『ニッポンのジレンマ』のジェンダー非対称性
(追記 1/4) 再放送が決まりました。
NHK教育テレビ 2012年1月7日(土)深夜25時20分~28時20分
(日付け的には1月8日(日)の午前1時20分~)
1月中にNHK総合での再放送も予定とのことです(追記おわり)。
元旦のNHK教育で放送された『ニッポンのジレンマ』。まぁ自分頑張ったじゃんという点も反省点もあるのですが、それは措くとして、番組の作りのジェンダー非対称性について指摘しておきたい。番組のありかたそのものが性別役割分業を前提としててしんどいという意味のツイッターも見たことだし。出演者が指摘したらダメって決まりもないしね。
べつに書いても構わないだろうから書くけど、あの番組の進行表に、「○○〔出演者の名前〕へフリ」という司会者むけの指示が書いてあって、名前が出てたのは出演者12名中8名で、8名全員が男でした。名前が出ていない4名中3名が女でした(事前に見てけっこう萎えた)(*1)。
最初の「格差とは」と話をふられたところで、このエピソードを出しました。そのままいったんじゃあカットされるし、出演者に堂々と配布されたことから悪意なくやっていると思われたので、「これ書いた人は悪意があってやったんじゃないと思うんですよ。今、社会で起こっているあらゆる格差も、悪意なく作り出されているんですね。たとえば……」(大意)という感じで話を広げました。けっきょく進行表のくだりはカットされたけど。
それから、スタジオにオーディエンスを呼び込んだところで、「また全員男だ」と指摘したけどカット。
番組を見て分かったけど、VTRで紹介された事業家3人全員男。女の事業家、見つけられなかったかな。言ってくれれば紹介したのに――と思ってたんだけど、ある女友達が言いました。「そんな、成功した女の事業家を正月から見せつけられて喜ぶ視聴者いないじゃん」。ああ、そうか。そらそうだ。
ついでながら、女性出演者の名前紹介キャプションの挿し色、赤。男性出演者、青。
この番組、男ダイスキかね。キャプションの色、男女で変えないと不安かね。
番組でも指摘されていたけど、これからは多様性が大事。そういう時代にふさわしい討論番組はいかなるものか、制作陣にはご一考いただけると幸いです(*2)。
抗議でもなんでもなく、ただの事実の指摘と感想と提案です。
(*1) 「ここで萎えたらダメでしょー、お味噌扱いを前提として、上手く立ち回って非対称な構造くつがえしなさいよ」と応援のつもりでいってくれる人がいるのは重々承知&ごもっともな意見。「弱者」に責任負わせるなとか思わない。出場権与えられている時点で「弱者」じゃないし。じじつ水無田さんは健闘してらして、自分ももっと頑張ろうと素直に反省しました。
(*2) 以前、NHKのパイロット番組を放送する枠で女性出演者だけがトークする番組があって、たいへん面白かったんだけど、「かしましい女たちのしゃべり場」的な位置づけしか与えられていなかった(レギュラー化もしなかった模様。応援メール送ったんだが)。「ふつうの討論番組」の位置づけで、男女半々座らせることはできないのだろうか。女だけでなく、性的マイノリティや在日外国人や障がい者を入れることはできないのだろうか。ちなみに、在日韓国人のオーディエンスが選挙権がないことについて話した時、そのことがトピックにならないこの場じたいがひとつの歪みを持ってるよねーって意味のことをいったのですがカットでした。
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