の1人が「私は出席していない」と理事会決定の不成立を報道陣に訴える場面もあり、混乱が残っていることを印象付けた。

 文科省の担当者は産経新聞の取材に対し、「今回の人事についてまだ詳しく承知していないが、学園の経営状況などについては引き続き注視していきたい」と話している。

 

☆ 大学NOW:東京工芸大芸術学部ゲーム学科(神奈川県厚木市)(12年1月9日配信『毎日新聞』)

 

 ◇ゲーム制作の企画、デザイン、プログラムを習得 教養深め新感覚の作品を

  「キャラクターのデザイン、ちょっと変えたけどどうかな」「この動作、もっと速くした方がいいんじゃない」

  学科の2年生が1人1台ずつパソコンを使い、手分けをしてコンピューターゲームの制作に精を出している。必修科目の「ゲーム制作2」。10人前後、6グループに分かれ、アクションゲームやパズルゲームなど思い思いの作品を作り上げる。

  作業は大きく分けて三つある。ゲームの仕組みや世界観、動作環境など全体の出来栄えに気を配る「企画」、キャラクターやステージの姿形を考える「デザイン」、そして「プログラム」だ。学生の専攻もこの3分野に分かれており、4年間で専門の知識や技術を習得する。授業はまんがや写真から思想や文化史、発達心理学まで幅広く、多角的に学ぶことで将来のゲーム制作に役立てる。卒業制作ではボードゲームやカードゲームも含めて、市販のゲームと同水準の作品を目指している。

  「学生はゲームのためのスキルを身に着けるだけでなく、教養を深め、コミュニケーションやプレゼンテーションの能力を高めてほしい。最終的な目標はゲームを通して人を幸せにすることです」。アニメーションの制作経験もある中島信貴教授はそう話す。

  学生の指導にあたるのは、いずれもゲーム制作の実績と経験を重ねた教員だ。人気ゲーム「パックマン」に携わった岩谷徹教授も名を連ねる。こうした教員らの指導を受け、学科の前身にあたる「アニメーション学科ゲームコース」では、ゲーム関連会社に就職した学生が少なくない。

  2年の福田裕紀さん(20)は「ゲームはプレーヤーの意思が反映される点で、絵画や写真とは違った魅力がある。将来はゲームデザイナーになり、人に感動を与えたい」。同じく2年の中村直樹さん(20)も「小さなころからゲームが好き。アニメや写真についても学んで視野を広げ、将来のゲーム作りに生かしたい」と意気込む。

  自身もゲーム開発会社を経営する正木勉准教授は「学生は入学当初、親しんできたゲームの続編を作りたいと思うことが多い。でも、そこから脱皮し、それぞれの新たな感性でインパクトのある作品を世に出してほしい」と期待する。

 

☆ 教員志望者、首都圏から 秋田大教育文化学部が東京で今春入試(12年1月8日配信『朝日新聞』) 

 

 秋田大学教育文化学部(定員290人)が今春、入試を初めて東京都内で行うことになった。全国学力調査で小中学生の好成績が続く秋田県だが、秋田の優れた教員養成力を売りに、教員志望者を首都圏から呼び込むほか、県内出身者が多い学部生に刺激を与える狙いもある。

  文部科学省の全国学力調査で、秋田の小中学生の成績は上位が続いている。10年の調査では大半の科目で1位だった。同大によると、県内の小中学校教諭は、約7割が教育文化学部の卒業生。先生の指導力、ひいては教員養成力が好成績の一つと自負する。

  昨年あった公立学校の教員採用試験の競争率は秋田県が9.7倍。東京都の4.5倍など首都圏の倍率は秋田の半分程度だった。東京での試験実施で優秀な学生を確保し、さらに首都圏の学生なら、出身地で教員になれる確率も高いとみている。また同学部は県内出身者が6割を占めるが、吉村昇学長は「県外出身者を5割程度までに増やしたい」と話している。

 同大では、工学資源学部が前身の秋田鉱山専門学校として初の学生を受け入れた1911(明治44)年から東京で入試を行っている。入試課によると、教育文化学部の2月25日の前期日程を江東区の臨海副都心のビルで行う。出願時に東京会場を選べるが、会場の都合で先着100人に限る。工学資源学部も同じ会場で行う。県内の予備校は「倍率や難易度に大きな変化はないと思う。第1志望に選んでもらうために、秋大はもっと熱心に首都圏でPRする必要があるだろう」と話した。

 県内の国公立大では、国際教養大が札幌や仙台、東京など6会場、県立大が仙台やさいたまなど3会場で入試を行っている。

 

☆ 被災受験生、夢諦めるな! 東北大生ら動画サイトで無料講義(12年1月7日配信『河北新報』)

 

 東日本大震災の被災地で大学を目指している受験生を支援しようと、東北大生らがインターネットの動画サイトで授業を無料配信している。一昨年秋に東大生が始めたサービスを東北の受験生向けに拡大し、東北大志願者のための対策講座もある。講師を務める学生たちは「被災し、厳しい環境にあっても夢を諦めないで」と応援している。

 授業を配信しているのは動画サイト「manavee(マナビー)」。動画による授業は9科目で1本約15分間。センター試験対策などを含め計約1200本をアップロードしている。

 昨年8月からは講師陣に東北大理学部3年の竹田昌弘さん(21)らも加入。東北大生による授業の動画撮影は現在も進んでおり、徐々に配信本数を増やす。過去の東北大入試問題を解説する対策講座も既に始めており、内容を充実させていく計画だ。

 教員志望の竹田さんは「被災地の受験生がハンディを負うことなく、努力がきちんと報われるよう手伝いたい」と話す。

 動画サイトは現役東大生らのグループが一昨年10月、経済的な事情で塾などに通えない受験生を支援しようと開設。昨年春には友人らと私大向け講座の配信を始める計画だったが、震災を受けて変更し、東北向けの講座開設を急いだという。

 サイト運営グループの一員で、知り合いの竹田さんに講師を依頼した東大教養学部1年の苅田譲さん(19)=名取市出身=は「地元には震災の影響で、塾や予備校に通えなくなった後輩たちがいる。被災しても志望校を諦めず、一緒に頑張ろう」と呼び掛けている。

 利用登録をすればチャットで質問も可能。高校生を中心に現在、全国で約800人が登録している。

 

☆ 早稲田大応援部:初の女子リーダー 箱根駅伝でデビュー(12年1月7日配信『毎日新聞』)

 

1940年創部の早稲田大応援部に今年、初の女子リーダー部員がデビューした。法学部1年の木暮美季さん(19)。東京六大学の中でも女子のリーダー部員は初めてだ。第88回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)では眼光鋭い先輩男子部員らに交じって応援歌を歌い、堂々と初陣を飾った。

 箱根駅伝スタート地点となった東京・大手町。2日朝、沿道では号砲の約1時間前から出場各校による応援合戦が始まった。学生服姿の男子先輩たちが選手にエールを送る後ろで、黒いパンツスーツ姿の木暮さんは頭上で両手を大きくたたき、手旗を振ってもり立てた。

 早大応援部は応援を先導するリーダーと、チアリーダーズ、吹奏楽団の3部門で構成される。創部から約70年間、「バンカラ」の伝統があるリーダーはずっと男子が受け持ち、女子は入部を認められてこなかった。

 しかし、上下関係や練習の厳しさもあって、最盛期に約40人いたリーダーは90年ごろから減少。現在は10人に落ち込んだ。「もっと開放的な応援部にしよう」との声もあり、昨年3月、女子に門戸を開くことを決めた。

