2011年の9月に行われたFacebook最大のカンファレンスF8で
タイムラインが発表されたのは記憶に新しいところでしょう。
この記事をご覧になって頂いているみなさまは自身の
プロフィールページを既にタイムラインに変更して自分自身の
生涯における記録を編集、更新している最中だと思います。
タイムライン以外にF8で公開された大型の発表はもう一つあり、
それが「オープングラフ」という考えかたです。
これは解りやすくいうと無意識的な共有機能と言えるでしょう。
意図的に「シェア」ボタンを押しての友人との共有ではなく、
オープングラフに対応しているアプリを使うと自動的にFacebookの
右上に流れるティッカーを通じて友人に共有されるという仕組みです。
例えば僕がニュースアプリをチェックすると、
「shinichiro kinjoさんが◯◯ニュースを読んでます」と共有され、
リアルタイムで友人と同じ記事を読むことができるというものです。
そして先日この機能をFacebookがいうところの人々を繋げる最も強力な
コンテンツである”音楽”によりバージョンアップした形で実装しました。
つまり単に共有するだけでなく、その聴いている音楽をベースに
チャットできるように改良されてリリースされたのです。
通常のオープングラフによる情報は右上のティッカー部分の
フィードに表示されるのですが、
これに関しては右下のチャットサイドバーに♫マークで表示されます。
そこからスムーズにチャットに進むというわけです。
TechWaveの記事でも書かれておりましたが、まさに音楽の原点回帰が
始まろうとしております。元々音楽は
その”演奏されている現場”でしか聞けなかったものですが、
蓄音機が発明され各家庭でも楽しめるものになりました。
それがレコード、カセット、CD、さらにはiPodと
持ち運べるものになっていったと同時に
個人で楽しむものへと音楽の聴き方が変容してきました。
そして現在、現場ではありませんがまた人々と共に聴くものへ
原点回帰していると今の共有時代を見ていて感じます。
さらにいうと近年の夏フェスなどの盛り上がりをみていても
人々が”音楽による一体感”を欲しているのを
感じずにはいられません。
そこで今回はFacebookやTwitterが我々のこれまでの
常識を覆したようにこれまでの音楽聴くという
常識を大きく逆転させるインターネット音楽サービスを
20事例ご紹介いたします。
ぜひそこから今後の音楽市場がどうなっていくか
読み取って頂ければ嬉しいです。
今一番注目すべき音楽ストリーミングサービスがこちらでしょう。
SNSの巨人Facebok上で使える唯一の音楽アプリで今後音楽サービスの
中心と成りうる絶対に見過ごせないものになっております。
もともとスウェーデンで始まったサービスでヨーロッパを中心に
人気を博していたものです。意外にも米国では
2011年の7月から使えるようになったばかりです。
※後ほど紹介するRdioもFacebookとの連携が
出来るとのご指摘を頂きましたので、ここで訂正させて頂きます。
2008年のサービス開始から3年後にアメリカでの
リリースということで、それまで3年の間がありました。
残念ながら日本ではまだ使えないサービスになっておりますが、
アメリカでの公開もここまで時間がかかっているのを
考えると納得できる所があります。
EMI,ソニー、ユニバーサル、ワーナーという
4大レコードレーベルと提携しているサービスとは
いっても音楽における壁は大きいのでしょうか。
しかし上の画像を見るかぎり、近いうちに日本でも
ローンチが期待できる模様です。
今後モバイルでの音楽はiTunesからFacebookアプリの
Spotifyへと移行していく可能性が強いと個人的に感じてます。
最近私はiTunesではなくこのサイトで音楽を聞いております。
画像を見て頂ければ解る通り、シンプルなインターフェイスになっていて、
とても使いやすいのはもちろん、各ソーシャルメディアへの連携も
用意されていてほとんど隙がないのがこのGroovesharkとなっています。
懸念点がSpotifyと違ってユーザーからのアップロードやオンライン上にある
音楽データを集約しているサービスとなっているため
レコード会社各社と提携がしっかりとできていないことです。
ユニバーサルミュージックから著作権侵害だと訴えられてアプリが
iPhone/Andoroid共にそれぞれのストアから削除されていたりもしますので、
今後サイトが停止させられたりしたらと考えると、ちょっと恐い気もします。
(とは言ってもこの手のP2P系のサービスは基本的に
不安定なのでこれに限ったことではありませんが。)
しかし圧倒的に使いやすく、曲数も充分ですのでこれは
自信をもってオススメできます。
最近ではマーケットストアに依存しないHTML5による
WEBアプリもベータ版でリリースされましたので、
モバイルでの利用に期待が膨らむところです。
これは比較的老舗の音楽サービスでご存知の方も多いのではないのでしょうか?
