原油の主要な輸送路であるホルムズ海峡の近くに、アメリカ軍が空母2隻を展開させたことについて、イラン側は「新たな問題ではない」と冷静な受け止めを見せ、欧米との緊張の高まりに一定の歯止めをかけるねらいがあるという見方も出ています。
核開発を進めるイランに対し、欧米諸国が経済制裁を強化するなか、イランは、制裁への対抗措置として、原油の主要な輸送路であるペルシャ湾のホルムズ海峡を封鎖する可能性を示唆し、国際社会の懸念が高まっています。こうしたなか、イランの精鋭部隊「革命防衛隊」の高官は、21日、ホルムズ海峡で1か月以内に大規模な軍事演習を行う方針を改めて示しました。しかし、その一方で、アメリカが、近くの海域に原子力空母2隻を展開させたことについては「アメリカは長年にわたってこの地域に駐留しており、空母の派遣も通常の任務で、新たな問題ではない」と述べ、冷静な受け止めを見せました。イランは、今月初め、アメリカ軍の空母に、ペルシャ湾に入らないよう警告しており、これに対してアメリカは、武力行使も辞さない構えを見せていました。今週、EU=ヨーロッパ連合は、イラン産の原油の禁輸措置を決定する見通しで、今回のイラン側の発言は、ホルムズ海峡を巡る緊張の高まりに一定の歯止めをかけるねらいがあるという見方も出ています。