 前橋市出身の木暮さんは早大本庄高(埼玉県本庄市)でチアリーダーをしていた。大学進学後もチアになるつもりでいたが、入学前に観戦した東京六大学野球でリーダーに魅せられた。「応援歌や太鼓の迫力に圧倒され、4年間本気で取り組みたいと思った。女子の入部が認められた時期とも重なり、ラッキーだった」と振り返る。

 新入生はまず「見習い」の立場から始まる。春と秋の六大学野球の応援や、毎日10〜20キロのコースを声を出しながら走る「地獄の夏合宿」を経験しなければ、正式な部員にはなれない。同期の男子5人はみな途中で部を去ったが、木暮さんは最後まで歯を食いしばり、昨年12月の納会で晴れて部員として認められた。

 応援部の太田祐輔主将(20)=商学部3年=は「彼女の根性は大したもの。特別扱いはしていないが、女子がいると観客も親しみやすく、頼もしい存在だ」と期待する。木暮さんは「観客や上級生に励まされ、ここまで続けてこられた。伝統をしっかり受け継ぎ、青春を応援にささげたい」と笑顔を見せた。

 

早稲田大応援部初の女子リーダー部員としてデビューした木暮美季さん(右)

 

 『ごん狐(ぎつね)(12年11月7日配信『東京新聞』−「筆洗」)

 

そう言っては何だが、昔の童謡や童話によく出てくる動物というのは本来、ごく身近な、ありふれた動物である

▼『めだかの学校』のメダカ、『雀のお宿』のスズメもしかり。周囲にいくらでもいたからこそ、子どもが親しむ歌になり得たわけだが、近年は、スズメもメダカも激減が伝えられる。だから、これは少しうれしい話だ

▼新美南吉の『ごん狐』は、小学校の教科書にも載る名作童話だが、その舞台とされるのが、南吉の生家にも近い愛知県阿久比町の権現山。その山で昨秋、ここ40年以上も目撃されていなかったキツネが確認されたのだという

▼日本福祉大の福田秀志教授の研究室が、主人公の子ギツネ・ごんの名の由来ともされる山の頂上付近に、無人撮影できるカメラを設置、撮影に成功した。昨今は、生き物の話といえば、「消えた」「減った」が通り相場だけに「いた」というだけで慰められる

▼ふと思いだすのが落語『たぬき』。子ダヌキが、命を助けてくれた男に恩返しする話が何パターンかあるが、中で、危うく救われた話を子ダヌキから聞いた親ダヌキは、いたく感心してこんなことを言う

▼「そんな人は人間には珍しい。人間にしとくのはもったいない。タヌキの仲間へ入れてあげても恥ずかしくない人だ」。その営みで、“ありふれた動物”をそうでなくしてきた人間への痛罵にも聞こえる。

 

 広島修道大学 広島国際交流会館を購入 留学生の寮に /(12年1月7日配信『毎日新聞』−「広島」)

 

 広島修道大(安佐南区)は、国の事業仕分けで廃止が決まっている広島国際交流会館(中区)を所有者の独立行政法人・日本学生支援機構(横浜市)から購入し、同大留学生の寮として活用する。

  昨年8月、建物の入札で修道大が1億4682万円で落札。同12月に売買契約を結んだ。12年度中には財団法人・日本国際教育支援協会(東京)が所有する約500平方メートルの敷地も購入する予定。

  同会館は、鉄筋7階建て。単身用が36室、夫婦用が5室。01年に同機構前身の内外学生センターが開設し、現在は県内の大学や専門学校の留学生35人が入居し、うち修道大が22人を占める。

  4月からは修道大の留学生34人が入居予定で、12年度中には単身室は満室になるという。施設名も変更し、寮としてだけでなく、国際交流の拠点としても活用する。

 

☆ 大阪市立大と府立大が合同会議 府市統合を視野に(12年1月6日配信『朝日新聞』)

 

 大阪市立大と府立大の事務担当者7人が5日、堺市中区学園町の府立大で初の合同会議を開き、府市統合に伴う両大学のあり方について話し合った。月内にも、両大学の理事らでつくる法人統合検討協議会を設置。1法人2大学を基本とし、教職員の労働条件統一などの課題を詰める。

  大学は、府市統合本部が6月までに統合の最終案策定を目指す事業の一つだ。昨年末、橋下徹・大阪市長は「大学独自の案を待ちつつ、法人統合という形がいいのかどうか、本部でも別途、話し合う」とした。

 

 東亜大学 東アジア文化知ろう 研究所開設 成果発信、地域貢献目指す /(12年1月7日配信『毎日新聞』−「下関」)

 

 東亜大学(下関市一の宮学園町2、櫛田宏治学長)でこのほど、東アジアの文化や生活、歴史などを調査研究する「東アジア文化研究所」の開所式があった。同様の研究機関は九州、山口では九州大(福岡市)にある韓国研究センターに次ぎ2番目という。【三嶋祐一郎】

  同研究所はシンポジウムなどを主催するほか海外との学術交流を推進し、情報の発信、公開講座などによる地域貢献を目指す。寄贈された書物3000冊や資料、写真などを多数所蔵している。

  開所式には大学関係者や地元在住の直木賞作家の古川薫さん、野村忠司・市文化協会長、九大大学院教授の松原孝俊・韓国研究センター長らが来賓として出席。櫛田学長や初代所長を務める崔吉城・東亜大大学院教授が「研究所は学生や研究者の物ではなく、市民の財産。国際的視野に立った研究を進め、その成果を発信していきたい」と述べた。また、来賓の松原・韓国研究センター長が「九大にとって、強力なライバルが出現しましたが、今後はベストパートナーとして共存共栄していきましょう。東亜大には生活者の視点で研究の視野に立ち、市民と共に模索してほしい」とエールを送った。

  仲尾宏・京都造形芸術大客員教授が「朝鮮通信使にみる日韓文化」の演題で講演したほか、シンポジウム「朝鮮通信使行列図にみる文化表象」のテーマで、古城春樹・下関市立長府博物館長らが意見を述べた。

 

 「大学での補習」 横山幸三氏、石渡嶺司氏(12年1月6日配信『産経新聞』)

 

 「分数計算ができない大学生」が騒がれて久しいが、千葉県柏市の日本橋学館大が一部新入生を対象にした「アルファベットの読み書き」から始まる補習授業が、雑誌などで取り上げられ注目されている。実際、何らかの補習を行う大学は全体の6割以上もあり、義務教育レベルの内容を教えている大学も多いとされる。大学で補習が行われている実情について、日本橋学館大の横山幸三学長と、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏に見解を聞いた。

◇ ≪横山幸三氏≫

入学後の学力向上が大事 学ぶ楽しみ教える

 −−「基礎力リテラシー(読み書き能力)」としてアルファベットの書き方や読み方を教えている

 「本学の教育目標は基礎力を固めて専門性を高めつつ、幅広い教養を培うこと。そのための基礎の基礎を学ぶのが基礎力リテラシーだ。選択科目で、入学直後のテストで点数が低かった学生に受講を薦めている。この授業を受けることで学ぶ楽しみに目覚める学生は少なくない。中学高校で未消化だったことを学び直すのは意義があることだ」

 −−基礎力リテラシーを揶揄(やゆ)する報道があった

 「心外だ。在学生、卒業生に肩身の狭い思いをさせたのがつらい。今年度からシラバス(講義内容)の公開が努力義務となったので公開した。正直に取り組んできたのが裏目に出た」

−−報道に対する反響は

 「他の大学関係者から『断固支持する』という励ましがあった。『大学改革のいい機会になる』という意見もあった。教育現場にいれば、本学の取り組みが決して価値がないものではないことは分かることだ」

 −−基礎を学び直すのは日本橋学館大学に特有のことなのか

 「今や2人に1人が大学に進む時代だ。程度の差こそあれ、大学生の学力は間違いなく低下している。入学前教育は国公立、私立を問わず幅広く行われているのが現状だ。書類と面接などで審査するAO入試が広まっていることも関係している。AO入試では早ければ高校3年の8月には進学する大学が決まる。そうすると生徒は半年間、勉強をしなくなる」