こちらの特徴はパーソナライズカスタムラジオと
いったような機能といえるでしょう。
各個人の音楽の趣味嗜好をベースに人々を
繋ぐという目的をもったSNSの一つです。
聞きたい楽曲をピンポイントで探すというよりも、
好きな曲をLast.fmに学習させて自分の好みの曲が
かかるように学習させていくものになってます。
こちらもヨーロッパの発祥のサービスですね、
当初は無料のサービスだったのですが、
現在は月3ドルの有料サービスになってしまいました。
※こちら訂正を頂きまして基本的なサービスはまだ無料で使えるそうです。
一部有料とのこと。失礼しました。
現在の日本でのユーザーはどれほどのものか気になります。
これもドイツ発の音楽共有サービスですが、他のと少し違うところは
ミュージシャンやアーティストの音楽プロフェッショナルを
ターゲットとして狙っているところでしょう。
アップロードした曲をあらゆるサイトに楽曲専用の
ウィジェットとして貼付けができるのが特徴で面白いところです。
そしてそのアップロードされた曲に(提供者は再生時間などの指定ができる)
他のユーザーはコメントをつけたりダウンロードできたりするのはもちろん
それらのリスナー解析機能などもついています。
こういった特徴からも分かる通り、このサイトにアップされる音楽というのは
どこからでもダウンロード出来て聞けるような有名な楽曲ではなく、
音楽の制作を生業としている人達による、そのためだけの音楽なのです。
このようなウィジェットバーを目にしたことはありませんでしょうか?
それこそインディーズのアーティストやミュージシャンの方々の想いが乗った
音楽を感じることができる新しい出会いの場所とも言えるでしょう。
こちらも有名ですよね。多くの方がご存知だと思います。
TwitterやFoursquare以上の期待をもって世の中に
広がっているサービスですが、簡単にいうとオンライン上の
空間でアバターを操作し、DJプレイを疑似体験できるという
今回ご紹介してる他のサービスからしたら異色の音楽共有サイトです。
多くのブロガーやセレブたちの絶賛の声と共に急速に
ユーザー数を増やしているサービスですが、残念ながら早々に日本では
音楽業界のライセンスの違いから使えなくなってしまいました。
代わりにYouTubeにある曲を利用することでこのサービスと
同じような体験ができるBeatRoboやPicoTubeという
スタートアップが日本では奮闘しております。
turntable.fmは自分のセンスで曲を掛けて人々から”Awesome”と
賞賛の声が得られるだけでなく、アバターが進化していったり、
お気に入りのDJが現れたらお知らせしてくれる機能などの要因で
ローンチから一ヶ月ほどでアクティブユーザーを34万人獲得するまでの
サービスに成長させたといえるでしょう。
しかし現在はユーザー数の伸びも落ち着いてきてると
いうことですがどうなのでしょうか。
こちらもご存知、音楽インターネットラジオサービスの老舗Pandraです。
昨年の6月に上場を果たし、一時、時価総額2600億円を叩き出し、
Linkedinの上場と並んで注目を集めました。
先程紹介したLast.fmのようにユーザーの趣味嗜好にマッチングした
曲を流してくれる音楽ストリーミングサービスとなっております。
Last.fmに比べてシンプルな仕組みと、米国のみにターゲットユーザーを
絞った戦略が功を奏したのか毎秒1ユーザー獲得のペースで
2005年のローンチ以来、売上は毎年伸びているといいます。
特筆すべきがモバイルからの流入でなんとユーザーの
60%がモバイルからのトラフィックとなっております。
アメリカのみの公開のため、限った話ではありますが
モバイルにおける音楽環境がiPodによるiTunesミュージックから
このPandraやSpotifyによるレコメンド、またはパーソナライズされた
音楽との出会いによる、よりソーシャルでセレンディピティに
溢れるものになっていくのは間違いないでしょう。
これはあのSkypeの創業者が2010年に起ち上げた比較的最近の
音楽ストリーミングサービスです。このサービスを起ち上げたキッカケが
既存の音楽サービスサイトがつまらないという理由からだそうで、
他のサービスと比べてソーシャル性が強いサイトとなっています。
例えばiPhone,Android,Blackberryに対応するなどのモバイル性、
パーソナライズレコメンド機能はもちろん、
各ユーザーをフォローする機能などが盛り込まれています。
楽曲ごとに最も頻繁に曲を聴いているユーザーをピックアップする
Foursquareのメイヤー機能のような仕組みも取り入れられております。
この魅力的な動画では人々と音楽をオンラインで繋げつつどこでも、
どの曲も、いつでも制限なし、広告なし、mp3ではなく、
オフラインでも聞けて月額完全固定と歌っています。
レコード会社と提携もしていますので、安心して使えそうなサービスですが、
