地域医療を支える次世代の総合医育成について考える「日米地域医療教育シンポジウム」(島根大医学部主催、大田市共催)が19日夕、同市大田町の県立男女共同参画センターあすてらすで開かれた。県内の医療関係者や市民ら約250人が参加。米ワシントン大学(ワシントン州シアトル)医学部のダグラス・パオ教授を招き、高等医療教育機関の少ない米北西部の例を紹介しながら、大田市立病院内に開設された「大田総合医育成センター」への期待を語り合った。
同医学部が昨年、同市の寄付講座として「総合医療学講座」を設置し、その「バーチャルキャンパス」として同センターを開設したのを記念して開いた。
ワシントン大は、大学医学部が無い周辺のワイオミング、アラスカ、モンタナ、アイダホの4州からの委託を受けて、地域医療人を育成する「WWAMIプログラム」を実施。へき地医療の担い手を輩出している。
パオ教授はその中心人物で、医学生が医師不足の地域で働く自覚と意欲を持つためには「地域ならではの有意義な体験や、住民・患者の接点をつくるのが必要」と強調。「プログラムは竹のようなもの。土の中にある期間は長く、その間も十分な水が必要だが、一度地上に出ると急速に伸びる」と説明し、大学・地域が長期的な視点で医学生を育てるべきだと語った。【鈴木健太郎】
毎日新聞 2012年1月21日 地方版