 −−基礎力リテラシーのほかはどんな教育をしているのか

 「入学から卒業までの4年間、ゼミできっちり学ばせる。ゼミは5、6人ほどの少人数で、教員を身近に感じながら勉強できる。小規模な大学でなければできないことだ。学生の自立にプラスになるかどうかは分からないが、今の大学生は全体に幼いので、目を配ることは必要だ」

 −−一般に、「いい大学」は入学時の偏差値が高い大学とされている

 「入学時は学力が低かった学生が、卒業時に教員と『こんなに伸びたじゃないか』と喜び合う、これこそが教育だ。大学は高邁(こうまい)なことを学ぶところという昔からのイメージにとらわれるから議論が現実から離れてしまう。固定観念から抜け出せないのだ」

中間層を育てる

 −−どんな人材を育てたいのか

 「社会をしっかり支える中間層を育ててゆく。教育こそ国力の源泉になる。中間層を育てることは、国力を高めることだと確信している」(

 

≪石渡嶺司氏≫

専門教育も着実に実行を

 −−日本橋学館大での補習授業の事例をどうみるか

 「シラバス(講義内容)であそこまで公開しているのは初めて見たが、いずれ義務教育レベルの補習をする大学が出てくるだろうとは思っていた。大学卒業時でも英検3級(中学卒業レベル)も怪しい学生がいる中、やらねば仕方ないとは思うが、それだけで終わっては困る。補習に終始せず、大学レベルの教育をしっかりやる姿勢が求められる」

簡単な入試は問題だ

 −−義務教育レベルの補習を受けた学生は、3、4年で専門教育を受けられるレベルになるのか

 「これまでそれは怪しかったといえる。高校までと違い、大学の単位認定はかなりいいかげんな部分があり、ろくに勉強しない学生も卒業できていた現実がある」

 −−補習授業が必要な学生が増えている背景は

 「高校は進学実績にこだわるし、親も子供を大学に行かせたがる。少子化の中で大学の数だけは増え続けており、多くの私立大学は推薦入試やAO入試で簡単に入れてしまう。その学生を社会に通用する人材として育てるために、補習を行うのはやむをえない」

−−なぜ大学の数は増えるのか

 「短大が4年制大学に移行し、専門学校も大学になり、また大学を持ちたい地方都市の思惑もある。文部科学省としてもよほどの不備がなければ大学設置を受理せざるをえない。今では定員割れしている私立大が全体の4割ほどあるが、今後もある程度、大学の数は増え続けることが予想される」

 −−少ない受験科目で済む大学が増えている

 「現状は大学が勝手に入試科目を設定でき、問題だ。そうすると受験生は負担の少ない大学を選ぶわけで、経営のことを考えれば個々の大学が受験科目を増やすのは難しい。国が何らかの強制力をもって入試科目を増やすしかない。現状の大学入試を維持するのであれば、卒業認定を厳しくする必要があるだろう」

 −−中学レベルの補習をやっている大学もかなり増えているのか

 「具体的な統計があるわけではないが、相当数あるのではないかと思う。シラバスを公開している大学は少なく、その点で日本橋学館大の姿勢は評価できる」

形骸化の事例も

 −−そうした大学の卒業生はきちんと就職できているのか

 「厳しい大学も多い。実際に、大学のトップ以下が『やるだけムダ』と疲れ果て、あきらめてしまっている大学は結構ある。そうした大学では形の上では補習授業をやっても、大多数の学生は『何か大学がやっているな』でおしまい。大学にとっても学生にとっても悲劇的な結果だ」

◇【プロフィル】横山幸三

 よこやま・こうぞう 昭和14年、群馬県生まれ。72歳。43年、東京教育大学(現・筑波大学)大学院文学研究科修士課程英文学専攻修了。大妻女子大学文学部教授、筑波大学現代語・現代文化学系教授、聖徳大学人文学部英米文化学科教授を経て、平成18年から現職。

◇【プロフィル】石渡嶺司

 いしわたり・れいじ 昭和50年、北海道生まれ。36歳。東洋大社会学部卒業後、派遣社員や編集プロダクション勤務などを経て、平成15年にライターとして独立。大学・教育問題や学生の就職活動などを中心に評論・執筆活動を行う。訪問した大学は約350。近刊に「アホ大学のバカ学生」。

 

☆ テーマ「大学での補習」 「学力は低下傾向と思う」93%(12年1月6日配信『産経新聞』)

 

 「大学での補習」について、3日までに1434人(男性1191人、女性243人)から回答がありました。

 「大学で義務教育レベルの補習を行うことに賛成か」では「NO」が71%に達しました。「大学生の学力は低下傾向にあると思うか」は「YES」が93%。「現在の大学数は多すぎるか」は「多すぎる」が89%に上りました。

  (1)大学で義務教育レベルの補習を行うことに賛成か

     29%←YES NO→71%

  (2)大学生の学力は低下傾向にあると思うか

     93%←YES NO→7%

  (3)現在の大学数は多すぎるか

     89%←YES NO→11%

需給が一致

 東京・女性団体職員(56)「かつての大学の平均水準と比べると情けないが、需要と供給が一致した結果だから、とやかく言うこともない」

 兵庫・男子大学生(24)「最低限の知識がないと講義を受けてもつまらないし、中退の原因になっている。ただ、補習をしたからといって、学生に意欲がなければ無意味。社会で役に立つ講義を、卒業に必要な単位数の3分の1程度でも義務化してはどうか」

 京都・男性教師(39)「改善のため補習と同時に、大学自体を整理統合する制度改革や、高校卒業時の進路の多角化の模索、初等中等教育の立て直しなどを進めていく必要がある」

神奈川・男性自営業(80)「大学入学を容易に、卒業のレベルを高くすべきだ。理科系の素養が皆無だと困るが、要は実務ができ人格ができていればよい」

 千葉・男性大学教員(66)「私立大の教員をしているが、四則算がまともにできない子供が大勢いる。だが大学では学生が分かろうがどうかにお構いなく、役に立たない授業をしている。『改革』を試みても、なぜかほぼ全員で抵抗するのが現状だ」

最先端研究が本務

 東京・男子大学生(23)「義務教育段階の知識もない人が大学生としてふさわしい学びができるとは考えにくい。そんな学生に税金を投入するくらいなら、奨学金の拡充や国立大の授業料減額などに費やすべきだ」

 神奈川・女性会社員(39)「カナダの大学を卒業したが、公立のみで教育レベルは高い。レベル維持のため毎年、下から3%の学生を放校する大学もあるくらいだ。このように大学は自力でついていける学生のみ行くべきだ」

 宮崎・男性自営業(44)「補習を受けるような学生が入学するのなら、入試の意味がない」

 福岡・男性医師(53)「若年人口の減少に合わせて大学は淘汰(とうた)されるべきだ。しかるべき能力がある者が進学するのが本来の姿」

 北海道・男性教師(43)「どうして中学、高校の補習を大学がしなければならないのか。最先端の研究を行うのが本務だ」

 神奈川・男性自営業(60)「消費税増税の前に削減すべきところはたくさんある」

 

【用語解説】大学生の学力低下

 文部科学省の「学校基本調査」(11年度速報値)によると、全国の大学数は780校で短大数は387校。大学・短大現役進学率は54.5%。07年度の文科省大学入試室の調査では、推薦・AO入試による大学入学者は私大で49.8%。実施学部の8割以上で学力検査がない。

なお、大学進学を希望する高校3年生の秋の勉強時間(平日)は1時間程度以下が36.6%(高校生の進路追跡調査)。特別な学習をすることなく、入学できる状況となっている。

