宮城県東松島市で奇跡的に津波の被害を免れた列車が運転を再開し、再開後最初の日曜日となった22日、多くの買い物客などが利用しました。JRによりますと、地震や津波の被害を受けた8つの列車のうち、6つが廃車となりましたが、この列車と岩手県の大船渡線の列車が修理されて運転を再開したということです。
運転を再開したのはJR仙石線の4両編成の列車で、震災の当日は仙台市から石巻市に向かう途中、東松島市の海岸から1キロほどの場所で強い揺れのために緊急停止しました。当時乗っていたおよそ60人の客は、避難しようといったん列車を降りましたが、『比較的高い場所に止まった列車にとどまったほうが安全だ』という地元の乗客のアドバイスで、全員が列車に戻りました。結局、津波は列車の手前で止まり、乗客は車内で助け合いながら一晩を過ごしたあと脱出しました。列車は、その後、9か月間現場の近くに置かれたままでしたが、JR東日本が修理して16日から運転を再開し、その後初めての日曜日の22日、多くの客が利用しました。このうち、石巻市の専門学校生、吉田梓さん(20)は、震災当時の乗客の1人で「当時は中も汚れていましたが、きれいになりました。震災後初めて見たのですが、ことばになりません」と話していました。吉田さんは、見ず知らずの乗客どうしで食べ物を分け合ったり、励まし合ったりした経験から助け合いの大切さを感じ、地元で幼稚園の教諭になることを決めたということで「この列車で人の優しさに触れたので、子供たちの心の支えになる先生を目指したい。列車も頑張っているので私も頑張りたい」と話していました。JRによりますと、岩手、宮城、福島の3県で地震や津波の被害を受けた8つの列車のうち、6つが廃車となりましたが、この列車と岩手県の大船渡線の列車が修理されて運転を再開したということです。