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【コラム 私は見た!】

新しき外来者のことを考えてみる

2012年1月22日

 把瑠都が毎日の取組に示す強烈な自信のほどには、恐るべきものがある。後退するとか、押し切られるとか、自分が不利な局面に立たされることは、全く考えていないように見える。

 少し表現が大げさになるが、突く、張る、つる、そういった攻め手はどんなものでも良い。今日はこう攻めようと思ったら、全く迷うことなく、その攻め手に集中する。それが面白いように、相手の弱点にそそがれる。

 迷いもなければ、攻めの誤りもない。正確無比な攻撃だといってもよいだろう。それだけではない。一発一発の目標が正確で、狙いすましたという性格があるのだ。その上にこんなことを感じさせられたことがある。

 あの長身から繰り出される突きだから、把瑠都の方はそういう意識はないのかもしれないが、伸びてくる突きが、目標に向かって振り下ろされるたびに、上昇カーブを描いてくる。これはかなりな攻撃効果だといえる。

 これは把瑠都という新たな登場人物が、大相撲に持ち込んだ新たなショックだろう。こういった刺激はさまざまな形でこれまでにも持ち込まれた。そうして、ぎくしゃくしたものを残しながらも、なんとか解決の中に持ち込んできた。そういった意味合いからすれば、大相撲は非常にダイナミックで、予想もできないほどの力がある集団だと考えてもよいだろう。あの強烈きわまるハワイ旋風もいつの間にか一時の安定期に持ち込んでしまったように、どこからどんな知恵者が出現するか分からないところがある。

 ただし、今回のものは、否定的なニュアンスで語られるハワイ旋風と違っている。それは一点あって、そのことを見逃してしまってはいけないと思う。以前のものと違って、今回のヨーロッパの匂いを漂わせている外来者は、どうも文化のかなり深い理解者になり得るということなのである。

 これは悪い話ではないと私は思う。 (作家)

 

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