 

 日福大、東海に新校舎15年4月開校予定 看護学部新設へ(12年1月6日配信『読売新聞』−「愛知」)

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 日本福祉大学(美浜町)は26日、東海市の名鉄太田川駅周辺に新校舎を建設し、看護学部を新設する方針を明らかにした。2015年4月の開校を目指す。

 大学と市によると、駅西側の土地区画整理事業が行われている場所に用地を確保する。駅は今月17日に高架となり、東海市は駅周辺を「にぎわいの中心地」にするため、公園建設などを計画している。さらに15年には、市内に新たな市民病院が開院する予定だ。このため、大学は看護分野での人材育成には同市が好都合だと判断した。

 新校舎には、看護学部のほか複数の学部を置くことも検討するという。現在、同大には6学部があり、美浜町のほか名古屋市中区と半田市にキャンパスがある。

 また、大学は26日、校舎と学部新設に向けて協力していく覚書を東海市と交わした。今後、協議機関を設けて話し合いを進める。鈴木淳雄市長は「新校舎の周辺に、市民や学生が利用しやすい文化施設を造ることも検討していきたい」と語った。

 

 名商大、錦にキャンパス14年春完成地上14階(12年1月6日配信『読売新聞』−「愛知」)

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 名古屋商科大学(日進市)は26日、来年に創立60周年となるのを記念して、名古屋市中区錦1に「丸の内キャンパス」を新設し、2014年春から利用を開始すると発表した。同大のキャンパスは日進、伏見(名古屋市中区)と合わせて3か所となる。

 建設するのは地上14階地下1階で、高さ90メートル、延べ床面積1万8000平方メートルの「都市型高層キャンパス」。名古屋市営地下鉄丸の内駅から徒歩3分の場所にあり、教室や職員の研究室、図書室などを設ける。同大は「学部生や大学院生を世界で活躍できる人材に育てる教育の場として活用する一方、社会人の生涯教育や企業研修にも力を入れたい」としている。

 デザインは、「大学の歴史と革新のイメージを表現するため、クラシックでモダンな外観に仕上げた」という。

 好立地を生かして、レストランやスポーツジムなどテナントも誘致する方針。総事業費90億円をかけて来年夏以降に建設を開始するという。.

 

☆ 文科省局長が東大に異例の出向 「天下り」批判も(12年1月6日配信『日経新聞』)

 

文部科学省の磯田文雄・高等教育局長(58)が東京大に出向し、7日付で理事に就任することが決まった。高等教育政策の事務方の責任者が一大学の経営幹部となる異例の人事。大学の自主性を高め、民間的な経営手法を取り入れる国立大学法人化の趣旨に反するとして論議を呼びそうだ。

 国立大は04年の法人化で同省の出先機関でなくなったが、人事交流の名目で同省幹部の派遣は続き、11年末時点で全86校中66校に理事各1人が出向。東大も事務担当の理事に迎えてきた。

 ただ磯田氏のケースはやや事情が異なる。過去の東大理事への出向者は50代前半の審議官で、同省への復帰が“前提条件”となっていた。局長としては初の出向で定年(60歳)も近い磯田氏の復帰は不透明で、事実上の天下りになる可能性がある。

 同省は「東大から理事派遣の依頼を受け、高等教育政策に精通した人材を推薦した」と説明するが、民主党政権の方針で官僚が独立行政法人などに天下りできなくなったことも一因とみられる。

 大学関係者らの間では「監督官庁と一体化すれば緊張感が薄れる」「官僚出身者や出向者が効率的な経営を行うのは難しい」など、出向を問題視する声が多い。同省幹部の“天下り”まで常態化すれば、法人化の狙いは骨抜きになりかねない。

 国立大学財務・経営センターの金子元久教授(高等教育論)は大学側の問題も指摘する。「今は大学経営の専門家が育っておらず、実務にたけた官僚に頼らざるを得ない。長期的には大学の自主性を損なう恐れがあり、大学界全体で経営を担える人材を育てるべきだ」と話している。

 

注;国立大学の法人化=文部科学省の一組織だった国立大を、国から独立した法人にすること。大学の個性化や競争力を強めるのが目的で、国が予算内容を細かく定めていた従来と違い、各大学が自らの判断と責任で自由に予算の使い道を決められるようになった。2004年4月、短大や大学院大学を含め89大学が一斉に法人化した。

▽…法人化に伴い、各大学は最高意思決定機関の「役員会」、大学の教育・研究について審議する「教育研究評議会」、経営面を協議する「経営協議会」を設置。このうち経営協議会は学長の経営判断を助ける役割を担い、外部の声を大学経営に反映させるため、半数以上を経済人や自治体の首長、有識者ら学外から選ぶ。

 

☆ 明大卒がなぜ会社で人気なのか(『週刊現代』12年1月21日号)=PDF

 

紅白では井上真央が司会を務め、サッカーでは長友佑都が大活躍。あのバンカラの明治は随分華やかになった。しかし、伝統の愚直さは、社会に出ても生き残っている。そして重宝されている。 

ボクは何者でもない

「採用の際、企業は東大などの旧帝大や早慶の学生など、上位校にターゲットを絞りがちです。ただ、そういった大学の学生の中には、学歴を鼻にかけ、小賢しい空論ばかり並べる受験者も多いんです。面接で話してみてがっかり、なんてことはよくあります。

 その点、明治は『ボクは何者でもないから、頑張らなきゃいけない』などと、謙虚な学生が多い。そのうえで『なんでもやります』なんてタフなところをアピールしてくると、『お、いいな』と思うわけです。明治は第2グループとはいえ、ブランド校ですが、それを鼻にかけないし、現場で頭を使えるタイプが多いですからね」

 就活事情に詳しい人材コンサルタントの常見陽平氏は、自身の面接官としての経験から、明治の学生のイメージをこう評する。

 たしかになんの実績もないのに、口だけ達者な若者は多い。就職難で面接マニュアルの類が溢れ、やけに手慣れた様子で優等生風の応答をしたりする学生のなかにあって、謙虚な受け応えが面接官に好印象を与えるのはわかる気もする。

 では、なぜ明大卒の人間は謙虚なのか。

 その理由を説明する前に、まずは明治大学の現在の状況について簡単に確認しておこう。

 2011年に創立130周年を迎えた明治大学。'10年度に早稲田大学を抜いて初めてトップに立た志願者数は'11年度もその座を守り、2年連続1位となった。その数11万3905人、5年連続10万人を超えた。いま最も受験生に支持されている大学が、明治大学と言っていい。(以下略)

 

 

 

 被爆者インタビュー映像 京都外大生、ネット公開へ印刷用画面を開く(12年1月5日配信『京都新聞』)

 

被爆の語り部だった故武田靖彦さんのインタビュー映像を編集する学生たち(京都市右京区・京都外国語大) 京都外国語大(京都市右京区)の学生グループ「ピースメディアプロジェクト」が、広島の被爆者のインタビュー映像に英語字幕を付け、インターネットで近く公開する。被爆者は取材後に急逝、学生たちは「核なき世界への遺言。多くの人に届けたい」と作業に打ち込んでいる。

 現代社会研究ゼミ(長谷邦彦教授)での被爆証言の発信活動を引き継ごうと、学生と卒業生計9人で2010年秋に発足。長谷教授の紹介で広島市安芸区の武田靖彦さんをインタビューした。

 武田さんは12歳で被爆、姉の他に多くの知人友人が原爆の犠牲になった。1995年夏に原爆を積んだエノラ・ゲイ号が飛び立った米国テニアン島を訪問した後、原爆の語り部として国内外で活動してきた。

