大分市の高崎山自然動物園で、白い手と背中に白い一本線のある1歳の雌猿ピーちゃんが、来園者の注目を集めている。先天的に色素が抜ける「白化」と呼ばれる変異で、ちょっと変わった外見のせいか、小猿仲間に敬遠され、母親も弟猿の面倒に掛かりっきり。たった一匹で餌を拾い集めるピーちゃんを、子どもから大人まで温かく見守っている。
ピーちゃんは、両手と背中の体毛の一部が白い。同園によると、母親はB群のモモカ(10歳)で、祖母のトヨムスメ(22歳)も両手の指が白いことから白化は遺伝とみられるという。園内には白い手の猿は数匹いるが、胴体に表れた例は初めてという。
ピーちゃんは仲間から外れ、一匹で餌の小麦を探す姿が目立つ。同世代の小猿たちは母猿に甘えているが、モモカは弟猿の面倒ばかりみているという。同園は「母親に甘えられない分、食べることに執着しているのかも」と話す。他の小猿と遊ぶこともほとんどないという。
そんなピーちゃんをずっと見守ってきたのが、山口市の桑原彩さん(30)と陽大君(10)ら家族。昨年5月、一家で高崎山を訪れ、寂しげな様子のピーちゃんを見つけた。以後、毎月1回、車で片道3時間かけて同園を訪れては、ピーちゃんの様子を見ているという。
同園は、小猿には名前を付けないが、一家にピーちゃんと名付けてもらった。彩さんは「いつも頑張れ、という思いで見守っています。最近はピーちゃんに友だちも少しできてきた」と成長を喜んでいて、21日には今年初めてピーちゃんに会いに行くという。
=2012/01/21付 西日本新聞朝刊=