気象・地震

文字サイズ変更

東日本大震災:石巻の母校へ「聖護院カブラ」千枚漬け贈る

地元住民らと共に作った千枚漬けを母校・大川小に贈った佐藤竜二さん(中央)=京都府亀岡市の京都学園大で、花澤茂人撮影
地元住民らと共に作った千枚漬けを母校・大川小に贈った佐藤竜二さん(中央)=京都府亀岡市の京都学園大で、花澤茂人撮影

 京都学園大(京都府亀岡市)職員、佐藤竜二さん(40)らが今月、東日本大震災で多数の児童が亡くなった宮城県石巻市立大川小の児童を訪ね、京野菜「聖護院カブラ」の千枚漬けを届けた。同小卒業生の佐藤さんは震災で両親を亡くした。「子供たちは生き残ったことを負い目に感じず、前向きに歩んでほしい」と願いを込めた。

 佐藤さんは同市出身で大学院進学を機に京都に移り住んだ。地震発生直後から実家と連絡が取れなくなり、約10日後、仙台市の兄から母(当時72歳)が遺体で見つかったと知らされた。その後、父(同76歳)も遺体で見つかった。4月上旬に地元に帰り、変わり果てた景色に言葉を失った。「葬式をあげただけでも救われた。遺体が見つからず持っていき場のない思いを抱えた人がたくさんいる」

 震災後、京都学園大教授がキャンパス内などの畑で取れたカブラで京都の冬の味覚・千枚漬けを作り、被災地に贈る活動を始めた。教授から声をかけられた佐藤さんが母校と連絡を取り、受け入れを快諾してもらった。漬け込み作業に地元の小学生や住民に交じって佐藤さんも参加。出来上がった約50キロを大川小の児童、教職員約40人分に小分けし、教授とともに18日、空路で宮城入りして、同小が間借りする石巻市内の小学校に届けた。22日にも、大川小校区の仮設住宅3カ所に千枚漬けなどを届ける。

 全児童の約7割の児童の命が一瞬にして失われた母校。千枚漬けを受け取った児童の笑顔を見て、「亡くなった子供たちの魂が安らかであるように」と祈るような思いが込み上げた。「震災が古里の大切さを改めて教えてくれた。子供たちには、離れても思い続けている人がいることが伝われば」と話した。【花澤茂人】

毎日新聞 2012年1月21日 11時10分(最終更新 1月21日 11時54分)

PR情報

スポンサーサイト検索

気象・地震 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

東海大学:山下副学長「柔道家として教育を語る」

学生時代の思い出から今の日本の課題まで

縦横に語ってもらった。

毎日jp共同企画