 学生たちは11年7月2日に武田さん宅を訪ねた。武田さんはテニアン島の滑走路で青空を見上げたときのことを振り返り、「姉のかたき」という激しい感情から、「平和を求めるのが生き残った人間の責任」と心境が突然変化したことを明かした。

 「武田さんは当時の心境を再現するかのように、目の縁が緩み、穏やかな雰囲気になった」と2年村上春香さん(19)。

 「人類は暴力が好きで、縁が切れないんじゃないか。だからこそ少しずつ、世界市民として地球平和を実現できる人間に脱却してほしい」と語りかけた武田さんは、学生たちを迎えた後に体調を崩し、7月30日に78歳で亡くなった。

 学生たちは2時間の広島弁による証言を約15分の映像に編集、原爆関連用語の英訳に苦闘しながら1月の完成を目指している。中国語やフランス語、イタリア語の字幕も付けたいという。

 長崎放送記者の故伊藤明彦さんが2006年に撮影した武田さんの証言ビデオの英語字幕を先に完成させており、インタビューと同時公開を検討している。

 

☆ 大学入学費用はいくらかかるか?(12年1月5日配信『時事通信』−「教育支援サイト」)

 

大学入試センター試験も始まり、本格的な大学受験シーズンが到来した。合格を目指して頑張っている子供を応援しながらも、合格した場合の学費のことを考えると頭が痛いという保護者は少なくないだろう。何とかなると高をくくっていると、後で大変なことにもなりかねない。いったい、大学入学にはどの程度の費用がかかるのだろうか。

○私大の初年度納付金は平均131万円

  まず、入学した年度に大学に支払う初年度納付金を見ると、国立大学の場合、文部科学省が定めた標準額は、授業料が535800円、入学金が282000円の合計817800円で、これに大学や学部によって施設整備費や実験実習費などかかる。国立大学は安いというイメージがあるが、国立大学の授業料は値上げが続いており、親世代が学生だったころに比べるとはるかに高くなっている。

  一方、私立大学の初年度納付金は、文科省の調査によると2009年度で平均1312146円(授業料が851621円、入学金272169円、施設設備費188356円)で過去最高を記録した。ただし、私立大学への進学で気をつけなければならないのは、大学や学部によって学費が大きく異なるということだ。マスコミなどで報道される私立大学全体の平均額を目安にして入学費用の計画を立てている人をよく見かけるが、私立大学進学の場合、全体の平均額はあまり意味がない。最低でも文系・理系別に計画を立てるようにしたい。

  では、実際に私立大学の初年度納付金はどのくらいかかるのか。分野別の平均額を見ると、「文科系」は1151978円(授業料736938円、入学金256378円、施設設備費158662円)、「理科系」は1499808円(各1037190円、272203円、19416円)、「医歯系」は498811円(各2968656円、1009619円、1002536円)、芸術系など「その他」は1462696円(各934559円、278279円、249858円)となっている。

  また、文科省の調査には「実験実習費」などの項目が含まれておらず、これらを加えて計算し直すと、私立大学の初年度納付金の平均額は、「文科系」が1227058円、「理科系」が1641630円、「医歯系」が842517円となる。特に子供が理科系や医歯系を志望している場合、授業料とは別にかなりの実験実習費がかかることに留意しておくことも必要だろう。

○入学に必要なのは納付金だけではない

  大学の初年度納付金の目安は分かっていただけたろうか。しかし、親にとって大学入学にかかる費用は納付金だけではない。受験料、受験のための交通費・宿泊費、教科書・教材費、生活用品購入費のほか、下宿生なら住まい探し費用など意外と金がかかるものが少なくない。2010年度大学入学者の保護者を対象に全国大学生活協同組合連合会が調査した結果によると、入試出願から大学入学時点までにかかった平均的な費用は次のようになっている。

  ただし、これらの金額はあくまで入学当初のもので、入学後しばらくしてから支払う後期分授業料などは含まれていない。大学の後期納付予定金は、国立が約27万円、私立文科系が約48万円、私立理科系が約62万円となっている。つまり、私立文科系の下宿生の場合、入試の出願から大学入学の時点までの費用が平均1268000円、そして大学入学後しばらくしてから後期納付分の授業料など約48万円を追加で支払うので、合計1748000円が必要という計算になる。私立理科系の下宿生では、後期納付金を加えると最終的には300万円近くの費用がかかる計算だ。

 大学納付金以外の入学までにかかった費用の内訳を見ると、私立大学の下宿生の場合、住まい探し費用が244500円、生活用品購入費が281200円(自宅生は72300円)、教科書・教材費が175900円(同107800円)、入試出願費用が141400円(同156900円)、その他費用235000円(同86000円)など。このうち、教科書・教材費ではパソコンの購入費が大きな割合を占めている。

  このほか、上記の費用には含まれていないものの、案外ばかにならないのが、いわゆる「滑り止め」で受験した大学の納付金だ。調査によると、国立大学入学者の保護者の約4割、私立大学入学者の保護者の約1割が、滑り止め大学に納付金を支払ったと回答しており、その金額は国立大学入学者が約31万円、私立大学入学者が約33万円に上っている。

○授業料減免制度なども大学選びのポイントに

  大学入学までの費用について説明したが、実際には入学後も通学用定期など交通費、昼食代などさまざまな出費が大学卒業まで続いていくことになる。親にとって経済的悩みは尽きない。ここで大きな助けになるのが奨学金だ。独立行政法人日本学生支援機構(旧日本育英会)には、無利子と有利子の2つの奨学金制度があり、主流の有利子奨学金(年利上限3%)は月額3万円・5万円・8万円・10万円・12万円から選択できる仕組みで、入学後に大学を通して申し込む。ただし、有利子であるため、例えば月額8万円の支給を受けた場合、支給総額384万円に対して返済総額は5167586円に上ることになるので、後々の返済まで考えて利用した方がよいだろう。

  もう一つ、ぜひとも検討したいのが「授業料減免制度」や大学独自の奨学金制度だ。「授業料減免制度」とは、授業料の一部または全部を免除するという仕組みで、ほぼすべての国立大学がこの制度を持っている。独自の奨学金としては、例えば地方の国立大学医学部などで、医師として地元で勤務することを条件に奨学金を出すところもある。また、早稲田大学では首都圏以外の高校出身者に年額40万円の奨学金を出す制度があるほか、成績優秀者に対して授業料を減免する私立大学も増えている。このほか、お茶の水女子大学などは、入学前から大学独自の奨学金の申請を受け付ける予約型奨学金制度を実施しており、経済的な心配をせずに受験勉強に励むことができる。

  いずれも、子供の成績、保護者の所得などの審査があるのが普通だが、あまり知られていない場合も多いので、試してみる価値はあるだろう。今後の大学選びでは、授業料減免制度があるか、大学独自の奨学金制度があるかなども判断材料になってくると思われる。

 

 “山の神”柏原を変えた大震災…故郷のために駆け抜けた!(12年1月5日配信『夕刊フジ』)

 

箱根駅伝で東洋大を総合優勝に導き、金栗四三杯(最優秀選手賞)を受賞した柏原竜二主将(4年)。1年時の衝撃デビューで脚光を浴び、平穏な学生生活を犠牲にしたが、代わりに大切なものも得たようだ。

 歓喜の胴上げ後に「注目されて陸上をやりたくない時期もあった。僕が言ったことが大げさに書かれたり…」と振り返った柏原。有名になって近づいてくるのはいい人ばかりではない。表彰式後のホテル内では、携帯カメラを手にした男性が執拗(しつよう)に食い下がり、つまみ出される一幕もあった。

