来年度のコメの作付けについて地元の意向を聞いている農林水産省は19日、福島市を訪れ、今年度に1キロ当たり100ベクレル以上の放射性セシウムを検出した地区での作付け制限を検討していることを伝えた。これに対し、瀬戸孝則市長は一律に全ての水田に制限を加えないよう要請した。
国の方針では、来年度から暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)より厳しい新基準値(1キロ当たり100ベクレル)を採用する。これを受け、今城健晴・農水省農産部長は、コメから100ベクレル以上検出した地域で作付け制限を検討していると説明した。
これに対し、瀬戸市長は、100ベクレル超のセシウムを検出した水田についても作付けの許可を要望した。理由は、作付け制限は耕作放棄地の拡大を招き、農家の営農意欲を減退させるため。コメへのセシウムの移行率や除染の効果を検証するための実験田にして、収穫した米をバイオエネルギーの原材料にするなど食用以外の用途を提案した。市場には流通させないとしている。
農水省はこれまで、二本松、伊達市などからも意向の聞き取り調査を実施。国は3月下旬~4月上旬に方針を決めるとしている。【深津誠】
毎日新聞 2012年1月20日 地方版