北原氏にも弱い部分はある。メールに記した協会の問題点は、ほぼネット上で収集した情報をもとにしているからだ。「ネットの情報を鵜呑みにする危険性も承知していますが、ネット配信にもし間違いがあれば、たくさんの訂正や否定の声が同じくネット上で巻き起こり、真実性への整合が自然にとられてゆく」と氏は話すが、「裏付け」の足りない情報であることは確かだ。
しかし、根拠の脆弱な情報だけで協会を、非難するサイトやブログは山のように存在する。協会大使のアグネス・チャン氏を「反日シナ人」とするような差別的なものも目立つ。
そうした中で、北原氏がピンポイントで訴えられた理由を、氏は「名古屋のケーキバイキングを扱うサイトでは検索順位の上位にランクされ、訪問者も多いからではないか」と分析している。協会が批判を多くの人が目する可能性からターゲットにしたとすれば、大いに問題である。
また、協会は訴訟の前にプロバイダに対して氏のブログの送信防止措置を要求したり、警告書の送付(北原氏が受け取り拒否したため詳細不明)を行っていたが、このうちプロバイダへの要求は「法や利用規約に違反しているとは判断できず、協会の主張・依頼にも根拠がない」と、拒否されたことも明らかになっている。北原氏の情報がネットから得た不明瞭な部分のあるもので「詐欺団体」「ピンハネ」等の言葉が過激だとしても、協会側の主張もまったく正当とはいえないのだ。
気になるのは、今後の裁判の動向だ。「法テラスに相談したところ、断られてしまった」という北原氏だが、現在は信頼できる弁護士を見つけ裁判の戦術を検討中だという。
「相談の結果、弁護士は立てずに私が出て行って本人訴訟で戦うことにしました。というのも、弁護士同士の対決では私の求めているものは得られないと考えたからです。裁判の中で協会の問題点も問いたいと思うので、裁判中も逐一情報を発信していくつもりです。勝ち負けは分かりませんが、仕事を捨ててもやる価値はあると考えています。これで、沈黙してしまったら誰もが協会に対する批判をやりにくくなってしまう」
当初は裁判費用を心配していたが、寄付を呼びかけたところ予想外の賛同が得られたことも氏の闘志に火をつけている。…