 柏原が走る喜びを取り戻したきっかけは、昨年の東日本大震災。故郷福島も被災し、競技を続けるべきか悩んだという。だが、影響力のある人間にしかできないことがあると激励され「僕にできるのはしっかり走ること。それを見て『ウワッ』『やった!』と思ってくれたらすごくうれしい。自分のためじゃなく、みんなのために頑張ろうと思った」。

 区間新記録の激走で責任を果たし、今後は「いつも通りの生活をしたい。大学生に戻りたい。テストもあるし、学校行事もあるんで。そっとしておいてほしい」としばしの平穏を求めた。

 だが時の人を世間は放っておかない。一夜明けた4日はテレビに生出演。自身のツイッターのフォロワーは、1カ月前の約4000人から3万人超に急増した。一回り大きくなった柏原は「いつも通りのツイートをしたいな」「アニメの録画予約しなきゃ」と自然体を貫いている。

 

 教職員から参考人聴取 創造学園大の給与遅配で労基署(12年1月5日配信『東京新聞』)

 

 創造学園大(群馬県高崎市)の経営悪化問題で、管轄する藤岡労働基準監督署が繰り返される給与の遅配について、同大などを運営する学校法人・堀越学園(同)の教職員たちから参考人として任意で事情聴取していることが4日、明らかになった。参考人聴取は十数人に上り、法人などを労働基準法違反の疑いで書類送検する検討を進めているとみられる。

 関係者によると、参考人聴取は11年11月下旬ごろに藤岡労基署で始まり、今月も続く見通し。

 法人は11年12月分の給与も支給せず、遅配は7カ月連続。12月末現在、同大と専門学校2校で4カ月分、幼稚園2園で3カ月分が未支給という。

 教職員は学生を思って転職もできず、中にはアルバイトを始めた人もいる。幼稚園では、園児を送迎するバスの運転手から敬遠され、運行が止まる恐れも出ている。

 藤岡労基署は09年1月、当時から遅配を繰り返していた法人に是正勧告を出し、翌月に改善報告書が提出された。

 しかし、11年に入っても遅配が続き、藤岡労基署は11年8月に理事長を呼んで事情聴取。それでも改善しないため、多数の参考人聴取に踏み切ったとみられる。

 労基法は「賃金は毎月1回以上、一定の期日に支払わねばならない」と規定。1日、1回でも遅れれば違反となる。

 

 学生11人しかいない大学院、閉鎖へ…青森大(12年1月5日配信『読売新聞』)

 

 青森市の学校法人青森山田学園(木村雅大理事長代行)は、2012年度の青森大学大学院(青森市幸畑)の学生募集を停止することを決めた。

 現在の1年生が卒業する13年3月に大学院を閉鎖する予定。学生数の減少に歯止めがかからないことが原因という。

 同大によると、大学院は環境科学研究科のみ。定員は40人だが、在籍数は1年生が4人、2年生7人にとどまっている。

 大学院は1999年に設立したが、他大学でも「環境」を看板に掲げる大学院が増加し、経済状況の悪化で学生が集まらなかった。

 系列の青森短期大学も昨年、定員割れなどから来年度の学生募集の停止を決めている。

 

関連;

No1=責任の所在あいまい 青森大不祥事(11年11月24日配信『読売新聞』)

No2=青森大 奨学金1800万円不正受給 留学生学習奨励費 印鑑預かり押印(11年10月6日配信『読売新聞』)

 

青森大学大学院環境科学研究科の募集停止について

このたび、学校法人青森山田学園は、青森大学大学院環境科学研究科の平成24年度からの学生募集を停止することを決定いたしました。

同研究科は、平成114月に日本ではじめて環境問題について本格的に学ぶ修士課程として設立いたしました。環境管理学と環境教育学の二つの専攻を軸に、単に青森山田学園の発展のみならず、青森における環境方面の人材育成の礎として、青森大学の出身者ならびに社会人や留学生、他大学の卒業生など多彩な人材を社会の各方面に輩出いたして参りました。

しかしながら、近年の「環境」を看板に掲げる大学院の増加や昨今の厳しい経済状況など、本研究科を取り巻く状況は大変厳しいものでした。こうした中で、カリキュラムの見直しや社会人院生の受入体制の整備などの施策を講じましたが、院生数の減少を止めることができず、高等教育機関の冠としての社会的使命の継続は困難と判断せざるを得ませんでした。

今後、在学生の皆様への教育ならびに進路支援などにつきましては、これまで通り万全を期して臨んで参ります。また「環境」は教育だけでなく、観光やアウトドア、地域振興、経営、工学、エネルギーなどの分野にまたがるため、青森大学では、こうした特色を絶やすことなく、学生への教育に力を傾注し、地域唯一の総合大学として地域の皆様から愛される大学を目指し、努力する所存であります。

設立から13年にわたり、在学生・修了生や保護者の皆様、その他学校関係者、さらには地域の皆様から頂いた様々なご厚情とご支援に心から御礼申し上げますとともに、今後とも青森大学、ひいては青森山田学園の教育活動に対しまして、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げる次第です。

 平成23年12月22日

 学校法人青森山田学園 理事長代行 木村雅大

 青森大学 学長 末永洋一

 

 高校の再入学者13%増加 文科省「無償化の効果」(12年1月5日配信『朝日新聞』)

 

高校を中退した後に入り直す人が、高校無償化の始まった2010年度は前年度に比べて13%増えた。文部科学省の調べでわかった。無償化見直しが議論されるなか、政策の効果を訴える材料にしたい考えだ。

 文科省によると、高校中退の経験者で同じ高校や別の高校に入り直した人は、03年度の1万1245人から減り続け、09年度は6921人だった。長引く不況で「学び直し」の機会が阻まれてきた可能性があると分析する。

 しかし、10年度は09年度と比べて13%増の7617人(岩手、宮城、福島県を除いて比較)で、7年ぶりに増加に転じた。

 

 箱根駅伝、厳しい“金銭ウラ事情”年間5000万円は必要!(12年1月4日配信『夕刊フジ』)

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  今やすっかり国民的行事になった箱根駅伝は、年々ヒートアップするばかり。だが、出場を目指す大学関係者が「盛り上がるのはいいことなのですが…」というように、そこには痛しかゆしの現実がある。

 今や大学側は、駅伝部の運営に年間最低でも5000万円近くを投資しなければ「勝つことはもちろん、出場することすらできない大会になってしまった」(大学関係者)ことだ。

 選手のスカウティングは過熱する一方で、高校球児の“青田買い”に近い争奪戦が繰り広げられている。「高校の有力ランナーはもちろん、中学生の大会でもチェックする時代になりました」というのだ。しかも有望選手側は「当然、入学金は免除ですよね?」「別の大学は4年間の『学費免除』の条件も出してくれています」、果ては「就職の保証をしてくれなければ行きません」とまでハッキリ口にするとか。

 東洋大など強豪校は有力選手が集まり、資金にも余裕がある。しかし出場のボーダーラインにいる大学は、選手獲得と部の運営費が重くのしかかっている。

 現在、強豪校は大学側が箱根駅伝は“宣伝になる”と割り切って強化を進める大学ばかり。ぶっちぎりの強さで優勝した東洋大も、酒井俊幸監督(35)自ら学生寮に入り24時間体制で強化にあたっている。もちろん資金も大学側がしっかりアシストしており、もはや実業団の陸上部となんら遜色ない環境にある。

 関係者は「強くなれば毎年正月に、朝から大学名を連呼してくれるし、スポーツ紙は全紙1面。宣伝と割り切った大学は強くなるが、アマチュアの大会とはいえませんよ」と苦笑いする。

 箱根で勝ちたければ、日本だけでなく海外留学生の優秀なランナーを奪い合い、惜しみなく資金を投入する。これこそが、勝利の方程式になっている。(

 

 続・受験と私:「しっかり定食 おしゃれなんてしていられない」 岡本玲さん(タレント)(12年1月4日配信『毎日新聞』)

