東京大が秋入学移行に向け、本格検討に動き出した。「留学しやすくなる」「就職の遅れはつらい」。東大を目指す若者や学生らの受け止め方には歓迎と困惑が交錯。予備校は、東大以外の大学の動向や秋入学に合わせた企業の採用活動への対応を注視している。
■受験生
「留学しやすくなるから賛成」。東大理科1類を志望する東京都大田区の予備校生、橋本涼平さん(19)は歓迎する。自身も入学後、留学を希望しており「米国や英国で研究したい」と言う。
懇談会の提言通りに秋入学が実現すれば、高校卒業から入学までに約半年の「ギャップターム」が誕生する。東大理科1類を志望する埼玉県狭山市の予備校生、萩原順平さん(19)は「(自分だったら)受験科目にしない生物を勉強し、半年間を有効に活用したい」と考える。
一方、文科3類を受験する台東区の予備校生の女性(18)は「1浪に加え、就職がさらに1年遅れることになるなら、同級生から置いてかれている感じがして、つらい」と話した。
■東大生
現役東大生の受け止めも様々。東大工学部3年、臼崎一茂さん(23)は「海外から優秀な学生が来やすくなる。日本の学生も刺激を受け、内向き志向が変わるきっかけになる」と評価する。
文学部4年の女子学生は「秋入学は海外留学生のための施策で、日本人学生のことを考えていない」と話した。
■高校・予備校
昨年度に64人の合格者を輩出した私立駒場東邦高校(東京・世田谷)の坂東修三教頭(64)は「大学によって入学時期が違うと生徒が混乱する。国公立と私立大が足並みをそろえての実施なら賛成」と支持する。進学校の都立高校の校長は「春入試のままなら、(自校の)カリキュラムを変える必要はないだろう」と冷静だ。「大学入試の合格を優先し、自立心を育てるための指導に踏み込めていない現状では、半年間を有効に使える学生は出てこないのでは」と冷めた見方をする。
大手予備校「代々木ゼミナール」の高宮敏郎副理事長は「東大はトップ大学であり、秋入学に追随する大学が出てくるのではないか」と指摘。
別の大手予備校の入試研究担当者は「東大を志望するのは就職に有利と考える学生は多い。受験生が敬遠する可能性もあり、企業が採用活動で秋入学にどれだけ対応するかが成功のカギとなるだろう」と話していた。
東京大、予備校
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