木版画の豆知識多色木版画の摺り
       
見当の位置
版木の見当の位置
版木ウサギ(黄色)
版木ウサギ(赤)
見当の位置
版木の見当の位置
版木ウサギ(黄色
版木ウサギ(赤)
「摺りの技法について」
■ツブシ摺りは、ツブシ摺り用のバレンで強く摺る。摺りで、水摺り、二度摺り、メクリづけ、型染などの方法を使うこともある。
■ぼかし摺りには、一文字ぼかし、大ぼかし、当て無しぼかし、中段ぼかし、ムラぼかし、丸ぼかし、二色ぼかし、ゴマぼかし拭き取りぼかし、化粧刷毛のぼかしなどがある。版によるぼかしとしては、板ぼかし、布やラッカーを使ったぼかしなどがある。
■ゴマ摺りには、粒が粗く湿りの強いゴマと細かい乾いたゴマがあり、それぞれ圧力の弱い摺りと少し強くした摺りがある。又空摺りと併用してゴマをコントロールする方法もある。
■空摺りには、凹と凸があり、バレンで摺らずにヘラ等を使うキメダシやゴマ摺りとの併用もある。
■キラ摺り(雲母)金、銀、摺り、振り掛け、箔張り等。雲母と本金は変色しないが他のものは変色するおそれがある。下地に色を摺る場合や絵の具を混ぜることもある。のり、ニカワ、アラビアゴムなどの接着剤や油性の絵の具、卵などを使うこともある。
■バレン筋摺りは、チェーンなどを貼ったバレン筋摺り用のバレンを使い、直線や曲線を描く
■木目摺り、特に木目を出すように摺る場合と版に木目の強いものを使う場合とがある。
■正面摺り、裏摺り、拓摺り。これらの版は普通の版と左右が逆になり、版と画は同じ向きになる。 正面摺り 普通の摺りは表を伏せて裏側から摺るが、正面摺りは表側からすってツヤを出す。裏摺り薄い紙などに摺り、裏側にしみ出した模様などを表にして、画面のバックなどに使う方法 拓摺り 版の上に紙を載せてから濡らし凹凸を作ってからタンポやローラーで摺る。鉛筆やパステル、クレヨンなどを使うこともできる。
■当て摺り、紙の裏に色々なものを当てて摺る方法。紙や枠に貼ったプラスティックに色々なものを貼りそれを当てる方法だと見当がずれない。
■布目摺り、版に布を貼る方法と紙も裏から布や網を当てる、当て摺りがある。
■指摺り、タタキ摺り、指摺り凹凸にさらった所を指で摺る方法。 タタキ摺り ブラシや刷毛、タンポで版をたたいて絵の具を載せる方法と、タンポや指などで紙をたたいて摺る方法がある。
■ローラーやプレスを使った摺り。油性と水性がある。
■凹版摺り銅版の技法を木版でやる方法。油性と水性があり、木版にコーティングして行う。
■ドーサ液やワックス、油を使った摺り。絵の具の付きに差をつけたりする方法。
■染めと型染め、型染は画面全体を染めたり、ツブシの代わりに使ったり、水刷毛で行う。
■合羽摺と手彩色、合羽摺を木版画と併用する時は、摺りあげて乾燥したものを手刷毛などで行い、水バケを使 う。型染のように湿りは強くしないので、少し違う。手彩色も摺りあげてから筆で行う。
■もみ紙摺り、布、プラスティック、皮の摺りなど色々な材料に摺る方法がる。材質により油性、カーボン紙、染料なども使うことがあり、摺る方法も色々で、場合によっては版を上に載せて摺ることもある。
「バレンの使い方」
バレンの持ち方は、右手の人差指、中指薬指をバレンの握りに引っ掛け、中指が1cm位出るようにし、親指は人差指に添えて握る。 バレンを使う時は、椿油をしみこませた布をこすり、油を補給し、時々中側を回しながら使う。油をつけるのは、滑りをよくし、紙の裏とバレンの竹の皮の保護、ツブシがよくきくようにするため。油がきれると紙は、むけ、竹の皮は穴があき、体力が消耗し最悪となる。バレンは穴があくと、バレン縄を傷めるので必ず包み直す必要があるが、うまく包むのはなかなか難しく経験がいる。
「バレンの動かし方」

水平方向、垂直方向、円を描く方法などがあるが、広い所は水平方向に使い、垂直方向は仕上げに少し使う程度にする。版によっては垂直に使いたい場合もあるので、その時は体の向きを変えて摺る。バレン筋を抑えるため、8の字を横にして、つぶしたラインで摺る場合もある。動かす幅は、版にあわせて、摺る部分を覚えておく必要がある。ゴマ摺りは広い幅をとれるが、ツブシ摺りの場合は、あまり広くすると力が入らないので、広い所は分けて摺る。

「バレンの運び方」
全面のゴマ摺りの場合、右下の角から始まり左下へ行き、往復を繰り返しながら上へ登って行き、左上の角で終わる。この方法だと空気が入ったり、紙が伸びたりした場合でも見当のずれるおそれや、しわが寄る心配も少ない。全面のツブシの場合は、ゴマ摺り用のバレンで、ゴマ摺りと同じように摺ってから、ツブシ用のバレンで画面を縦に二等分か三等分して、右側から摺って行く。その場合も右下から左下へ、往復を繰り返して登って行き、左上で終わり、順番にそれを繰り返す。摺る部分の形と技法により、運び方も全部違うが、見当に近い所から始め、遠い所で終わるのが基本となる。ツブシ摺りの場合、いきなり強く摺ってしまうと、バレン筋ができ、しわ寄る恐れがある。
「摺りの圧力」
摺る面積と受ける圧力は反比例するので、狭い所は、力を加減する。(面積が半分になると圧力は二倍になる)厚い紙や当て紙を使うと圧力は低くなる。圧力が高いとよく潰れ、低いとゴマ付きになる。
バレンはツブシ摺用からゴマ摺用まで数段階あり、ツブシ摺り用バレン縄は硬く太いものを使い中高にする同心円の紙を増やし高くする。又バレンのサイズが小さいものは程、圧力は高い。
ガーちゃん今回は、摺りを中心に見てきたけど、摺るということだけでも技術的に大変ね。
デンくんうん、北斎の時代は、摺る人彫る人、描く人それにバレン、ひとつとってもバレンを専門に作る職人さんがいたしね。
また木版画には、創作版画と伝統版画があるけど、伝統版画を昔まま作成するのは、大変むずかいしんだよ。
デンくんガーちゃん、次回の予告お願いします。
ガーちゃんはい、「墨田区の企業訪問」の予定です。おたのしみに。
 

すみだあれこれTOPへ

  前頁へ