 

験勉強のために高3から通信制に変わり、予備校もビデオで授業を受けられるところを選びました。仕事と両立するために、学校に行く時間が惜しかったんです。理数系の方が得意でしたが、志望が文系の学科だったので、数学、理科ではなく、国語、英語と政治経済を勉強したり。時間がない中で、何を勉強して、何をしないかを決めたことが良かったかもしれないですね。

 古典がすごく苦手だったので、語呂合わせで覚える古典用語の本(CD付き)を使って、仕事の休憩時間や移動中に(携帯音楽プレーヤーの)アイポッドで聞いていました。受験勉強を始めるのが遅かったので、予備校の先生の言葉を素直に聞いて勉強しました。政治経済は、一冊の参考書に必要なことをすべて書き込んで、英語も文法をノート1冊にまとめて、一つの教科で、それだけ持っていればOKというものを自分なりにつくりました。書ききれなくて、最後は紙切れに書いてはさんだりしていました。

 第1志望の大学をセンター利用(入試)で受けたくて、(大学入試)センター試験を受けたんですが、得意の英語で失敗してしまって、点数が取れなかったんです。第1志望の大学を一般入試で受けるには日本史か世界史が必要で、それは覚えている時間がなかったので、センターでと思っていたんですけど……。

 試験が終わって自己採点をした時は、悔しくて泣きました。でも、ここで落ち込んでいたら1年間が無駄になると思って、できるだけ家にいないようにして、予備校で勉強しました。朝8時から夜11時まで予備校にいたので、「玲ちゃん、いつもいるね」と言われて、「がんばって来てるんだよ!」って答えたり。予備校には、同じようにがんばっている仲間がたくさんいて、落ち込んでいる暇もなくて。

 センター試験の後、2週間で一般入試でしたが、その間に一番伸びたんです。ぎりぎりまで、苦手な古典の覚え方のプリントや、自分でまとめた英語のノートを見ていたことも、心の支えになりました。そろばんをしていたので、集中力はあったんですね。AO入試でも落ちていたので、免疫もついていたかもしれません。実は、センター試験の直後に、一人芝居の撮影が入っていたんです。五つのオムニバスで、その台本を覚えるのは、今までで一番つらかった。乗り越えたのはいい経験になりました。

 体調管理を考えて、受験勉強中はよく食べていました。ストレスで食べないと、良くないと思って。予備校近くにあった定食屋さんで、しっかり食べました。健康的だったと思います。服装も、絶対に寒くならない服装を3パターンくらいつくって、いつもそれを着ていました。受験生の時は、おしゃれなんてしていられないですよね。

 今、大学生活はすごく楽しいです。好きなことを勉強できるところを選んだので、同じ志を持った人たちと出会えたのは心強いし、世界が広がりました。

「しっかり定食 おしゃれなんてしていられない」 岡本玲さん(タレント)

<略歴>1991年生まれ。和歌山県出身。都内有名私立大2年。2003年、ファッション誌のモデルとしてデビューし、ドラマ、映画に出演。DVD「僕と少女の四日間の物語」ほか。

 

 就職支援、大学3年生も 相談員増員し個人指導 厚労省、雇用拡大2万人めざす(12年1月4日配信『日経新聞)

 

 厚生労働省は2012年度から現役大学生の就職支援を強化する。若者向けハローワークの就職相談員を300人増やして全国の大学に派遣、大学3年生から就職について個人指導する。卒業間近でも就職先が決まらなければ、大学生本人にハローワークへの登録を促し、卒業後も就職先が決まるまで相談員が支援を続ける。厚労省はこれまでの対策と合わせ、大卒2万人の就職拡大につながると考えている。

 国の雇用政策はこれまで失業者の再就職支援を柱としてきた。ただ、最近では大学生などが就職できず、フリーターなど不安定な雇用形態が長びく原因となっている。厚労省は12年度予算で103億円を計上、主に相談員の増員にあて、雇用政策を新卒にまで広げる。

 新しい支援制度は相談員が全国の400500の大学に出張する形にする。大学3年生向けに企業説明会を開き、早めに就職活動を始めるよう促す。大学には集まりにくい中小企業の求人情報をハローワークが大学生に提供、「雇用のミスマッチ」も解消したい考えだ。

 厚労省は若者の雇用支援を強化するために10年秋から、大学の新卒者向けハローワークを全国57カ所に設置した。11年度は2000人の就職相談員の支援で、1万4000人の大学生の就職につながったという。相談員の増員に加え、大学への出張、早期の就職支援の拡充も合わせ、就職者数をさらに増やす方針だ。

 日本は大学や短大への進学率が5割を超える一方、新設大学などでは専門職員が足りず、手厚い就職支援を受けられない大学生が増えている。就職できなかった大学生は卒業後に大学の就職支援を受けにくく、いったん卒業すると職探しが難しいという問題もあった。

 12年3月卒業予定の大学生の1110月時点の内定率は過去最低だった前年をわずかに上回ったものの、59.9%と、依然低水準で推移。厚労省は従来のフリーターの就職支援に加え、学生段階から就職を後押しし、フリーターの増加に歯止めをかけたい考え。

 

注;未就職卒業者=大学を卒業した時に就職も進学もしていない人のこと。大学・短大への進学率は高まっているものの、少子化で入学者数は減少が続き、15年前のピーク時から1割以上減少している。大学生は減っているにもかかわらず、未就職卒業者の数は増加傾向にあり、フリーターなど非正規労働者が大量に増える懸念がある。

 

 

11年11月30日配信『日経新聞』

 

 理高文低、資格系が人気 12年春の大学選び(12年1月4日配信『日経新聞)

 

学生の就職難を受け、今春の大学入試で理系学部や資格取得・職業との結びつきが強い学部の人気が高まっている。大手予備校の模擬試験データでは法・経済など文系学部の人気は低迷、「理高文低」の傾向が鮮明だ。東日本大震災や原子力発電所事故で被害を受けた東北地方の大学では、志願者数が落ち込む可能性が高い。

 予備校の代々木ゼミナールが昨年1011月の全国模試で第1志望の学部系統を集計したところ、理系学部の人気が目立った。工学系の志望者は前年に比べて国公立で1%増、私立は6%増。理学系も国公立で4%増、私立では1%減だった。理系の学生は就職内定率が文系より高い傾向があり、就職に有利とみる受験生が多いようだ。

 資格を取得できる学部も人気。看護系と保健系は1022%増。栄養士や保育士らを養成する生活系も前年を上回った。歯学部も国公立4%増、私立で8%増。

 文系学部はさえない。法学系は国公立で12%減、私立は10%減と2ケタの落ち込み。新司法試験の合格率が低いことなどが響いている。経済系も国公立・私立ともに6%減った。代ゼミ入試情報センターの坂口幸世統括本部長は「難関大でも理高文低の傾向が顕著」と話す。

 景気低迷の影響で、被災地以外では地元の大学を志望する受験生も多いという。駿台予備校の担当者は「2011年度入試は学費が安い国公立大の志願者が約1万5千人増え、首都圏の難関私大は減った。12年度(今春)も同様の傾向が続く」と指摘する。

 被災地の大学では震災の影響が出そうだ。河合塾が実施した昨年10月の全国模試では、東北地区の国公立大と私立大の志願者が前年に比べそれぞれ4%、2%減った。福島大は21%減、東北大は7%減。

 東北地区に住む受験生は前年比5%増えていたが、地元の大学を志望する受験生は減っており、他地区への“流出”が増えていることがうかがえる。

 

 

☆ 被災学生の授業料、「補助圧縮」通知で混乱(12年1月3日配信『読売新聞』)

 