こちらも残念ながら日本では使えまでには時間が掛かりそうです。
これは数々の音楽サービスの起ち上げに関わってきた
David Hymanという実績のある人物が立ちあげたサービスで、
上記のRdioとSpotifyと並び米国における音楽視聴サイトの3強の一つです。
MOGは音楽ブログネットワークサービスとよく呼ばれていて、
自分のMOGページを持つことができ、そこに自分が聴いている
曲について書いたり、他の人のページを見ていきながら素敵な音楽と出会い、
共有していくサービスとしての特徴をもっていたとのことですが、
今は随分と変わり、最大の特徴がゲーミフィケーションといえる程に
なっていると言えるでしょう。
これまでは有料会員制を取っており、月数ドル払えばどの曲も
好きなだけ聞けたのですが昨年9月から無料プランを開始しました。
もちろん無料ですので、曲数や時間などの制限を設けられるのですが、
これが面白く、サービスのアクティブなユーザーになればなるほど
無料で聞ける曲の量が増えていくというものです。
例えば音楽を聞いたり、プレイリストを作成したり、
友人とシェアしたりなどMOGを宣伝するためのエバンジェリストになるなら、
無料で使わせてくれるという仕組みになっており、
これからの時代にマッチングしうる戦略だと感じます。
よくいうゲーミフィケーションの仕組みでしょう。
今回ご紹介しているところではTurntable.fmによるアバターも
その要素が取り入れられている一つでしょう。
しかし度々残念ながら日本ではまだ使えないサービスになっています。
これはフランスの無料音楽ストリーミングサイトで、
フランスの著作権協会と契約をしているサービスとのことです。
これまで紹介した音楽系サービスはヨーロッパのものが多いような気がします。
レコード会社との交渉がしやすく、寛容なのでしょうか?
こちらのレポートを見るかぎり、ローカル環境に落とせないだけで
ほとんどiTunesストアと変わらない質を保っているサービスといえるでしょう。
クラウドが当たり前の時代でもありますので、
もはや曲をダウンロードするという概念が
古いものになっているとも考えざるえません。
これまでご紹介したサービスで日本でも使えるのは
Last.fmとGroovesharkのみになってますが、
以下に日本でも仕様できる
音楽ストリーミングサービスをご紹介いたします。
気になる曲やアーティストを入力するとそれに
関連付けられた楽曲によるプレイリストを自動生成してくれるサイトです。
ソーシャル機能やモバイルアプリも用意しており、
なかなかよさそうなサイトですね。
有名アーティストも揃っており、
非常に使いやすくてオススメです。
これは世界のアマチュアのミュージシャン達がアップロードした
曲で成り立っている世界最大の
クリエイティブ・コモンズ・ミュージックサイトになってます。
好きなジャンルの曲は垂れ流しにできるので、
「新しい発見を期待しつつ好きな音楽を流しておく」
というニーズにマッチすると感じます。Choromeの拡張子も出ております。
これはオーディオマガジンとも言われるサービスで音楽系の
ブログをネットワーク化することによりインターネットラジオを
実現しているある意味画期的なサービスです。
ビジュアルや情報も充実していて面白いです。
こちらもブログに設置されたMP3から音源を引用しているサイトです。
機能的には上記にくらべると少し使い勝手が悪いような気がします。
これはFacebookの個人データを参照して
完全にパーソナライズされたプレイリストを作成してくれる
こちらもヨーロッパのサービスです。
Facebookモバイルアプリに対応していて、
HTML5ベースでの仕様ということで以前、
こちらの記事で紹介しました。これから楽しみなサービスの一つです。
名前の通りYouTubeから音源を引用するサービスですが、
残念ながらこちらは現在招待制という形になっておりました。
これは恐らくつい最近ローンチされたサービスでしょうが、
これまで紹介したどのサービスよりもシンプルで
洗練されているサイトになっています。
これも前述のTubeifyと同じようにYouTubeからの
引用ですが、画像をご覧になって頂ければ
わかる通りとてもシンプルです。
任意のアーティストだけか、そのアーティストに
似ているかのどちらかを選ぶだけでお気に入りの音楽が
リストで自動的に再生される素敵なサイトです。
これもYouTubeから楽曲を引用して再生するサービスで、
とてもシンプルになっており、そのままYouTubeを
再生するためだけのサイトと言えます。
ある意味Tubalr以上にシンプルで
なんとYouTubeの映像オンリーのインターフェイスになっており、
そのサイト名の如くひたすら
ノンストップでYouTubeを流してくれます。
以上が米国、ヨーロッパを中心に広く使われている
サービスですが、いかがでしょうか?
