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砕石場で採れた石への対応は

1月21日 18時53分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

計画的避難区域にある砕石場の石を使ったマンションの室内で高い放射線量が測定された問題を巡っては、原発事故から10か月たった今も、砕石場で採れた石を出荷する場合の放射性物質に関する安全基準が国から示されておらず、福島県内では、早急に基準を定めるよう求める声が挙がっています。

安全基準の必要性に気付くきっかけは原発事故後の去年5月にありました。当時、震災からの復旧工事を進めていた福島県は、国に対して砕石場で採れる石など7種類の建設資材について放射線量の数値がどれくらいであれば出荷できるのか安全基準を示すよう文書で要望していました。基準がないと復旧工事が滞りかねないことから要望したものでしたが、国からはセメントなど一部を除いては「検討を進めている」という回答にとどまり、基準は示されませんでした。さらに、今回問題となった福島県二本松市のマンションの室内で高い放射線量が測定された際も国の対応は後手に回りました。先月28日ごろ、砕石場を所管する経済産業省には、二本松市と別の省庁から「建物に使用されているコンクリートの材料が原因ではないか」という報告がもたらされましたが、経済産業省は「その可能性は低い」として、今月10日まで詳しい調査を始めていませんでした。こうした国の対応によって、福島県内の砕石業者など建設資材を扱う業者には大きな影響が出ています。県内の建設資材の安全性に対する不安の声が広がっているため、資材を扱う業者が放射線量を独自に測定する動きが相次いでいるのです。郡山市にある県の施設には建設資材の放射線量の測定の依頼が急激に増加し問題が明らかになって2日間で今月の検査の予約がすべて埋まってしまったということです。さらに砕石会社などで作る業界団体「福島県採石業協会」は、国に対し、出荷の際の検査方法や基準を設けるよう求めていく方針を決めました。こうした地元の声に対し、枝野経済産業大臣は、基準について検討する考えをすでに示していますが、住民の健康に関わる問題だけに国には早急な対応が求められています。