 東日本大震災で被災した私立大学生の授業料を国が補助する制度を巡って、事業を実施する日本私立学校振興・共済事業団が昨年12月初め、「補助の大幅な圧縮を検討する」という内容の通知を各大学に出したために、大学から問い合わせが殺到する騒ぎがあった。

 同事業団は「表現に誤りがあった。圧縮の事実はない」として、訂正する通知を出した。

 文部科学省は、私立大が被災学生の授業料を減免する際、3分の2を補助すると決め、1次、3次補正予算で計47億円(約1万2000人分)を計上した。

 しかし、申請が非常に多く、予算額を上回ったことから、事業団は昨年12月5日、各大学に対し、対象の学生数を、見込み数でなく、実際に受け付けたか、手続きの進んでいる学生の数で報告するよう通知した。通知文には、「所要経費が予算積算時の見込みを大幅に上回る」ため、「場合によっては予算額にあわせて大幅な圧縮を行うことも検討せざるを得ない」と記載していた。事業団は徹底を図る趣旨だったとしている。

 

 キャンパスクイーンコンテスト 地方大学で初の栄冠…高知(12年1月3日配信『読売新聞』)

 

 高知大・広井さん 地方初 キャンパス女王

 全国69大学のミスキャンパスの頂点を決める「ミスオブミス キャンパスクイーンコンテスト2011」で、高知大人文学部4年広井佑果子さん(21)(高知市)がグランプリに輝いた。

 地方大学在籍者の栄冠は初といい、広井さんは「内面にも磨きをかけ、タイトルにふさわしい女性になりたい」と目を輝かせる。

 四万十市出身。国際コミュニケーション学科でフランス語を学び、趣味は映画観賞、特技はテナーサックス。「香りを楽しめる」とウイスキーを愛飲し、自身の性格を「サバサバしていて好奇心旺盛」と語る。

 11月に学園祭「黒潮祭」で初めて行われたミス高知大コンテストに出場。「大学での思い出になれば」と軽い気持ちだったが、初代ミスに選ばれた。12月に東京で行われたキャンパスクイーンコンテスト決勝大会では、幡多弁で自己アピール。ウエディングドレス姿では緊張感と達成感が交錯し、涙があふれたという。

 コンテストからは、八田亜矢子さんら多くのタレントやアナウンサーが誕生。広井さんにも芸能事務所から引き合いがあり、「世界が広がった」と喜ぶ。一方で「ゼロから挑戦したい」と起業を目指して上京も考えており、「東京で高知の魅力を紹介するなど、郷土に恩返ししたい」と話す。

 

「内面も磨いて、様々なことに挑戦したい」と語る広井さん(高知市の高知大朝倉キャンパスで)

 

 震災孤児や遺児向け基金 新たな支援事業…岩手(12年1月2日配信『読売新聞』)

 

部活遠征費や教科書代

  岩手県は、東日本大震災で両親やどちらかの親が死亡・行方不明となった子どもたちを対象にした「いわての学び希望基金」を活用し、今後、新たな支援事業に乗り出す方針を決めた。

  昨年12月15日までに、目標の20億円を大幅に上回る27億円以上の寄付があり、今後は自宅や親の勤務先が被災した子どもたちも支援する。

 同基金は、両親が死亡・行方不明の震災孤児や、どちらかの親を失った震災遺児への奨学金に充てるため、県が6月に創設。未就学児から大学生までに月1〜5万円の奨学金を支給し、卒業時に最大30万円を給付する。

 県によると、昨年12月15日までに全国3919の個人や企業などから、計27億5100万円の寄付の申し出があった。

 当初の目標の20億円という金額は、震災遺児93人と震災孤児476人から算定しており、集まった寄付は支給に十分足りると判断し、新たな支援を始めることにした。今後は、自宅が全半壊したり親の職場が被災して収入が減ったりした子どもに対象を広げ、小中学生や高校生が部活で県大会や全国大会に出場する場合の遠征費や、高校生には私立も含め、教科書代を補助する。ただし、親の所得制限を設ける方針。

 これまでに集まった寄付は震災遺児や震災孤児の支援を目的としたものだとして、新事業の財源には使わず、県が当初、基金が目標額に達しない恐れがあるとして、基金に積み増すことにしていた義援金など約7億円を充てる。

 今後の寄付は新事業に使えるよう、県のホームページなどの対象者の記載を「親を失った子ども」から、「被災した子ども」に変更する。

  県は「今後は震災遺児や震災孤児だけでなく、被災した子どもたち全体を支えていきたい」としている。

 

 医学部新設 3分の2が賛成…新潟 県内市町村アンケート(12年1月1日配信『読売新聞』)

 

医師不足が深刻な新潟県で、医学部新設を求める市町村長は全体(弥彦村を除く)の3分の2にのぼることが、読売新聞のアンケート結果でわかった。

 北陸新幹線の建設負担金支払いを泉田知事が拒否している問題では、3分の2が「わからない」「無回答」と態度を明確にしなかった。いずれも知事が提起した課題だけに、今後の対応に関心が高まっている。

 新潟県の医師数は2008年末現在、人口10万人あたり187・5人(全国平均224・5人)で、全国41位と低迷している。医師の主な供給源を新潟大に頼っているため、泉田知事は11月の県議会で医学部新設に取り組む考えを表明した。

 アンケートで医師不足解決のための医学部新設の賛否を聞いたところ、「賛成」19、「反対」2「わからない」5で、無回答は3だった。

 賛成の理由として「地域の病院が疲弊し、医療崩壊がいつ起きてもおかしくない状況で、医師の確保は急務」(燕市)、「県内で活躍する医師を積極的に育成・確保していく上で有効な手段」(柏崎市)などの声が上がった。

 反対意見では「医師不足解消は医学部新設が決定的な切り札にならない。過疎地やへき地への医療提供体制などセットで考えるべき」(魚沼市)、「15〜20年後の人口と医師数を検討する必要がある」(新発田市)との指摘があった。

 

 

 吹コン金賞の神奈川大、世界に飛躍 ベルリン単独公演も(12年1月1日配信『朝日新聞』)

 

 全日本吹奏楽コンクールの常連校、神奈川大学吹奏楽部が、1月8日の定期演奏会を皮切りに、国内外での演奏巡業に出る。6月にはドイツでの単独公演も予定している。

 3年連続で全国大会で金賞をとった同大。リーダーとしてホルンを担当した3年生の上田健太さん(20)は「自分自身が納得するまで練習を重ねた結果だと思います」と振り返る。吹奏楽連盟の内規で、来年はコンクールに出場できない。

  その分、公演に力を入れる。5月の恒例の横浜みなと祭のパレード演奏、6月はドイツのベルリン・フィルハーモニーホールでの単独演奏会や、チェコでの音楽祭での演奏と、スケジュールは早くもびっしりだ。

  同部に欠かすことのできないのが小澤俊朗・音楽監督の存在だ。千葉県立銚子商高での指導が評価され、請われて78年に監督に就任。その年のコンクールでいきなり同大を金賞に導いた。それから34年、トップレベルを維持し続けている。

  「神大なら金賞が当たり前と思われるようになったが、一日一日が大変。苦労の連続ですよ」と笑う。技術の指導は折り紙付きだが、音楽に対する姿勢も「一切妥協しない」。

  ただ、指導の方法を徐々に変えていく必要も痛感している。「以前は、怒って『今日は練習はやめるっ』と言うと、学生が必死に引き留めたものですが、今は『あ、終わりますか』ですからね」

  1月の定期演奏会は横浜市西区の横浜みなとみらいホールで午後2時開演。問い合わせは同部(070・6560・4898)へ。

 

小澤音楽監督(左)の指導のもと、定期演奏会の練習をする学生ら=横浜市神奈川区六角橋3丁目

 

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