2010年02月27日
トヨタがコケればGDP50兆円の損失
●不動産、金融、保険まで波及
トヨタショックは日本経済にも重大な影響を及ぼす。
「ワシントンで開かれる公聴会は、お膝元の愛知県にとっては、地震に例えればハイチの直下型大地震級のインパクトになるのは間違いない。下請け・孫請けを含めれば、トヨタグループだけで大打撃です。実際、すでに夜の繁華街では、トヨタグループ社員の影すら見えない状況になっている。問題は、地域限定の損失では済まないことです。トヨタショックは日本全体に波及していく」(自動車業界に詳しいジャーナリストの小宮和行氏)
大和総研の試算によれば、トヨタを中心とする自動車産業が30万台減産しただけで、日本の名目GDPは0.12ポイント押し下げられ、雇用も約5万人減るという。
「たった30万台の減産でも、関連産業も含めれば、3兆円以上の生産減になる。30万台程度の減産で済めばいいですが、どこまでいくか分かりません。そうなると、雇用悪化と所得の減少で、個人消費も落ち込むのは必至です。日本のGDPにトヨタ関連が占める割合は、実に10%近い。GDPが約500兆円とすると、トヨタがコケれば50兆円規模の影響が出る」(シンクタンク研究員)
直接的には10%でも、自動車産業は鉄鋼や電子部品など裾野が広い。トヨタの生産減は、運輸や不動産、金融・保険、情報通信業にまで波及する。実質的にはGDPの30%近くにまで影響を及ぼすと指摘する声もある。前出の友田信男氏は、こう警鐘を鳴らす。
「トヨタは日本の製造業のリーダー。トヨタ問題は、日本メーカー全体に対する不信感を生みかねず、一企業だけの問題ではありません。GDPが3期連続でプラスになり、ようやく一息つくかと思ったところで起こったトヨタショック。雇用は失われ、景気も腰折れ。懸念が払拭されかけていた2番底が、トヨタから始まる可能性が現実味を帯びてきました。今回の公聴会でトヨタが方針を誤れば、その影響は計り知れません」
日本経済は沈没危機だ
(2010.2.27/ゲンダイネット)