日本では最近Groovesharkが話題になっているくらいで
ここで紹介したサービスの多くはほとんど使われていない
(使えない)といっても過言ではないでしょう。
そこで番外編といってはなんですが、
クラウドという観点から私たちの音楽環境を格段に
向上させてくれる2011年から始まったサービスについて
最後に3つご紹介いたします。
イノベーションを起こし続けている3つのIT企業が
今後どういう戦略で音楽業界に対して斬り込んでいくか
要注目でしょう。
・iTunes Match
あのAppleが提供するクラウドを前提とした
ミュージックレコメンド機能です。
PC、モバイル、そしてそのソフトウェアまですべて
インテグレートされているAppleのプロダクトと技術力を
持ってしてできるサービスといえるでしょう。
iTunesにある曲をクラウドにあげ、
2000万を超える曲から自分にマッチングしたものを
選んでくれるだけでなく、それを購入することなく
自分のモバイルやpcにストリームングされるというサービスです。
年間25ドル必要ですが、これでどのiPhone、iPadからもシームレスに
自分の音源や新しい音楽を楽しむことができるのです。
現在は米国のみで利用可能とのことですが、
こちらの記事で詳しく書かれてました。
・Google Music
これもiTunesのライバルとなりうる
必ず押さえておくべきサービスでしょう。
簡単にいうとGoogleアカウントで2万曲まで
無料の音楽専用のオンラインストレージと
Google Musicでの音楽の購入機能です。
特筆出来る点としては、オンラインに保存した音楽をGoogle+の
友人たちと共有できる点でしょう。
またiTunesのような母艦となるものも始めから
必要としないところも魅力的な点だと思います。
もうクラウド自体が母艦となっているというわけですね、
こちらもまだ米国のみですが、非常に可能性のある分野です。
・Amazon Cloud Player
こちらはGoogle、Appleに比べると最も早い段階から
クラウドによる音楽提供を行なっていたAmazonのサービスです。
こちらはかなり強力なプランを用意しています。
なんと月20ドルプランのストレージが容量無制限という、
とんでもないプランを打ち出しています。
MP3/AAC形式と音楽ファイルのみではありますが、
一部の音楽ファンからしたら充分に魅力的なプランでしょう。
期間限定とのことでしたが、半年経った今でも継続中ですね。
さらにはAmazonで音楽を購入した時の音楽データは
Amazon Cloud Driveの容量には含めない設定になっており、
事実上、AmazonのクラウドサービスでAmazonの音楽データを
使う場合は無制限ということになっております。
他の競合に比べてケタ違いの設定となっています。
iPhoneではSafariで、iPadやAndroidでは
対応のアプリも出ているということでモバイルでの
シェアを伸ばそうと本腰を入れているというところでしょう。
音楽のモバイルでいうとストリーミングということでストレージは
関与しないFacebookとSpotifyが現在目立つ状況でありますが、
今後どのような関係になっていくか注目です。
以上、長くなりましたが音楽インターネットサービスサイトを
中心にWEBでの音楽視聴を楽しむための手段を紹介いたしました。
ソーシャルを通して音楽が共有されつつあるのと並行して、
音楽のモバイル化への推進も圧倒的なスピードで進んでいる印象をうけました。
今のところその2つを併せ持つのが、
FacebookモバイルアプリにおけるSpotifyという印象です。
音楽はみんなで楽しむものなのか、個人で楽しむものなのか、
人々のこれからの嗜好の変化でマーケットも大きく変わってくるでしょう。
いづれにせよ、日本におけるインターネットでの
音楽インターネット視聴環境の向上を強く期待します。
(最近ではSOPA(海賊行為防止法案)がアメリカでは検討されています。
オープンソースという自由な文化で成長してきたインターネット業界ですが、
これにの成立如何ではオンラインでの音楽の在り方も大きく変わるのは確実です。)
コメントをどうぞ: