「母国に帰国すれば迫害される恐れがある」として難民認定を申請中の外国人が、刑事事件で摘発されるケースが起きていることが警視庁への取材でわかった。生活を支えるために支給される保護費を不正受給したり、覚醒剤の密売に関わったりしていた。難民認定申請は急増しているが、在留資格を失っても申請期間中は日本に滞在できるという制度が悪用されている可能性がある。
埼玉県のトルコ人の男(42)は15年前に短期滞在の資格で入国し不法滞在。その後、難民認定を申請し、2009年1〜8月、「日本では無収入、無資産で生活に困窮している」として計100万円の保護費を受給した。だが50万円の預金を隠していたことが判明、昨年4月、詐欺容疑で警視庁に逮捕された。
男は調べに「保護費を不正受給するために、うその難民認定申請をした。周りがやっていたので自分もやった」と供述したという。
同年9月、覚醒剤を売った容疑で逮捕されたイラン人密売グループは、男5人のうち3人が難民認定申請中だった。別の事件で逮捕・服役後に強制退去処分とされたが、入管施設に収容中に難民認定申請をし仮放免された。その後、薬物密売グループとして活動していたという。