野田佳彦首相は、福島県内の18歳以下の医療費無料化を断念する方針を固めた。福島県からの要請を受けて検討する考えを表明していたが、財源確保が難しいと判断した。近く県側に伝える。
東京電力福島第一原発事故の影響で子どもの放射線被曝(ひばく)への懸念が強まっており、福島県の佐藤雄平知事が無料化を求めていた。県外への人口流出を防ぐねらいもある。首相は今月8日に福島県を訪れた際、「政府内でしっかり検討したい」と表明していた。
野田政権は必要な経費を年間100億円弱と試算したが、医療費が膨らむ可能性も指摘されていた。政権内で検討した結果、無料化で増える受診に対応する医師の確保が新たな問題点として浮上。福島県外の住民との公平性からも難しいと判断した。復興対策本部の幹部は「額はそれほど大きくないが、風邪などの医療費も含めて福島だけ無料にする説明がつきにくい」と話す。